Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

マツダのEV

ロータリーエンジンで発電

2017年11月6日の日経に、マツダが2019年に、小型ロータリーエンジンを搭載した電気自動車を欧米で発売するという記事を見ました。より詳細な記事が、日経電子版にあります。

www.nikkei.com

ロータリーエンジンとは?

  • ローターが回転して吸気や燃料を圧縮、爆発
  • 小型で出力が高い
  • 振動が少なく静粛性が高い
  • 燃費などが課題。2012年にロータリーエンジン車の生産が終了

●なぜ、ロータリーエンジンか?

  • 静かに走り出すEVとの相性がいい
  • 今回は、小型ロータリーエンジンを搭載し、必要に応じて発電するEV
  • レンジエクステンダー付きEVという
  • 発電に使えば、EVの弱点である航続距離の短さを補える
  • エンジンを走行の動力に直接使うハイブリッド車(HV)とは違う
  • ロータリー技術を量産できるのはマツダだけ
  • マツダの技術力の象徴だったロータリー技術と電動化を組み合わせ、他社にない個性となりうる
  • EVは、部品が汎用化し、個性を打ち出しにくい。他社に埋没しないため必要

●エンジンを搭載しても環境対応車なのか?

  • 英国は2040年にガソリン車の販売を禁止すると宣言。しかし、厳しい二酸化炭素(CO2)排出量規制に対応すれば一部燃料にガソリンを使うことは可能

●将来性は?

  • ピストンの往復運動を回転運動に変えるレシプロエンジンと異なり、燃料噴出の空間と燃料燃焼の空間が異なり、安全性を高い
  • 水素との相性が良い。燃料電池車(FCV)でも技術が生かせる

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今回のロータリーエンジンは小型で発電用ということです。電子版には、図がついています。通常はプラグでバッテリーに充電して走り、補助的に走行距離を延ばすために、エンジンを使用していることが分かります。

補助ですので、小型で出力が高く、また、静寂性が高いロータリーエンジンは、向いているのかもしれません。

記事には、BMWの小型EVの「i3」も発電用エンジンを搭載しているタイプが人気とありました。

 

ロータリーエンジンと言えば、マツダです。また、マツダ以外、誰も作れない製品というのは、完全に独自性がありますので、埋没することはありません。ブランド戦略的も、ロータリーエンジンの活用は良い方法と思いました。

 

燃費の悪さをどう考えるかですが、補助的なものなので、小型や高出力や静寂性の方が重要ならば、チャンスはあるのだと思います。

 

このような部品になると、外販(他社に基幹部品を販売する)をするのかどうかと考えてしまいますが、引き合い次第でしょうか。

 

もし、外販するなら、積極的にマツダpresentsであることを、消費者にも理解できるようなブランド表現手法をとるべきと思いました。誰も作れないのですから、Intel insideのようなことも可能ではないかと思いました。

 

2~3年前に、マツダの技術の役員の講演会を聞いたことがあります。そのときは、燃費の良いエンジンの開発の話で、EVよりもエンジンに可能性があるという話でした。講演会は講演会向けの話で、実は水面下では、色々検討していたのだなと思いました。

 

アマゾンの第2本社

238件の誘致

2017年10月24日の日経夕刊に、アマゾンの第2本社の候補地として、アメリカとカナダから238の自治体が立候補したというニュースがありました。

www.nikkei.com

  • アマゾンは、新設を検討している「第2本社」につき、北米の自治体から238の提案があったと発表
  • シアトルにある本社と同様に、第2本社でも5万人の雇用創出を想定
  • 9月7日からカナダを含む北米の自治体に対して募集をかけ、19日に終了
  • ニュージャージー州やボストン市など大小の多くの自治体が手をあげた
  • ニュージャージー州は70億ドル(約7960億円)の優遇税制を用意
  • アマゾンは最終予定地を18年に決める計画

 

8日の朝日新聞に、より詳細な情報がありました。

www.asahi.com

誘致合戦の凄まじさを伝える事例が多くあります。詳細は、その記事をご覧ください。

現在、アマゾンが本社を置くシアトルの街が発展したのは、1979年にマイクロソフトが来てからで、その後、シアトルは高学歴、高収入の専門職や技術者が増え、金融、法律、会計などの専門サービスが集積し、シアトルはシリコンバレーに次ぐ全米有数のイノベーション都市になったとのことです。

 

その他の朝日新聞からの情報としては、

  • アマゾンは、マネジメント層と技術者中心に最大5万人を雇う予定
  • 平均年収は10万ドル(約1130万円)超
  • 投資額は50億ドル(約5650億円)以上
  • 候補としては、コロラド州デンバー、ボストン、シカゴ、アマゾンが買収した高級スーパー「ホールフーズ」が本社を置くテキサス州オースティンなど

とあります。

 

また、アマゾンが候補地に求める条件が例示されていました。

  • 人口100万人以上の都会
  • 税制などがビジネス向き
  • 専門人材を引きつける都市の魅力
  • レベルの高い大学
  • 米主要都市に連日直行便がある国際空港まで約45分以内
  • 公共交通機関に直接アクセスできる

いたって常識的です。

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この記事自体は、面白かったのですが、そもそもなぜ、アマゾンが第2本社を作る必要があるのかへの言及がありませんでした。

Webサイトをさっとみたところ、アマゾンの事業だけで、シアトルのオフィススペースの19%の面積という紹介もありました。また、シアトルでは家賃が高騰しているようです。

街がアマゾンの発展についていけず、飽和しているのかもしれません。

jp.reuters.com

 

また、高級スーパーホールフーズの買収と関係つけている、朝日新聞にあった予想も面白いと思いました。

確かに、従来の本やCDなどを中心とした雑貨の販売と、これから、爆発的に増えそうな生鮮食料品のネット販売を考えると、シアトルと同規模以上の仕組みが必要であり、業態もだいぶ違うことから、第2本社が必要かもしれません。

さらに、ホールフーズと一体運営するのであれば、その本社があるテキサス州オースチンは、良いのかもしれません。

 

Wkpediaを見ると、オースチンは、市域で約84万人の人口とありました。また、全米有数の規模のテキサス大学の本部があるようです。

 

日本で第2本社というと東京となります。以前、海外から日本に進出する会社のコンサルティングを担当された方が言っていたのですが、海外の会社は特に東京にこだわりがなく、福岡など複数の都市を比較したようです。

しかし、子供の学校や、さっと大人数を受け入れるような住宅のストック、などを考えると、東京になってしまったと言っていました。

 

横浜の都筑区に東京独逸学園という学校があり、ドイツ企業は横浜を選択するという記事を読んだことがあります。

 

一般的に、メーカーで云われていることですが、日本市場をターゲットにすると、東京で事業をすることが多少有利になるのですが、世界をターゲットにすると東京にいるメリットはあまりありません。

 

アマゾンがどの街を選択するのかは分かりませんが、アマゾンの事例は、日本の地方都市にとって参考になるとおもいました。

2017ユーキャン新語・流行語大賞

候補の30語発表

2017年11月10日の朝日新聞に、2017年ユーキャン新語・流行語大賞のノミネートの発表がありました。トップ10と年間大賞は12月1日に発表とのことです。

www.asahi.com

 

コメント

今回は、ノミネートの発表が話題です。投票でもできるのかというと、そうではなく、話題提供、事前告知というもののようです。

 

広辞苑の方は、将来にわたって使い続けるような言葉を新規に採用しますが、こちらは瞬発力です。

 

ちなみに、2016年の新語・流行語は以下です。

  • 大賞:「神ってる」
  • トップテン:「ゲス不倫」「聖地巡礼」「トランプ現象」「PPAP」「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」「ポケモンGO」「マイナス金利」「盛り土」

ということです。大賞は、広島カープのようですが、あまり印象がありません。それ以外は、今でも使う感じです。

 

ただ、新語・流行語大賞は、1984年から毎年やっていることです。自由国民社の「現代用語の基礎知識」の編集から出てきたもので、33年間、毎年、続けてやっている点に、価値があると思います。

 

新語・流行語大賞の特設サイトがあるので、そちらもご覧ください。

新語・流行語大賞

 

2003年からは、生涯学習のユーキャンの冠がついています。スポンサーをしているようですが、両者は資本関係もあるようです。

 

今回の30個の中で、選ばれた意味が解らないものや、よく知らないものが、7つありました。炎上○○、共謀罪空前絶後の、けものフレンズ、線状降水帯、刀剣乱舞ハンドスピナーです。30で、7つで、約4分の1です。

けものフレンズは、アニメの映画というのは理解していますが、内容までわかりません。刀剣乱舞はゲームのタイトルのようです。ハンドスピナーは、フリスビーのようなおもちゃでした。 

 

その年その年の新語・流行語が、どのように変化しているのか調べると、面白そうです。

広辞苑

10年ぶりに改訂

2017年10月25日の日経で、広辞苑が10年ぶりに改訂されるという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 広辞苑の改訂版(第7版)が、来年1月12日発行
  • 2008年1月以来、10年ぶりの改訂
  • 安全神話」「デトックス」「ブラック企業」「がっつり」など、新しい言葉約1万項目を追加。総項目数は約25万
  • 他の新語は、「浜通り」「東日本大震災」など。
  • 「炎上」では「インターネット上で、記事などに対して非難や中傷が多数届くこと」と付記。昔からある言葉に新たな意味が加わった
  • 普通版は9720円

とあります。

 

コメント

日経の記事は共同通信の配信のようですが、朝日新聞に取材されたと思われる記事がありました。

digital.asahi.com

解説は、朝日新聞の記事をご覧ください。

 

実社会で使われており、定着しているものは新規採用されるのだと思いますが、見送りされたものの中でも、「アラサー」「ゆるキャラ」などは、相当使われている言葉なので、採用しても良いような気がします。採用と見送りの差は難しいですね。

 

一方、削除と意味の追加は、その理由が、比較的理解しやすいとおもいました。

 

新しい広辞苑の総項目数が25万項目で、そのうちの1万項目が追加ということですので4%にあたります。大体ですが、10年で日本語が4%増えるという感じです。

 

最近、英語の辞書を一冊買いました。以前、使っていたのが、小学館Progressive英和辞典で同じものにしたのですが、2000年版と2012年版で、12年の開きがあります。体感的には、あまり分からないのですが11万5千語から13万8千語に、2万3千語増えています。

 

あらためて、言葉は生きているなと思いました。

 

岩波書店のWebサイトを見ると、今回の広辞苑に関して、書店向けの案内のほか、報道向け資料がPDF配信されており、詳しく知りたいマスコミは依頼すると報道用基礎資料(PDFファイル、3MB)がもらえるようです。

kojien.iwanami.co.jp

また、岩波書店は、今回の広辞苑の第7版の発売に合わせて、セミナーをするようです(広辞苑大学)。

 

発売日前後にマスコミ宣伝を少しはするのかもしれませんが、基本は、広報(PR=Public Relations)を使ったブランド作りをされているなと思いました。

 

 

GMOブライツコンサルティングのセミナー

パネルディスカッションに参加

●2017年11月9日、10日の両日、竹橋のTKPで行われた、GMOブライツコンサルティング主催のブランドと商標のセミナーに参加しました。ブランド×商標がテーマで、クローズドなセミナーです。ブライツさんのお客様だけのものだったようです。

 

商標管理とブランドマネジメントの双方の経験があるという理由で、パネラーとして、お声がけいただきました。

ブライツさんは、ドメインネームと商標関係の仕事をされていますが、双方でお付き合いしたことがあります。元気な会社です。

 

●パネルディスカッションですが、パネラーには、1日目は、セントエルモスの池田烈さん(ランドーなどにおられた方)、ソフトバンクの網野圭亮さん(法務・商標とブランド部門の双方を経験された方、網野誠先生のお孫さんのうちの弟さんです)、ブランツの今井さん(元ソニーで商標やデザイン部門でのご経験あり)、私です。2日目は、網野さんに替わり、クニエの周治貴伸さん(楽天ドメインネームのマネジメントを成功させた方)でした。

 

参加者は、商標の方が多いということでしたので、その方々にブランディングの知識を持っていただき、業務に生かしてもらおうというのが、主催者の意図のようでした。

 

そのため、池田さんがブランディングとは何かということを事例を交えてお話しされ、私が商標管理とブランドマネジメントの違いを話し、パネルディスカッションでは、今井さんの司会で、組織の在り方などを議論しようというものでした。

 

今まで、以前の会社にいるときに、ブランドの話をしてくれというときは、そのときの会社の動きを説明すれば良かったのですが、会社を離れて一般論として説明するとなると中々難しいなと感じました。

 

また、パネルディスカッションというのは、聴き手の関心事、司会者やパネラーの関心事が一致しないと成立しないので、仕込みが大変だなという感じです。

特に、聴き手の方は千差万別ですので、すべての聴衆が満足する話はないのだと思いますが、想定するマジョリティの聴衆が満足される内容にしておく必要があり、これは相当、準備が難しいなと感じました。

 

言いたいと思っていた点があったとしても、その点に話が及ばないと、当然、言うタイミングはありません。

 

●特許事務所勤務で、通常は、海外の現地の弁護士・弁理士と商標の調査・出願・中間処理・同意書取得などをしているのですが、この商標の仕事と、ブランドマネジメントなり、ブランディングの仕事は、仕事の流れの中ではつながっていますが、役割分担している仕事です。

 

ブランドコンサルの方にはコンサルの役割デザイナーとしての役割、企業のブランディング担当者にはブランディングを進める役割、企業の商標担当者には商標管理を進める役割、特許事務所の商標担当者には権利取得をする役割などです。

各々が、専門化して、双方、何をやっているのか知らない状態を、少しでもつなぐことで、全体の力が強くなればと思っていますが、使うテクニカルタームが違うので、なかなか難しいと感じました。

 

自分自身、外国商標なら外国商標で、より専門家になっていくことが目標であり、それに全力投球することが生きる道です。ただ、全体を俯瞰できることは、今、特に求められていることではありません。ただ、何かの判断のときに、どこかで役に立つことがあるというイメージです。

企業におられる方、特に商標の方は、全体を俯瞰されることが業務に役立つので良いことだと思います。また、ブランド部門の方が商標の感覚を知るのも、悪くないと思います。

 

特許事務所の商標担当者が、ブランドやブランディングの知識を持っていれば、中小企業などで助かることもあると思います。

そして、最終的には、餅は餅屋で、一番、適切なところに、仕事は行くのだと思います。

 

●お声がけいただいたブライツの皆さん、つたない話聞いていただいた聴衆の皆さんに感謝しています。私にとっては、貴重な経験でした。

ミッキー吉野の奥さんの名前

ミニー吉野

2017年11月4日の朝日新聞の横浜版で、ミッキー吉野の奥さんが、11月8日から新宿の高島屋で個展を開くという記事を見ました。

www.asahi.com

  •  横浜出身のミュージシャン、ミッキー吉野さん(65)の妻で画家のミニー吉野さん(46)が8日から、新宿高島屋で個展を開く
  • 油絵やオブジェなど約30点を展示
  • ミッキーさんが音楽を付けた映像作品も展示
  • ミニーさんはミッキーさんがリーダーを務める「ゴダイゴ」のファンの集いに2000年に参加
  • 仲間とミッキーさんゆかりの店を訪れて本人と知り合い、2007年に結婚
  • 「ミッキーの恋人はミニーかな」と画号を決めた

 

コメント

ミッキー吉野さんは当然知っていましたが、奥さんがミニー吉野と名乗っておられることは知りませんでした。

 

ミッキーマウスとミニーマウスの関係にあやかって画名を決めたと言っておられるようです。

 

ミッキーといえば、総理大臣の安倍晋三さんのお父さんの安倍晋太郎と風貌の似ていた、ミッキー安川さんという方もおられました。また、ミッキー・カーチスさんや、ミッキーと名乗る人は他にも沢山おられるのだと思います。

ミニーも同じく、人の名前です。

 

ただ、ミッキーとミニーがセットになると、どうしてもミッキーマウスとミニーマウスを連想します。

 

映画会社が映画の主人公の名前を商標登録していることがあります。目的は、商品化権ビジネスでライセンスをするためなのだと思います。別に商標権がなくても、何らかの漫画などの著作物や、ロゴタイプがあれば、商品化権をライセンスできるのですが、一番確かな商標権を取得されることも多いように思います。

 

ちなみに、J-Plat Patで称呼検索をすると、「ミッキー」「ミニー」では検出されず、「Micky Mouse」「Minny Mouse」では、第41類など多くの商品分類で商標登録がありました。

 

また、最近は、芸能事務所が、所属するタレントの氏名を商標登録していることもあります。こちらは、タレントに対するコントロールを強化する狙いだと思います。 

 

結婚されて10年ということですので、今までディズニーからクレームがないとすると、すでにディズニー側も承認(黙認)している状態だと思います。

 

しかし、もし仮に、今からでも、ミッキー吉野さんやミニー吉野さんが、自らの芸名や画号を商標登録しようとすると、ディズニーは、商標登録に異議申立をしてくるかもしれません。理由は、単純に使われているだけの状態と、権利を取得されてしまうことには大差があるためです。

 

ディズニーではないのですが、昔、映画会社と映画の題号がもめたことがあるので、これってディズニー的にOKなの?と少し思いました。

 

ディズニーの商標権は、「Micky Mouse」というように「Mouse」がついていますので、ディズニーは「Mouse」までつけないとクレームしないつもりなのかもしれません。

DENSO TEN

 

 

 

富士通テンの社名とブランド変更

2017年11月1日のCar Watchに、富士通テンデンソーテンへの社名変更と、ブランドを「DENSO TEN」にしたことについての記事がありました。

 

 

car.watch.impress.co.jp

とあります。

同社のWebサイトの沿革を見ると、もともと独立した会社だったようですが、富士通と合併したのが1968年。富士通テンが分離したのが1972年。トヨタデンソーの資本が入ったのが1973年とあります。トヨタデンソーとは、古くからの付き合いのようです。

 

また、「テン」の由来の説明がありました。

https://www.denso-ten.com/jp/company/philosophy/

社名「デンソーテン」の「テン」は、最高・至上を意味する「天」のことです。
中国古典の「中庸」に「誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり。」という一節があり、
「誠」を企業経営の基本理念として、常に「誠」を大切にしています。
前身の「神戸工業」「川西機械製作所」以来「天」「テン」「TEN」が商標として使われました。

 

コメント

経営的には、自動運転などを目指した、技術者の取り込みが目的のようです。

デンソーが51%の会社ですので、社名が「デンソーテン」になるのは、自然な感じです。

一方、ブランドロゴ(同社は、シンボルマークと呼んでいます)が、「DENSO TEN」になる点に目が行きました。

同社は、以前の社名でも「FUJITSU TEN」としており、親会社のブランドロゴに、自らの「TEN」をつけた形としています。結合型のダブルブランドで、ダブルブランドの一つの典型ではあります。

f:id:yoshikeke:20171108053231j:plain

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このタイプの連結型のダブルブランドは、BtoCではほとんど見られず、BtoBの業界で合弁会社を作ったときに、時折見られるものです。

 

純粋なブランド視点では、このタイプの結合ブランドは、ブランドの個性がにじみますし、ブランドの独自性を守るためには、良くないこととされていますが、分かりやすくて便利なので、時折見られるものです。

 

ただ、富士通の子会社時代も、デンソーの子会社になった今も、テンという親会社があるわけではありません。富士通時代は、トヨタデンソーが、富士通の合弁先であり、現在は、富士通デンソートヨタの合弁先です。

 

テンとしては、非常に上手に親を変えながら、自らの独自性も発揮して、生き残ってきた会社という感じがします。たぶん、従業員感情やトヨタグループ以外への営業に有利と説明され、デンソー側が承認したというものだと思います。

 

テンという言葉の由来は、上述のように立派なものですが、この言葉を、上手く使っているなと思います。

 

実際、商品は、トヨタブランド商品であり、OEMのようなもので、DENSO TENブランドは出てこないと思います。必要に応じて、ECLIPSEを使っている程度です。

また、DENSO TENロゴがでるのは、CEATECやモーターショーや、会社の看板、名刺等だけなのだと思います。

 

どちらにしても、珍しいものです。これがあるじゃないかと言われるとつらいタイプの、ブランドマネジメント担当者泣かせのブランドです。