Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

コーポレートフォント

なぜか、日本の宣伝・販促担当者には人気がない

2018年1月29日の日経の私見卓見のコーナーで、タイププロジェクト社長の鈴木功さんの投稿記事がありました。内容は、コーポレートフォントで企業アイデンティティを確立していこうというものです。www.nikkei.com

  • 企業がメッセージを発するとき、文字を使用
  • デザインを統一した「フォント」を介して、企業は社会にメッセージを送る
  • 欧米では多くの企業が、使用フォントを吟味
  • 企業のアイデンティティーを示す重要な手段
  • 自社名を冠したフォント、いわゆる「コーポレートフォント」を導入する例が増えている
  • 印刷物やウェブサイト上で使用する文字をコーポレートフォントで統一
  • また、店舗とウェブのアイデンティティーを統合
  • 日本企業は立ち遅れている
  • ソニーデンソーなど、グローバル展開する大手がコーポレートフォントの重要性を意識し、独自フォントを導入
  • 企業ブランドの構築の手段として、コーポレートフォントが不可欠

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タイププロジェクトの鈴木社長は、自社名を冠した独自フォントであるコーポレートフォントを推奨されています。

 

ただ、フォントを自社開発することは、お金をかければできたとしても、その出来上がったフォントを社内各部署のみならず、デザイン会社や広告代理店、協力工場に至るまでに配布しないとフォントを統一することはできません。

最近のフォントの会社は、企業の独自フォントを開発することもしてくれますし、そのフォントをネットで販売するところまでやってくれますので、このような企業を使う方法もあります。

 

ただ、そこまでせず、一般的なフォントでも、当社はこれを使うと決めれば良いと思います。当社は、どこどこの会社のヘルベチカ・フォントを使うとか、どこどこの新ゴを使うとかでも、十分代用できます。まずは、そこからのスタートだと思います。

 

欧米では、今回話題にしているコーポレートフォントを使って文章を表現し、他のフォントを使わず、そのフォントの中の級数の違いやBold体を使う程度収めるようにするのが一般的なのだと思います。これは、製品やパッケージのみでなく、宣伝・カタログ等でも守られています。

 

ただ、この話、欧米では一般的ですが、日本の宣伝・販促担当者には、人気のない話です。日本の宣伝・販促担当者は、目立つことを最上の使命と考えて、奇麗にまとまっていることを良しとしません。また、創作の自由度が下がることを極端に嫌がります。クリエイターほどその傾向があります。

 

本来の表現の自由は、(ルールによる)束縛の中にこそあるという言ってくれる人もいますが、クリエイターの同意をなかなか得られません。

 

ソニーがコーポレートフォントを使っているといっても、パッケージデザインやコーポレートツールまでであり、宣伝までは踏み込めていないのではないでしょうか。

 

フォントを綺麗にしたが、売り上げが下がってしまったというのでは意味がないのですが、コーポレートフォントにとって、宣伝・販促は課題です。

 

欧米の宣伝・販促担当者が受け入れているのに、日本の宣伝・販促担当者が受け入れられないというのは、なぜなのかと考えると、日本語の特殊性に行きつきます。

 

日本語の文章には、漢字、片仮名、ひらがな、ローマ字、数字など、色々なものが混じっており、また、縦書きもあれば、左横書きもあります。新聞を見ても、ゴシック体もあれば、明朝体もあり、一つの小見出しでゴシックと明朝がマゼコゼになったものまであります。この多様性は、アルファベットとアラビア数字程度の欧米の文章とは、大きく違うところです。

このあたりが、大きく日本の宣伝・販促に大きく影響をしているような気がします。日本企業がグローバルになりきれない理由の一つではないでしょうか。

ジャニーズ事務所とタレント写真

ネット掲載解禁

2018年2月1日の日経夕刊に、ジャニーズ事務所がタレント写真のネット掲載を解禁したという記事がありました。

www.nikkei.com

  • ジャニーズ事務所は、所属タレントの会見写真などをインターネットのニュースサイトに掲載することを解禁すると発表
  • 従来は、タレントの肖像権保護の観点からネットニュースへの掲載を認めていなかった
  • 今後、記者会見や舞台あいさつなどジャニーズのタレントについて、各メディアが撮影した写真を使えるようになる

ジャニーズ事務所は段階的に変化しているようで、2018年1月4日の日経電子版の記事がありまいした。

www.nikkei.com

  •  ジャニーズ事務所が、公式ファンサイトで所属タレントの写真掲載開始
  • 同事務所はネットでの映像露出を厳格に制限
  • 今後方針変更に踏み切る可能性
  • 違法コピーが大量に出回る可能性がありタレントの権利を守れないとして、ネットでの映像利用に極めて慎重な姿勢
  • 例えば、タレントが表紙の雑誌をネット通販サイトで販売する場合、写真は白抜きや黒塗りに
  • テレビ番組のネット配信の同意も、NHKの紅白歌合戦などわずかな事例だけ
  • SMAPの3人が、ネットテレビ「AbemaTV」に出演し、多くの視聴者の支持を得ている
  • 人気タレント自身の意識が変化

 

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ネット配信の是非も入っているので複雑ですが、ジャニーズは、肖像権の管理を徹底していたという理解です。

 

ブロマイドは、事務所が撮影を依頼して、そのコントロールのもとブロマイド屋さんで販売するので許されるが、個人がコンサートで撮影は厳禁という考え方です。個人で楽しむ分には構わないように思いますが、ブロマイドの時代でも個人で撮影してそれを販売する人が相当数いたので、カメラ持ち込み自体を禁止するという対応になっていたのだと思います。

 

手元の著作権法辞典(出版ニュース社、昭和60年、古いです)によると、肖像権とは人の肖像について肖像者本人が有する権利で、実定法上の規定はなく、判例で承認されたもののようです。人格権としての肖像権と、財産権としての肖像権に分類できます。

  • 人格権としての肖像権は、①無断撮影に対する拒絶権、②作成された肖像の公表・利用に対する拒絶権とあります。(なお、写真の著作権は、撮影者にあります)
  • 財産権としの肖像権は、肖像を対価を得て使用させることを決定する権利で、他人に譲渡可能なものとあります。

基本は、タレント本人の権利ですが、契約で事務所に集めているのだと思いますが、肖像権の二重性は、著作権の構成(著作人格権と著作財産権)と近いですね。

ネット社会の前は財産的価値がメインかと思っていたのですが、人格権的側面も重要なようです。SNSが広がり、自ら肖像を出すことも普通です。

 

アマゾンでジャニーズのタレントのDVDを注文するときですが、そう言われれば、ジャケットのタイトルだけで写真がありませんでした。

解禁といっても、事務所のWebサイトで解禁とか、ネットニュースで解禁とか、一部のようですが、DVDのジャケットも解禁されると良いかなと思います。

 

今は、監視カメラが多いですので、実は個人の肖像は撮られまくっています。こちらの方は、監視の必要性からやっているのですが、こちらと肖像権の関係はどう考えたらよいのかと、ふと疑問に思いました。

東芝のパソコン事業

シャープが買収を検討

2018年1月30日の日経に、東芝のパソコン事業をシャープが買収することを検討しているという記事がありました。

www.nikkei.com

  • シャープが、東芝パソコン事業の買収を検討
  • シャープは2010年にパソコン事業から撤退。以前のブランドは「メビウス
  • パソコン事業に再参入し、迅速に市場開拓するには東芝ブランドの取得が得策
  • シャープはパソコンやスマホなどに使う中小型液晶パネルに強い
  • 自社でパソコンを手掛ければ、液晶パネルの供給先の確保になる
  • 鴻海はHPやデル製品を大量受託生産。パソコン生産ノウハウや部品調達網あり
  • グループ全体で、東芝のパソコン事業を引き受け、軌道に乗せる
  • パソコン事業の買収額は100億円程度
  • 東芝は「ダイナブック」ブランドでノートパソコンなどを販売
  • 東芝の2016年度のパソコン事業の売上高は1918億円で営業損益は5億円の赤字
  • 2017年度はさらに赤字幅が広がるとの見通し
  • スマホ普及による市場縮小の中で台湾、中国勢との競争が激化
  • 新興国での個人向け販売から撤退するなどで、年間販売台数はピークの2011年度の1700万台超から2016年度180万台
  • 過去に台湾のエイスースと売却の協議をしたが、決裂
  • 東芝はシャープ以外への売却の道も模索。条件面で折り合わなければ、協議はまとまらない可能性

 

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シャープは積極経営になって来た一方、東芝はパソコン事業を手放すのかと思いました。しかし、この記事でよくわからないのが、TOSHIBAブランドが残るのかどうかです。

東芝は、国内白物家電事業を美的集団に、テレビをハイセンスに、それぞれ譲渡していますが、TOSHIBAブランドは供与していますので、一般消費者には、TOSHIBAは残っているように見えます。

将来的には、美的(Midea)や、ハイセンス(Hisense)ブランドにシフトするのかもしれませんが、今は、日本では、TOSHIBAブランドでないと売れないという判断だと思います。

 

一方、今回のパソコン事業売却では、TOSHIBAも有名ですが、SHARPも有名ブランドですし、Dynabookのネーミングが使えれば、売上減にならないようにも思います。

 

TOSHIBAのノートPCは、欧米で人気があるので、これが無くなると、欧米でのTOSHIBAブランドの露出が減り、TOSHIBAブランドが一般消費者から見えなくなりますので、この損失は金銭換算はできないですが、東芝にとっては相当大きいと思います。

 

このあたり、どのように調整するのかなと思います。シャープに売却するのは、技術と製造工場だけにして、営業を残し、TOSHIBAブランドでOEM供給を受け、販売を続けるという選択肢はあるように思いますが、既に遅いのでしょうか。

 

Dynabookという名称ですが、パソコンの父のアラン・ケイが提唱した、Dynabook構想に由来するものだそうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF

アラン・ケイが、XEROXパロアルト研究所にいた頃に、このDynabook構想を出したようです。

  • ダイナブックとは、GUIを搭載した片手で持てるような小型のコンピュータ
  • 子供に与えても問題ない低価格なもの
  • 文字のほか映像、音声も扱うことができ
  • それを用いる人間の思考能力を高める存在
  • 1977年の「Personal Dynamic Media」という論文に詳細が記されている

とあります。

アラン・ケイが、Altoというハードと、Smalltalkというソフトで暫定的Dynabook(縦型のデスクトップパソコンのようなもの)を製作し、研究所を訪れたスティーブ・ジョブズが見て、Lisaを開発したようです。

アラン・ケイは、その後、アップルのフェローになったりしていますので、あまり知財権の主張などをするタイプの人ではないのだと思いました。

 

東芝自体、Dynabookの名称は、このDynabook構想から来ていると言っているようです。ちなみに、日本では、アスキーが商標権ともっていたとあります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF_(%E6%9D%B1%E8%8A%9D)#cite_note-3

閃きの番人

今回は自転車のチャイルドシートの事件

2018年1月31日から、弁理士会のWebサイトで、広報活動の一環として掲載している「閃きの番人」の第2作目の後編が掲載されています。

http://www.jpaa.or.jp/comic/

今回は、自転車のチャイルドシートの特許に絡んで、元弁理士が発明を横取りしてしまうという内容です。漫画は面白かったですので、弁理士会のサイトから読んでください。

 

今回の話題は、過去に不正があり、資格を取り消された元弁理士が、弁理士類似の出願などの行為をしており、うっかりと元弁理士に引っかかった女性からの依頼案件です。

 

弁理士がネットで営業しているという設定で、最近のWebサイトで顧客を勧誘するタイプの特許事務所への批判とも読み取れます。

ただ、一般企業に勤務して、宣伝の近くにいた立場から考えると、従来の士業(侍業)が、広告をあまり使ってこなかったことの方が異常ともいえます。ムラ社会すぎます。

 

広告がない場合に、企業が、弁理士なり士業とお付き合いを開始する場合は、業界での評判、税理士さんなりの人からの紹介、直接の営業活動、講演会活動、論文等でレベルの高さの確認、などとなります。顧客は、これらで、直接にレベルなどを確認して、依頼するかどうかを決定します。

たぶん、弁理士が一般的な広告ができなかったときは(事務所名と所属弁理士名を列記する程度の広告はありました)、お客さんは知り合いから紹介してもらっていたのだとと思います。一方、紹介がありますので、元弁理士の非弁行為に引っかかる等の問題は、比較的少なかったと思います。

 

しかし、広告がないことは、特許が一般に広がらない大きな理由でもあります。WebサイトやSNSも広告と考えてですが、これからの時代、広告しない業界などありえません。

 

一方、広告は、どんな内容でもOKというものではありません。電機には電機の、薬品には薬品のルールがあり、ルールを逸脱した広告は消費者や顧客に誤認混同を起こさせますので、業界規制の対象になります。

 

日本の広告規制は、基本は、業界団体ごとに公正取引協議会を設置して自治的に解決する方式ですので、知的財産業務の公正取引協議会を作って、消費者なり顧客企業に対して誤認を与える広告を、ルールを作ったりして自主規制するのが良いのですが、一般消費者が被害に遭わなかったのと、弁理士会というなんでも対応する専門組織があるために、公正取引協議会がありません。この状態は、法律事務所も同じで、このため、アディーレ法律事務所ができてしまったとも思います。

 

今、問題になっているのは、商標業務を格安で請け負い、顧客へのサービスが十分でないことです。例えば、パテントに弁理士会の吉田副会長もその点を言っています。

http://system.jpaa.or.jp/.../jpaapatent201607_001-002.pdf

書いてある金額以外にも支払いが必要があるとして請求されたとか、ちょっと難しい事態になったときに対応できないので他の特許事務所にお願いしてくれと言われたとかです。

 

弁理士業界には、今まで、宣伝をしてこなかったので宣伝のプロがいません。これからの時代、宣伝や広報の担当者のいない事務所は生き残れませんし、もっと本格的に広告すべきです。自分は専門家と言いながら、広告をしないのは、本末転倒と思います。良い商品を作ったら、知ってもらう必要があるのです。

まずは、自分は何が得意であり、過去どのような経験があり、どういうポリシーで業務をしているかなどは、全弁理士が、積極的に出すべきです。(弁理士会のWebサイトに紹介がありますが、非常に良いことだと思ったのですが、利用が低調なようです。)

そして、事務所はどんなサービスに特徴があるのかを積極的に出すべきです。

仮に、今、問題となっている事務所ではない事務所が、見やすく、しっかりした内容のWebサイトを作成して、SEO対策をやって、(検索連動)広告もし、お客さんの声の紹介をすれば、今、問題になっている事務所は価格だけであることが明確になり、問題は解決する可能性があります。それをやらずに、文句を言ってもはじまりません。もう、ルビコンは渡ってしまったのです。

 

提案ですが、弁理士会に宣伝委員会を設置してはどうかと思います。

まずは、特許事務所の担当者の宣伝広報の能力をアップすることが急務です。これが一番の本筋です。いくら広報センターが、パテントを出し、漫画を作って頑張っても、たかが知れています。やはり各特許事務所が、積極的に知財をPRすべきです。そして、事務所経営者は、その人材を評価すべきです。

次に、別の委員会でやっているかもしれませんが、一般消費者からの苦情を集め、それを基にした問題事例集を作ることが必要と思います。そして、弁理士会のルールは、電機や薬品のルールと比べて、十分とは言えないと思いますので、景表法の専門家も入れて(昔の公取、今の消費者庁)、ルール案を作ることが必要です。

最後は、強い権限です。違反者には、アディーレに近い処分が必要になると思います。弁理士会は、裁判覚悟でやる必要があります。

 

ちなみに、広報、広告、宣伝は、違う意味と理解しています。

広報:メディアに対価を支払ない情報(受)発信

広告:メディアに対価を支払って行う情報発信

宣伝:自らを知ってもらおうとする活動一般

 

 

nishiny.hatenablog.com

 

地域団体商標のマーク

特許庁が制定

2018年1月25日の日経に、特許庁地域団体商標のマークを制定したという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 特許庁が「地域団体商標」の新しいマークを制定
  • 地域団体商標として登録された商品と分かるマークがほしいとの要望から
  • 名産品のパッケージやチラシ、インターネットでの広告などに活用できる
  • 地域団体商標は一定地域で周知であれば、農業協同組合や商工会など権利者になれる制度
  • 地域の名物のPRと模倣品や類似品の流通防止
  • 草津温泉」「一宮モーニング」などが登録されており、「横手やきそば」といった「B級グルメ」でも登録可能
  • 商標を使いたい企業とライセンス契約をだ結ぶことができる

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大正10年法には団体標章登録制度があったものを、昭和34年法で商標使用許諾の制度を導入したことから団体標章の制度を廃止して通常の商標登録制度に一元化しました。

しかし、マドリッドプロトコルに加入するため、平成8年の法改正で、団体商標登録制度を作りました。

そして、平成17年の改正で地域活性化のために導入されたのが、地域団体商標です。

 

団体商標は、「商標権者が自らが使用する」という商標法の原則の例外という位置づけで、他人に使用させるだけで、自ら使用しないというものです。識別力や抵触性の登録要件などは、通常の商標と同じです。主体以外はあくまで通常の商標権です。ある程度の登録件数があるようです。

 

一方、地域団体商標は、地域名+商品の普通名称のようなもので登録可能ですいが、そのかわり周知であることが前提というものとなっています。特許庁が、その産品のその名称は、有名ですよと確認してくれているような効果と、商標法本来の独占排他権の効果をハイリッドにしたような制度です。商工会などに、権利主体を広げています。

 

特許のWebサイトを見ていると、地域団体商標の方のかなり力を入れていることが分かります。(一方、団体商標は、ほとんど何の解説もありません)

平成29年12月31日時点で、地域団体商標の出願は1,192件あり、平成30年1月9日現在、地域団体商標の登録は、632件とありました。思ったより、多い数字です。

 

最近、GI(地理的表示保護制度)が、話題になることが多いですが、農林水産省のWebサイトによると、登録数は58件程度のようです。

GIの登録と、地域団体商標の登録は、双方取得も可能であり、「神戸ビーフ」などは、双方に登録されています。

 

GIの方は、GIマークがあり、Good DesignのGマークのように商品に販促に活用も可能です。

地理的表示及びGIマークの表示について:農林水産省

このGIマークに対抗するためのマークが、今回、紹介されている地域団体商標のマークとなります。

 

地域団体商標の目的が地域おこしであり、一方、GIのは生産地の価値の保護が目的ですし、保護対象や効果も違うのなので、制度が二つあっても良いのですが、消費者がその違いを認識して、区別できるかは課題と思います。

全く個人的な意見ですが、マークはGIの方がカッコいいので、勝負ありという感じです。

 

よく似た制度を2つ運用するのは、税金の無駄遣いという気もしますが、切磋琢磨して、地域活性化ができるなら、それはそれで良いかと思ったりもします。

 

富士ゼロックスとXEROXの経営統合

新社名は「富士ゼロックス

2018年1月31日の夕刊から各誌で報道されていますが、富士ゼロックスゼロックスが経営統合するということです。

富士フィルムホールディングスのニュースリリースが出ています。

www.fujifilmholdings.com

今回は、友好的な買収で、富士フィルムからの出がねがないようです。スキームが少しややこしいのですが、次の東洋経済の記事がわかりやすいようです。

headlines.yahoo.co.jp

 

コメント

このニュースの見出しを新聞で見た時は、米ゼロックス全体を富士フィルムが飲み込むのかと思いました。しかし、そうではなく、富士ゼロックスは米ゼロックスの完全子会社となり、その米ゼロックスの50%超を富士フィルムホールディングスが所有して子会社化するという話のようです。

 

はじめは、社名とブランドをどうするのかと思いましたが、ゼロックスの社名が、「富士ゼロックス」となる以外、特に目新しいところはありません。

ブランドは、以前と同様に、日本やアジアは、「FUJI XEROX」で、欧米は「XEROX」のままということです。現実のコミュニケーションでは、社名はそれほど前面に出てきませんので、欧米の消費者にとっては、変化を感じないのではないでしょうか。

 

今回のスキームで、富士ゼロックスゼロックスの統合は進むでしょうから、コスト改善なり、意思疎通なり、経営的な問題は良くなるのだと思います。

 

もしもの話ですが、富士フィルムホールディングスが、ゼロックスのマージをしていたなら、社名やブランドはどうなったのかと想像してしまいます。

XEROXは、非常に価値のあるブランドですし、FUJI FILMもフィルムの事業が無くなったのにいつまでブランドに「FILM」を残しているのかと良く指摘されています。

可能性としては、次の選択肢です。

面白いのは、最後の「XEROX」にするですが、なかなか日本企業では合意ができそうにないものです。

社名は、「富士フィルムゼロックスホールディングス」として、その下に、FUJIFILM社とXEROX社を置き、各々の「FUJI FILM」と「XEROX」のブランドを継続使用するのが、一般的でしょうか。

その場合、「FUJI XEROX」のブランドは消すことになります(本来、「XEROX」で十分ですので)。

 

 

新富士ゼロックスは、富士フィルムホールディングスの子会社でありながら、49%程度の一般株主もいて、上場も維持するということで、ある程度の経営の独自性は維持されます。ちょうどよい頃合いの所で、調整されたのだと思いました。

テラスモール湘南

改装しているようです

2018年1月24日の朝日新聞に、テラスモール湘南の大規模改装の記事がありました。朝日新聞デジタルには、住友商事からのニュースリリースと同じものがありました。

www.sumitomocorp.co.jp

朝日新聞の実際の記事では、

  • 2011年11月のオープン以来の大規模リニューアル
  • 新店舗は2月上旬から4月下旬に順次オープン
  • 約280店舗のうち77店舗の入れ替え
  • 既存の40店舗を施設内で移動
  • 都市型ファッションや雑貨専門店を入れ、地元で人気の飲食店を充実
  • オープン当初は、400億円の想定。ふたを開けると500億円を超えた
  • 客層は、30代~40代が半分
  • 藤沢、茅ヶ崎でけでなく、鎌倉、横浜からも客の流れがあり、想定外の市場規模
  • 規模に合うように、高級品を含める

とあります。

 

住友商事ニュースリリースでは、

などが紹介されています。

 

コメント

戸塚の自宅から比較的近い大規模商業施設です。横浜まで10分ほどですので、通常は横浜に買い物に行きます。横浜は、新宿ほどではないですが、それでも非常に混んでいます。

一方、辻堂は、戸塚駅から15分ほどで、ゆったりとしています。特に、テラスモール湘南は大規模モールが駅に直結ですので、非常に便利な立地です。

朝日新聞の記事にもありますが、大船、鎌倉、戸塚には一応なんでもありますが、大規模商業施設がないので、鎌倉や横浜が商圏になるのはわかります。

 

テラスモールですが、まず、建築が良いように思います。イオンモールの皆同じような建築と比べて、一品製作品のモールですので、個性があります。アラモアナショッピングセンターを参考にしたという記載を見たことがありますが、白を基調としたデザインで、開放感があり、採光も優れているように思います。バウハウス的ではないかと思ったりします。

運営も開放的で、中高生が図書館のかわりに勉強している姿も見ます。住友商事ニュースリリースに、サードプレイスという言葉がありますが、まさしく、そのような感じです。

 

住友商事ニュースリリースでは、シンガポールの政府系ファンドと共同開発したということを知りました。

住友商事の子会社の住商アーバン開発が運営していているものとしては、他に桜木町コレットマーレがあるようです。

www.suk.co.jp

同じ名前で統一するというのではなく、その物件その物件にあった開発をして、場所ごとに名前を変えているという手法が面白いと思います。

大会社でありながら、商標法の想定する、全国規模の名称というものと、全く違うためです。

 

J Plat-Patで検索してみましたが、住友商事名義として、二段併記で、「Terrace Male/テラスモール」の権利が、35類と36類にありました。防衛目的はありますが、小売り役務が認められる前なら、登録を取らなくても良かった状態だったのかもしれません。

 

以前は、商業施設にスーパーが中核施設で入っても、商業施設全体は、地域のものとして、物件ごとに違う名称がついていることも多かったように思います。ダイエーなどは、その方式でした。一方、イオンはそのタイプではなく、全く個性がありません。

 

最後に、住友商事のWebサイトの下にある、ボイラープレートが良くできています。住友商事の6つのマテリアリティ(重要課題)が紹介され、このテラスモール湘南は、そのうちの、特に、「地域と産業の発展への貢献」、「快適で心躍る暮らしの基盤づくり」に資する事業と紹介されています。

CSV的な発想ですが、Webサイトに記載することで、各事業の担当者に、それを日々確認してもらうことが可能になるので、これは、参考になる手法ではないでしょうか。