Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

詐欺行為(Fraud/フロード)

米国の判例(In re Bose Corp.事件)

2018年2月8日に東京国際フォーラムで開催された日本商標協会30周年記念イベントに参加しました。分科会は色々あったのですが、外国法制度部会を聞きました。

ユアサハラ法律特許事務所の黒田亮弁理士による、米国で商標権を取得、維持する際の詐欺行為(Fraud/フロード)の判例についての解説です。

 

 米国の商標出願では、実際に使用している商品だけにして限定して、使用宣誓しますが、不使用商品について使用宣誓した場合、それが理由で、登録全体が詐欺で無効になるか、不使用商品だけが取り消されるかという話です。少し前の判例ですが、重要ということで紹介があったのだと思います。

 

1.事件の概要(In re Bose Corp.事件、2009年8月31日判決)

事件は、Hexawave社が、”Hesawave”商標を第9類で出願したのに対して、Bose社がBose社所有の"WAVE”商標を根拠に、異議申立をしたというものです。

異議申立の宣誓時に、”WAVE"商標の使用を中止していたにも拘わらず、使用していると宣言した点が、フロードになるかどうかというのが論点です。

Boseは、修理をし、返却輸送しており、このことが、取引上の使用をしていると主張しましが、米国特許商標庁の審判(TTAB、商標の審査官・審判官は弁護士です)は、修理や返却輸送では、十分な使用ではないとして、そのような重要な内容をフロードで宣誓したとして、”WAVE"の商標登録自体を取り消しました。

これに対して、Bose社が、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)に提訴したのが、この事件です。

 

2.結論

CAFCは、特許商標庁を欺く意図をもって、故意に誤った、重要な表明を行った場合のみフロードになり、故意を伴わない、誠実な誤解や不注意ならばフロードとはしないとしました。

そして、Bose社の”WAVE”の商標権は、フロードにより登録全体が取り消されるのではなく、使用していない「オーディオテープレコーダー、プレーヤー」だけが取り消されました。

 

3.判例の動向

以前の判例は、商標の登録時や更新をする際のフロードは、故意に誤って重要な表示をしたときだけだったようです。

それが、2003年のTTAB(Medinol v. Neuro Vasx, Inc.事件)で、知っていたか、知っておくべきであったならば、登録全体を取り消すとし、また、欺瞞の意図は主観的意図ではなく、客観的に判断するとなり、フロードを認定て、登録全体を取消しやすくしたようです。

今回のBose社の判例で、特許商標庁を欺く故意が必要であり、また、知っておくべきであったというような厳しい基準もなくなりました。

 

4.まとめ

宣誓書の署名者はすべてを知っておくべきで、過ちがあると、フロードで登録を取り消すべきという立場は、権利をできるだけ実際に使っているものだけに限定する立場です。米国特許商標庁は、その立場のようです。使用主義の貫徹ですが、使用チェックをしている登録簿の信頼性を維持するという気持ちが入っているように思います。

 

一方、故意があるとき以外は、誠実な誤解、不注意、過失、重大な過失などがあっても、欺く意図がないと、フロードでなく、よって、権利全体を取り消すのではなく、実際不使用の部分だけを取り消すというのが、今回の判決です。あまりフロードの主張を認めやすくすると、権利が不安定になるので、故意を要求して、権利の安定性を高める方法です。

 

商標の権利取得や更新には、使用宣誓があります。知財部長などにエンパワメントも可能ですが、代表取締役が署名をしている会社も多いと思います。

その代表取締役が、全ての商標の使用状態を知っておくことは、現実には、無理な場合も多いと思います。

その意味で、Boseの判決は、妥当な判決だと思いました。

 

一方、アメリカは、昨年ぐらいから、登録後の5年ー6年の使用宣誓などのPostーRegistrationの場合に、auditを導入して、チェックを厳しくしています。

審査官の目からすると、登録に記載してある商品・役務で、実際使っていない商標が多すぎるだと思います。特にマドプロや本国登録・本国出願ベースがその傾向のようです。

 

フロードという方法で、不使用商品の権利を制限出来ないので、Auditという方法で、不使用商品の権利を制限することになったということでしょうか。

米国では、欲しい商品だからといって、指定役務を書きすぎるのは、止めておいた方が良いのは変わりません。

アシックスの模倣品対策

模倣品対策の講演会

1月25日(木)に日本商標協会の実務検討部会で行われた、アシックスの齊藤浩二部長の講演会に出席しました。

齊藤さんは、以前の会社で私がブランドマネジメントで、齊藤さんが知財の立場で議論をしたことがある、旧知の方です。

もともと特許を担当されていたのですが、米国駐在員の時に、ブランドの大切さに気付かれ、商標も担当となられた方です。ブランドのことを良く理解されています。

現在は、アシックスの知的財産部の部長として、特許、商標意匠、模倣品対策のすべてを見ておられるようですが、当日の話は、特に中国の模倣品対策と異議申立に集中していました。

 

ASICS(アシックス)は、Onitsuka Tigerからスタートし、次にasics TiGERとなり、現在のasicsになってたようです。しかし、今でも、3つのブランドを使い分けているとのことです。

海外売上比率が、7割5分を超え、アジアで人気ということです。

商標としては、asics、スパイラルマーク、asics TiGER、Onitsuka Tigerの他に、ASICS Stripeというシューズの横にある井桁状のラインが商標のようです。このラインの商標が侵害されているようでした。

 

模倣品を第一世代(部分模倣)、第二世代(全模倣)、第三世代(改変模倣)と整理し、第一世代、第二世代に比べて、最近の第三世代は、相手方は商標などを改変しており、また、自分で商標権を持っていたりして、対処が難しいと説明されていました。

 

模倣品対策とも連動して、異議申立も相当やっておられ、2014年は5件、2015年は9件だった中国の異議を、2016年、2017年と年180件ほどされていると聞きました。

以前は、勝率は、9割5分で、勝つ案件しか異議をしなかったのを、今は、ある意味、勝率度外視で異議申立しているとのことです。

中国の場合は、基本的に署名者が証人喚問されるようなこともなく、代理人任せでOKですので、中国についてはあり得る対策です。

 

面白かったのは、類似商標のモニターで発見された案件は、その出願人名で検索をかけて、異議申立のロングリストを作っているという点です。中国の場合、同じ出願人がよく似た商標を展開して出願することが多いので、これは、参考になる方法だと思います。

 

中国展開した日本企業に共通の失敗として、漢字から中国に入ってしまった点を仰っていたのは、まさにその通りだと思います。

日本でなまじ漢字の社名があったばかりに、それをそのまま中国に移植し、中国では別の読み方となってしまっています。

できれば、ブランドの音を覚えて欲しいですので音訳が望ましいですし、音が無理な場合は意味を伝える意味訳でも良いのですが、単に日本の漢字を持って行ってしまっており、これは問題です。(音も意味も、両方が近いというのが一番です。)

簡単に伝わるからと言って、日本の社名をそのまま移植したのは問題でした。欧米の会社は、アルファベットですので、この点は、しっかりと音か意味を伝えています。

 

少しの間に、だいぶ高いレベルまで進めておられるように思いました。刺激を受けました。 

型番的名称と商標

海外の事例の調査研究

知財管理の2017年6月号(Vol.67 No.6)に、「二文字以下のアルファベット・数字から構成される型番的名称に関する商標調査研究」という論説がありました。

www.jipa.or.jp

会員にならないとWebサイトからは見れないようです。企業の知財部、事務所、図書館等にあれば、確認いたいただけると思います。

アルファベットや数字の組合せにより構成された名称(型番的名称)は、型番として用いるだでなく、商標として用いられる場合もあり、その登録可能性や権利範囲は国によって違うので、海外で調査したというものです。

アンケートを実施し、現地の弁護士、弁理士(現地代理人)に回答してもらったものをまとめたものとあります。

 

内容

日本では、商標審査基準で、アルファベット一文字又は二文字から商標や数字からなる商標、アルファベット一文字又は二文字の前後に数字を組み合わせた商標などは、識別力がなく、原則として商標登録できないとされています(例:「A」「123」「AB2」)一方、使用による識別力の獲得をすれば登録可能です。

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/syouhyou_kijun.htm

(商標審査基準の3条1項5号、3条2項の箇所を参照)

 

一方海外では、型番的名称の商標登録が可能な国が存在し、日本企業にとって悩ましい問題。そのため、海外15ヵ国・地域を調査を実施。そのうち8ヵ国を論文に。

 

型番的名称が、原則として、商標登録されるのは、米国、EU、インドネシア、ブラジル。

逆に、原則として、商標登録されないのは、、タイ、ロシア。

中間が、中国とオーストラリア。

 

 

ただし、米国でも、「Model. No.」と明記して商品裏面に記載するような態様であれば、型番としての使用であって、商標としての使用でないため、商標権侵害にあたらないという反論は可能。

EUでは、数字や文字と商品との関係を考慮して、識別力を判断し、登録を認めるようです。権利行使は、国によって、判断に差がある。

中国は、アルファベット一文字又は二文字、一桁の数字については識別力なしだが、アルファベット一文字と数字を組み合わせれば登録になる。

オーストラリアは、アルファベット一文字、一桁又は二桁の数字は、登録になりませんが、それ以外は登録になる。

 

論文では、まとめとして、ロシアとタイが型番的名称が商標として識別力を有しないとされる傾向があり、それ以外の国は、識別力を有するとされるとあります。

そして、事前の調査や現地代理人への相談を推奨し、その際、型番的な名称がどのような意味を持っているかを説明すること(被服の場合のサイズ由来、アルコール飲料の場合のアルコール度数由来など)を推奨しています。

 

コメント

アルファベット3文字は商標登録されるが(NHKYKKのように)、アルファベット二文字は商標登録されないという、日本の商標審査基準の考え方が、一般の宣伝や営業の方に広く伝わっています。そのため、商標候補が調査で引っかかって、なかなか決まらないときに、じゃあアルファベット2文字プラス数字で商標としておきましょうか、ということになることも多いと思います。

 

この日本の運用に非常に慣れているので、日本の常識と世界の常識が違うとして面食らってしまうというものです。

 

ただ、考えてみると、日本・ロシア・タイ組と、米国・EU・インドネシア・ブラジル組で比較しても、実際上は同じことを言っているようにも思います。

 

日本でも、審査基準の間口で狭くしていますが、使用による識別力の獲得を認めていますし、米国等でも、明確に型番的な使用まではこの商標権の効力は及ばないとしています。結局は、どの国も、侵害判断としては、実際の使用時に商標として機能するように使用(表示)するか、型番としてのみ機能するように表示するかの差であるように思います。

 

また、この問題は、二つに分けて考えると良いように思いました。

一つは、このような商標を採用することの適否です。BMWプジョー欧州の自動車メーカーなどは、このタイプの名称を、明確に商標として意識して採用しています。これは、積極的にマスターブランドを生かすための作戦です。日本ではカメラメーカーなどは、このタイプのようです。

これと、使えるものがないので、アルファベット2文字+数字で行っておこうかとの間には、大きな差があるように思います。

 

二つめは、型番的使用の場合に、訴えられるリスクを低減するには、どうするかです。こちらは使用方法によります。もし、型番的な使用の場合は、その表示方法の徹底が必要になりますし、多少、商標的な使用にもなる中間的な使用態様なら、商標調査等が必要になるように思います。

平昌五輪の公式グッズの偽物

韓国特許庁は捜査権を持っている

2018年2月12日のYahooニュースで、韓国の聯合ニュースの記事で、平昌五輪の公式グッズの偽物が横行しているという記事がありました。

headlines.yahoo.co.jp

  • 平昌冬季五輪の公式グッズが人気
  • ロゴマークを不正に使用した商品などが多数出回っている
  • 特許当局による取り締まり件数が少ないとの指摘あり
  • 平昌五輪グッズの偽物についての特許庁の取締まりは押収物90点
  • 98万ウォン(約10万円)相当
  • 一方、関税庁は先ごろ、スポーツ用品、衣類・靴など平昌五輪関連の偽物の集中取り締まりで27億ウォン相当の違法輸入品摘発(合計16万点)
  • 特許庁は取り締まりは限定的
  • 偽物が横行する海外インターネットサイトについては、中国の一部サイトを監視しているのみ
  • 現場での取り締まりは五輪の主要競技場周辺の商店街など限られた地域のみ

コメント

五輪グッズで、偽物が横行するのは、特に驚くような話ではありません。マスコットのぬいぐるみやキーホルダーなど、沢山出ているのだろうと推測します。

これに対して、刑事事件になるようなケースには警察が動き、輸出入の水際取締として税関が動くことは、日本でもおなじみです。

 

また、中国では模倣品対策は行政がメインで、一般的な税関以外にも、商標では工商行政管理局(AIC)が、意匠では質量技術監督局などが模倣品対策を担当しています。

 

この韓国の記事では、特許当局による取り締まりとあり、これはどういうものだろうかと興味を持ちました。

 

特許庁の韓国模倣対策マニュアルには、次のような説明がありました。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/manual/pdf/korea2012_1.pdf

  • 韓国知識財産保護院(KOIPA):オンライン上の模倣品対策としてロボット検索を主体に24時間モニタリング
  • 商標権特別司法警察隊:韓国特許庁内に、警察官とは別に特別司法警察官吏として、商標権の取締り権限がある(他に文化体育観光部の著作権取締要員に特別司法警察権がある)。押収、捜索、拘束などが検察・警察の協力下でなくても可能で、適時効果的な執行が可能。
  • サイバー捜査隊:韓国の警察庁サイバー安全局が、ハッキング、ウイルス製作・流布と同様にネット上での商標権侵害やデザイン侵害、著作権侵害に対応。
  • 偽造品商品申告報奨金制度:特許庁に事務局があり、商標、不正競争防止法に違反する偽造品業者を発見したものは、誰でも申告可能で、規模に応じて報奨金が支給される。

報奨金制度も大変参考になる制度ですが、何と言っても特別司法警察権を、特許庁が持っているのは、驚きです。

 

日本では、厚生労働省麻薬取締官海上保安官などが、特別司法警察職員とされていますが、これを特許庁が模倣品対策のために持っているというのは、進んでいると思います。

 

日本でも、ネットを中心に模倣品が大量に発生する時代になりましたので、韓国のように、特許庁文化庁に捜査権限が付与される時期が来るのかもしれません。

 

 

中国と日本のAMAZON GO

京東、イオン、JR東日本AMAZON GO

2018年2月10日の日経に、中国の京東集団(JD.com)の無人スーパーの記事がありました。

www.nikkei.com

  • 電子決済や顔認証等の技術を使った無人スーパーを500店展開予定
  • 約80平方メートルの店内に、食品、日用品など約500品目。日本のコンビニのようなもの
  • 万引き対策もあり、利用者は京東のネット通販サイトに事前に個人情報を登録
  • 入り口のカメラに顔を認証させれば入店可能
  • 商品を選び、出口で立ち止まるとセンサーが商品に付いたICタグを識別、決済
  • 決済ができなければ出口の扉は開かない
  • また、代金を自動計算する「買い物カート」を使った高級スーパーも1千店舗展開予定
  • 買い物カートは客の後を自動的に追い、入れた商品の代金を自動計算

 

また、同日の日経には、イオンの幕張の本社の記事があります。

www.nikkei.com

  • イオンがIT(情報技術)企業との連携。無人店舗など次世代型の小売業にはIT活用が不可欠
  • 2017年末、イオン本社にコンビニのような「無人店舗」。イオンの従業員向けの実験店
  • 電子マネー「ワオン」で入室。支払いは顧客が機械で。購入自体は無人化。
  • 棚にセンサーなどはなく、悪意があれば商品の代金を支払わずに済む
  • アマゾンが米国で始めた「アマゾン・ゴー」のような無人コンビニを開くには、足りない技術も多い

 

その他、少し前の記事になすが、JR東日本無人コンビニの実験の記事がありました。

www.nikkei.com

  • 客は店舗入り口のゲート前でICカード「Suica」などを使って入店
  • 商品棚から商品を手に取り、出口の前に来ると、ディスプレーに購入する商品名と合計金額が表示
  • 確認し、Suicaで支払い
  • 商品棚の前には小型カメラが1台ずつ設置
  • 客が棚から商品を手に取ると、AIは「商品が棚から1個減った」と認識
  • AIは天井にあるカメラを通じ、その商品を誰が取ったのかを把握
  • システムの開発は4年ほど前に着手
  • 弁当を電子レンジで温める時は火花が散る恐れ
  • コンビニでは商品単価が低く、ICタグを付けるとコストが見合わない

www.nikkei.com

  • JR東日本は、昨年11月20~26日、JR大宮駅で無人コンビニの実証実験
  • ITベンチャーのサインポストが特許を有する無人決済システム「スーパーワンダーレジ」
  • JR東日本スタートアッププログラム」の一貫。スーパーワンダーレジは同プログラムの最優秀賞を受賞した技術の一つ

コメント

AMAZON GOが進んでいると思いましたが、中国や日本企業も、同じところを狙っているようです。 日本は遅れているのかなと心配しましたが、そうでもないようです。

nishiny.hatenablog.com

 

イオンは、社員用のものなので、まだ本気ではないとして、中国の京島東集団の無人スーパーと、JR東日本の大宮駅の実証実験は、本気のようです。

 

特に、JRのものは、Suicaで決済ができるとすると、導入が非常に簡単です。アプリ取得の手間もかかりませんので実現可能性が非常に高いものだと思いました。

ICタグは、コスト面で課題がありますし、確かに、ICタグを電子レンジに入れると危険です。これらの点で、京東集団の方法は、課題があるように思います。

 

ただ、JR東日本の実証実験の写真では、棚の一つひとつにカメラのような突起物があります。実証実験であり、ちゃんとした店舗ではないので、このような形状になったのかと思いますが、デザイン的には改良の余地がまだありそうです。

 

新幹線の売店や、駅のKioskでは、電車が来るのにレジが並んでいたりして、ドキドキすることがありますが、これが導入されれば、素早く購入できそうです。

 

一点、Apple音楽配信サービスをソニーがなぜできなかったかということと共通しますが、この類のことを始めるときに、法務(コンプライアンス)が事業の芽をつぶしてしまわないように気を付けることが大切だと思います。

一方、事業を推進する人は、法務の意見は参考にしつつも、最後は消費者が求めるものが勝つと信じて、事業を進めることが重要だと思います。

 

図書館の本の返却

モラルと督促と延滞料

2018年2月5日の日経夕刊に、図書館の本が返らないという記事がありました。公立図書館では、督促はがきを送る費用や手間もコストがかかり、また、延滞料を取ることもできず、現状はモラル頼みという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 公立図書館は延滞料を科すこともできず、モラル頼み
  • 足立区は2017年度までの2年間に、10年以上返却されなかった約2万冊分の長期未返却の本について返還請求権を放棄
  • 督促はがきは費用や手間がかかる割に効果が薄い
  • 代わって未返却期間が比較的短い利用者への督促を強化。業者に委託、一軒一軒戸別訪問。4割ほどが返却に
  • 新宿区は、未返却本が、2015年度までの4年間で4502冊
  • 貴重な書籍や他の自治体から借りた本などは職員が直接訪問して返却請求
  • 返し忘れや返したつもりになっていたケースが大半。入院や急な転居で連絡がとれないケースもある
  • はがき代は、足立区は2016、2017年度の2年間で計210万円
  • 未返却本の存在は図書館共通の悩み
  • 海外では延滞料を科すことで未返却を防ぐ
  • 米国では多くの図書館が1日当たり一冊1ドル未満の延滞料を徴収。未返却が問題になることはない
  • 日本の図書館法は「入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価も徴収してはならない」と規定しており、延滞料制度の導入は難しい

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自宅の本棚が小さいため、新しい本を買うと、古い本を捨てる必要があります。しかし、なかなか捨てるのも難しいので、図書館にある本なら図書館で借りようと考えるようになりました。

ライフネット生命出口治明元会長(別府の立命館APUの学長になられたようです)の『本の「使い方」』という本で、図書館を複数利用するという記載があります。

これを倣って、最近は横浜市日比谷図書館を使っています。 

戸塚の図書館など、開架閲覧室にはあまり本がありませんが、どうやら地下に書庫があるようです。

 

しかし、保管スペースには限界がありますし、図書館には新刊本も沢山来ますので、汚くなった本や不要な本は、ある程度、整理して捨てないと無理だと思います。この点が、全部保存することになっている国立国会図書館とは違うところです。未返却本ですが、ある意味、保管スペース問題の解決策になっている面はあるのでしょうが、希少本、見たい本、借りたい本が、返却されていないと困ったことになります。

 

今のところ、一番強い威力があるのは、図書館は未返却者には貸し出し禁止処分だと思います。借りたい人は、返却しないと次の本が借りれません。しかし、もう借りなくても良いと思っている人にとっては、意味がありません。

 

図書館法を見ましたが、確かにこの文言がありました。この法律は自治体の図書館に適用があり、国会図書館大学図書館、私立の図書館には適用がないようです。

 

ミスで返却が遅れた場合に、あまり厳しい対応はどうかと思いますが、ある程度はきっちり管理しないとモラルハザードにつながります。

 

この条項は、入館することや借りることなどの費用は取らないということだと思います。どうも記事からは、所有権に基づく物件としての返還請求権だけで構成しているようです。刑事の窃盗罪にすると処理が大変ですし、犯罪のレベルとして程度は高くないので、後回しになるのは分かります。

 

ただ、図書館法の下でも、本を破損したときの損害賠償は十分構成できますし、返却されてこなかったりしたときの返却のための手数料見合いを請求する債権的な方法はありそうです。

 

アメリカの1日1ドル未満というのも結構高い金額です。1年なら36,500円未満となってしまいますので。この金額は、案外、懲罰的な意味あいも入っているように思います。

セブンイレブン

2万店を突破

2018年2月1日の朝日新聞に、セブン-イレブンの国内店舗数が、2万店を超えたという記事がありました。digital.asahi.com

  • セブン-イレブンの国内店舗数が2万店超え
  • チェーン展開する小売業の2万店超えは国内で初めて
  • 全国に2万4千カ所の拠点を持つ郵便局に迫る規模
  • セブン―イレブンは1974年、東京・豊洲に米国生まれのコンビニエンスストアとして1号店を出店
  • 2019年には沖縄県に出店し、空白県がなくなる見通し
  • ファミリーマートは、1万7517店
  • ローソンは、1万3803店
  • コンビニは全国に5万5千店。コンビニの「飽和」を指摘する声
  • 総菜に力を入れるスーパー、弁当を売り始めたドラッグストアなど業態間競争
  • コンビニ大手8社の既存店売上高は、昨年12月まで7カ月連続で前年割れ
  • セブン―イレブンも昨年10月、5年3カ月ぶりに既存店売上高が前年割れ

とあります。

 

また、このニュースに関する、セブン-イレブンのニュースリリースには、出店ペースのことと、海外展開の状況が説明されていました。

www.sej.co.jp

1974年5月に1号店がオープン

1976年5月 100店舗

1980年11月 1,000店舗

1993年2月 5,000店舗

2003年8月 10,000店舗

2013年8月 15,000店舗

2018年1月 20,000店舗

とあります。

国内は、2018年1月末時点、20,033店舗で、東京圏、大阪府、愛知県、福岡県に多いようです。

世界には、17ヵ国で、64,319店舗(2017年12月末時点)

(日本を含んだ数字ですので、海外だけなら、44,316店舗)

具体的には、次の国です。

日本、アメリカ、韓国、タイ、台湾、中国、メキシコ、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、シンガポール、カナダ、デンマークスウェーデンノルウェーUAEベトナム

 

売上高、店舗数のグラフがありました。

www.sej.co.jp

 

コメント

売上高・店舗数の軌跡が、あまりに綺麗なグラフで、こんなに順調な会社が世の中にあったのかと驚きました。円高や技術革新で疲弊した家電メーカーとは大違いです。

 

それでも、沖縄にはまだ出店していなかったのですね。2万店もあるのに、このあたりは非常にゆっくと進めているのだなと思いました。

 

海外は、買収した本家の米国のセブン-イレブンが展開しているようです。日本人よりは、契約交渉が上手そうですし、フランチャイズビジネスの本場の国ですので、海外展開はそちらにやってもらうのは良い方法だと思います。http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/017/720/20160817sekai.pdf

フランチャイズ自体が、商標とノウハウがセットになった、ライセンスビジネスですが、現地フランチャイザーを自前の子会社でするだけではなく、現地の有力企業に任せているのだと思います。

(実は米国のセブン-イレブンに、日本の1号店が出来る直前ぐらいに行ったことがあり、お店で「7-up」を凍らせて砕いてドロドロにした飲み物を何回か飲んだ記憶があります。午前7時から午後11時まで開いているのでセブン-イレブン/7-11なのですが、勝手に7-upから来ているのかと思っていました。)

 

先日、富士フィルムXEROXを子会社にしましたが、こちらはその先を行っていますが、どのように米国セブン-イレブンと、その先の現地フランチャイザーをコントロールしているかについては興味のあるところです。

 

コンビニが全国で、5万5千店舗あるということは、2,200人に一人程度の割合で、コンビニんがあることになります。

 

以前あった街の小売業がコンビニに置き換わり、便利で綺麗にはなりましたが、個性が減ってきているのは否めません。

 

記事では、スーパーだけでなく、ドラッグストアが弁当を売るようになったとあります。まだあまり見たことがないのですが、もし弁当が軌道に乗れば、コンビニの強敵になりそうです。