Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

人生100年時代

ライフシフトの考え方

2019年5月11日の日経で、中山淳史さんの「人生100年時代のテンショク」というコラムを読みました。

人生100年時代のテンショク 新たなステージ試そう :日本経済新聞

 

  • 経団連は、イノベーションを生む組織実現のため、通年採用を提唱しているが、パブル入社組の社会還元も課題
  • 貸借対照表では、人という資産の価値は出てこない
  • 反対に、損益計算書では、人はコストとして出てくるので、人員削減すると株価があがる
  • M&A時は、BSに載らない資産である、ブランド力と人材の優秀さが価格プレミアムに
  • 日本の大企業の仕事への熱意は、23ヵ国中最低。熱意がないのでイノベーションが起こらない
  • 企業にも、個人にも責任
  • リンダ・ブラットン教授の100年時代の話。「ライフシフト
  • デジタル技術を医療技術の進歩で、80才まで働く時代
  • 人生をいくつかのステージに分け、学びと転職を繰り返すべき
  • 徳岡教授も、自分を事業主と考え、自らのビジョンづくり、棚卸い、計画策定に責任をもつ時代と
  • IPS細胞の山中教授も、臨床整形外科→薬理学→分子生物学→がんの研究→ES}細胞の研究と、多様な職歴
  • 人生のピークが後半にずれるライフシフトの時代は、第2、第3ステージがもっとよくなる人生を試してみてはどうか

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 ライフシフトという言葉をはじめて見たのですが、次の本のようです。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

本を読んではいないのですが、ざっくり解説しているWebサイトが沢山あります。たとえば、

まとめ・要約|LIFE SHIFT(ライフ・シフト)|リンダ グラットン|読書会で紹介された本一覧 | ライフシフトサロン‐大阪読書会

 

驚いたのは、2007年生まれの人の50%までは、104才(日本は107才)まで生きるようになると推計されているとのことです。

 

先日、鯉が200年生きる(金魚でも15年)という話を聞いて驚いたのですが、人間も医療や食事などの環境が良ければ、100才まで生きるのかもしれません。

 

子供のとき、親は歯磨きをしてくれるこもなく、虫歯になり、小中高と歯医者の常連になり、詰め物、かぶせ、差し歯まであるのですが、

自分の子供達は、丁寧な歯磨きの習慣があり、成人も超えていますが、虫歯が一本もありません。

私が80才まで生きることができるなら、子供達なら100才まで長生きしそうです。

 

52才で転職して、65才の定年退職まで、残りの13年と思ったのですが、外国商標や英語の勉強をしている間に、あっという間に、2年経ってしまい、残り11年となり、どうしようかと思ったのですが、

80才までと考えると、勇気は出てきます。26年あります。2期に分けて、13年づつですので、何かできるような気はします。

といっても、私の年代では、70才が良いところですので、後、16年ですが。

 

さて、転職当初は、3年で、一人前の商標弁理士になるといのが、目標でした。

  • 1年目は、英語の勉強
  • 2年目で、外国商標実務の勉強
  • 3年目で、論文を書く。業界団体に出る

というような目標だったのですが、

1年目から、英語も実務も業界団体(1年目は商標協会の国際活動委員会。2年目は弁理士会の商標委員会)もとなったので、

2年たっても、英語も、外国商標実務も、まだ、これで良いというレベルには至っていません(永久にならないものかもしれませんが)。

 

今年は、弁理士会の商標委員会と、商標協会の外国法制度部会に入れてもらいました。

 

また、通常の事務所の外国商標の仕事以外に、ブランドマネジメントの仕事は多少ありますし、その他の仕事もありそうです(もちろん、収入は所属事務所に入ります)。

 

現時点、企業勤務のときよりも、残業も多くなってきており、一見、忙しそうに思えますが、毎週の東阪の出張がないことと、気を遣う会議が少ないこと、自分で完結する仕事であることなどから、勤務時間の割には、体感的には、楽なような気もします。

 

企業と特許事務所では、時間の流れ、密度が違います。一日の時間が経つのが早いのですが、疲れは少ないのです。出来ないことを要求されないためでしょうか?

人生が長くなるとは、こういうことかもしれません。

 

 

ONKYOのホームAV事業の売却

米社に売却

2019年5月15日の日経で、オンキヨーが、主力のホームAV事業を米社に売却するという記事を読みました。

オンキヨー、主力ホームAV事業を米社に売却へ :日本経済新聞

 

  • オンキヨーは、主力のホームAV事業の売却に向けて米サウンド・ユナイテッドなどと協議
  • 最大でオンキヨーの連結売上高の7割弱が対象
  • AVレシーバーと呼ぶアンプや高級スピーカー、ミニコンポなど
  • 2015年に買収したパイオニアのオーディオ事業と統合した子会社「オンキヨー&パイオニア」などが対象
  • オンキヨーが手掛ける3事業のなかで唯一黒字
  • サウンド・ユナイテッドは、幅広くオーディオ製品を手掛け、2017年には「デノン」などの有名ブランドの取り込み
  • オンキヨーは00年代に音楽プレーヤーの台頭を受けて経営が悪化
  • 2012年、ギブソン・ブランズと資本・業務提携を結んだが、2018年にギブソンが経営破綻

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大阪の守口市に住んでいた時、時々、オンキヨーの工場跡地にできた、アル・プラザ香里園に行っていたので、少し親しみがあります。

同じ敷地にオンキヨーの事業所もまだあって、ショッピングセンターは土日は忙しく、会社は土日は休みなので、会社の駐車場が、土日はショッピングセンターに開放されるという面白い方法だったので、良く覚えています。

 

Wikipediaによると、松下電器のスピーカー工場の工場長が作った会社とあります。そうなんだという感じです。

オンキヨー - Wikipedia

 

地理的には近いですが、松下電器との関係は、ほとんどないと思います。その後は、東芝との関係が深いようです。

ソーテックのPC事業も買収していたようです(もらったものですが、個人的に、Winsows3.1のソーテックPCを使っていました。My first PCです。ソーテックは東芝の子会社だったように思います)。

ギブソンとの提携とか、パイオニアのAV事業買収とか、思い切ったことを、色々やっているんだなという感じです。

 

さて、今回、ホームAV事業を、デノンも持っている米社に売却するということですが、売上の7割の事業を売って、3割に集中するというもの、思い切った方法です。

 

うまく行けば、経営学の教科書に載るような話ですが、どうなるのでしょうか?

 

サウンド・ユナイテッドは、デノン、オンキヨー、パイオニアなど、複数のブランドを取扱うことになるのだと思います。マランツもあるようです。

Sound United

 

一つの会社で、複数の名の通ったブランドを扱うという、ビジネスモデルですね。

オーディオ市場は、レコードにCDになったときに激変し、iPodなどで激変し、2回の地殻変動がありました。

ONKYOやPioneerは、その中を、何とか残ったブランドですので、会社はどうなってもという訳ではないですが、ブランドとしては生き残って欲しいと思いました。

通常の商標管理とは違うレベルの判断です。

 

コメ兵とコメダ

コメダ店舗でブランド品の査定

2019年5月9日の日経電子版(南関東・静岡)の記事で、コメダとコメ兵が、ブランド品の査定・買い取りサービスを、横浜のコメダ珈琲店で始めたという記事を見ました。

コメ兵、横浜のコメダ店舗でも ブランド品査定 :日本経済新聞

  • 横浜市内の「コメダ珈琲店」(横浜江田店)で、21日までの期間限定
  • 移動式のトラック
  • ブランド品をコメ兵の鑑定士が査定、買い取り
  • 査定した人にはドリンク無料券を配布。待ち時間に店舗で使うことができる
  • コメダとコメ兵の連携は名古屋市内の店舗に引き続き2度目
  • フリマアプリが普及している一方、ブランド品などは直接鑑定士に査定してほしいという声

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小ネタなのですが、非常に面白い記事だなと思いました。

「コメ兵」と「コメダ」で、「コメ」が2回出てきます。

コメ兵は、名古屋の会社です。コメダも、名古屋の会社です。

まず、名古屋(愛知県)の人は、「コメ」が好きなのかなと思いました。

 

このゴールデンウィークに、横浜→広島の福山→京都・奈良→伊勢神宮→横浜と、西日本横断をしたのですが、新幹線や近鉄特急から見ていると、愛知県のあたりは、水田が広がっており、明らかに関東や関西と風景が違います。

 

名古屋=コメなのかなと思いました。

コメ兵が、移動買取店舗を持つとして、どこかに行く必要があります。駐車場、集客力、話題性、いろいろ考えると、コメダ珈琲になったということなのかと思います。

 

このようなコラボ企画は、間に、広告や店舗装飾等の双方の会社を知っているような、マーケティング関係の会社が、企画をしたり、間に入ることが多いですが、この「コメ兵」と「コメダ」は、どうだったのかなと思います。

 

おそらく、仕掛け人はコメ兵側だと思います。もし、マーケティング関係の会社が間に入っていなくて、コメ兵の人間が、いちから企画をして、コメ兵側からコメダにお願いをしたと仮定して、そのとき、コメ兵の担当者が電話連絡でコメダにアポを取りの電話するときは、緊張するだろうなと想像しました。

 

大企業の場合、持ち込まれる企画を選択するというようなことが多いと思いますが、マーケティング関係の会社にやってもらうよりも、自分達で企画した方が、圧倒的に面白いと思います。実際はどうだったんでしょうか?

 

あと、コメコメなので、米米CLUBも思い出しました。広告に出てもらえれば、話題性は抜群ですが、どうでしょうか。

ちなみに、米米CLUBの出身者に名古屋(愛知県)の人はいないようです。

米米CLUB - Wikipedia

 

Appleの異議の話

APFEL ROUTEのリンゴロゴ

2019年5月4日のengadget日本版に、アップルが、ドイツの自動車道路のリンゴ型ロゴに、異議申立てをしているという記事がありました。

japanese.engadget.com

この道路は、菜園や果樹園の木々の側を通る自転車用道路で、リンゴの道(Apfelroute)と名付けられたそうです。

今回はロゴ(商標)は、既にドイツ特許商標庁(GPTO)によって、承認されたようですが、GPTOに異議申立をし、また、観光協会にロゴの使用の中止を求めているとあります。

更に、記事には、European Regional Development Fund(ヨーロッパ地域開発基金)に異議を申立てているとあります。

 

観光協会は、自転車道のみでロゴを使用することで、アップルと和解を試みているとあります。

 

アップルは、リンゴロゴについて、ドイツで取り下げを求める例は、今回が初めてではなく、2011年には家族経営のカフェの商標登録の取消を求めて裁判を起こしたとあります(2013年にアップルが負けたようです)。

 

記事は、今回もアップルは負ける可能性が高いが、アップルに似たロゴを使うと訴訟の負担を強いられるという意味での、抑止効果を狙っているのではないかとしています。

 

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アップルは、ここまで異議をするのかというのが感想です。

engadgetで、確認いただきたのですが、このロゴ、どこが似ているのだろうかと思います。こんなリンゴの図形は、どこにでもありそうです。

また、アップルはコンピュータやスマホ音楽配信、Web上のサービスなどであり、自転車道はとは関係ありませんし、そもそも、道路などの公共的なものは、商標を登録する対象である、「商品・役務」でもありません。

 

おそらく、記事にある、今回のロゴを使おうとしていた、Apfelroute用のユニフォーム、自転車ラック、サイクリングマップなどの具体的な商品(グッズ類)を商標では指定商品にしていたのだと思いますので、それらについての異議申立ではないかと思います。

 

それにしても、ユニフォーム、自転車ラック、サイクリングマップと、アップルの製品・サービスは、離れています。そして、何より、ロゴが違います。

 

何でも、異議申立をする団体としては、赤十字も有名です。「+」(プラス)の十字のマークがあれば、どのような商品・役務でも必ず異議申立をすると聞いています。そして、和解の条件として、「赤」を使わないという一筆を取るというものです。

これは、一度、遭遇したことがあります。先輩に聞くと、何回か、当たったことがあると言っていました。

 

リンゴのマークを使うと、訴訟を起こされる可能性があるので、止めておこうという抑止効果を狙うとあり、分からないでもないですが、混同や悪意のない相手方に対して、やり過ぎな感じはします。

 

アップルは、知財や法務予算も潤沢にあるということでしょうか?

 

記事で面白いと思った他の点は、アップルは、観光協会にロゴの使用の中止を求めているという点と、ヨーロッパ地域開発基金に、異議申立をしているという文章です。

 

米国企業は、異議申立書の中で、ロイヤルティのことを書いてくることがあります。映画のタイトルとバッティングしてしまったときなどは、売上の8%を通常請求しているなどと記載がありました。

当時は、金額に、非常に驚いたのですが、特許庁で争う商標登録異議申立では、登録になるか、ならないかが争点であり、金銭的な和解は、特許庁外で勝手にするなら、すべきものです。

特許庁に出す、異議申立書に記載があっても、脅し程度の意味しか無いと思います。

 

ドイツは、欧州式ですので、識別力は審査しますが、抵触性は無審査で登録になり、あとは、当事者の異議待ちで、異議申立の一定期間に和解するのがメインで、和解ができないときは、特許庁が類否を決めるとなると思います。

特許庁の判断としては、過去の登録例などと比較して、非類似で、アップルが負けると想像はしますが、それまでの異議申立に対応する法務コストを考えると、どこかで和解もありえます。

 

もう一つ、ヨーロッパ地域開発基金にも、異議を申し立てているとありますが、ヨーロッパ地域開発基金は、観光協会と、共同出願人か何かなのでしょうか?

単なる資金提供者に異議を申し立てるなど、聞いたことがありません。

これも特許庁への異議申立なのか、別途、当事者間の交渉があるのは、記事からは不明です。

 

良くはわからないことが多いですが、アップルは、時間やコストをかけて、よくやるなという気はします。

 

ちなみに、下記はドイツ語なので、英語への自動翻訳で見ただけですが、アップルの弁護士からレターが来ていることや、商品を限定して和解したこと、アップルが求めたのは、グリーンの葉っぱを取ることだったなどが記載されています。

Apple gegen Apfel-Route - Konzern fordert Anpassung von Logo - GameStar

 

異議申立は、単に特許庁に異議申立をするだけではなく、関係者にレターを送るようです。欧州型の制度は、和解を推奨しているのですから、それはそうですね。

欧州型の制度は、国が商標を使わせてあげるという、恩恵主義的な、国親思想的な、日本の制度よりはだいぶましだと思いますが、訴訟や交渉の巧拙がもろに出てくる制度という面もありそうです。

 

コクヨがぺんてるに出資

4割弱の筆頭株主

2019年5月11日の日経新聞で、コクヨがファンドを通じて、ぺんてる筆頭株主になったという記事を読みました。

コクヨ、ぺんてるへの4割出資を発表 海外開拓狙う :日本経済新聞

とあります。

 

コメント

コクヨニュースリリースを見ていると、ぺんてるに気を使った文章になっています。水面下での積極もなかったのかもしれません。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7984/tdnet/1702507/00.pdf

 

コクヨのリリースでは、ぺんてるの商品が、紹介されていました。

  • エナージェル
  • オレンズ
  • サインペン

エナージェルはジェルのボールペン、オレンズは0.2mmの折れないシャーペンの芯、サインペンは文字通りサインペンです。

 

サインペンは、ぺんてるのWebサイトでは一番TOPに記載されているので、どうも同社の看板商品のようです。

商品紹介|ぺんてる株式会社

 

Webサイトを見ていると、他に、特徴的な製品は、修正液(ホワイトと呼んでいるものです)、筆ペンがあります。

個人的につかっている、シャープペンシルは、ぺんてるのスマッシュ(SMASH)とシュタイン(STEIN)でした。いい製品だと思います。

 

筆頭株主といっても、37%程度ですので、子会社にはなりませんし、ぺんてるの経営は独自に進めるのだと思います。

 

ぺんてるの海外ルートの活用などの協業ができればよいのですが、ぺんてるの海外事業にいる人たちは、ぺんてるの商品が好きで、ぺんてるの商材にほれ込んで、集まった人達だと思いますので、実は海外販路の活用など簡単なことではないと思います。

 

これは、資本が50%を超え、子会社になったとしても、商流を活用するのは簡単なことではありません。

 

一方で、この程度の出資があれば、デサント伊藤忠ではないですが、コクヨの意向を無視した経営はできません。ぺんてるの経営者は、コクヨとのWinWinを考えないといけないので、そこは割り切る必要がでてきそうです。

 

反対に、仮に、コクヨの出資比率が、50%を超えても、ぺんてるブランドは残した方が良いと思います。

ぺんてるの商品ラインナップは、高級文具ではありませんが、それでも、文具などは、趣味的な商品ですので、ブランドが重要です。コクヨブランドにすると、売上減になるように思います。

 

50%にもなっていないので、カルソニックカンセイ・マレリの件とは、そもそも違いますが、ブランド統一とは、まったく異なる運用が必要なように思いました。

新社名・新ロゴ

カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリ

2019年5月11日の日経で、自動車部品のカルソニックカンセイと、フィアット・クライスラー・オートモービルズの自動車部品部門のマニエッティ・マレリが、年内に経営統合して、社名をマレリにするという記事がありました。

 

カルソニックカンセイ、「マレリ」に社名統一 :日本経済新聞

 

  • カルソニックカンセイは、7200億円でマニエッティ・マレリの買収を完了
  • 最短6か月で2社の製品ブランドや社名を「マレリ」に統一
  • 単なる部品ではなく、総合システムを提供する
  • カルソニックカンセイは、KKRの傘下で、空調がコックピット製品
  • マニエッティ・マレリは、モーターなどEV向け製品

とあります。

 

コメント

買収したのが、カルソニックカンセイですので、統合会社の社名をカルソニックカンセイにするのが通常ですが、今回は、反対に被買収会社のブランドを採用しています。

こうなると、マレリ側も悪い気はしませんので、一気に経営統合が進むように思います。

さすが、KKRです。カルソニックカンセイの社長も、外国人ですし、変なノスタルジーはなく、組織拡大のための最善策を考えると、自然とこうなるのだと思います。

 

この説明は、カルソニックカンセイニュースリリースに説明がありました。

https://www.calsonickansei.co.jp/news/uploads/190510-1.pdf

  • 世界共通のブランドとして「マレリ(MARELLI)」を採用
  • マリエッティ・マレリは、イノベーションに定評
  • カルソニックカンセイは、製品力や品質の高さといった「モノづくり」に定評
  • 今後は一つのブランドとして競争力を高める
  • 世界中で知られる統一ブランドの構築は、グローバルな影響力を強化するための大切なステップ
  • 新しいブランドは綿密な調査と分析を重ねて選定
  • カルソニックカンセイは、日本およびアジア地域で確固たる地位
  • マニエッティ・マレリは世界中のお客様に高い認知度。ブランド価値も浸透。そのブランド価値を保持
  • マレリのブランドの下で一丸となる。つのブランドと新しいイメージ(※新社名と新ロゴ)で2社が一つになり、共通したアイデンティティで世界をリードする

とあります。

 

新ロゴは、双方のロゴカラーを承継しているようです(図形がカルソニックカンセイの水色で、MARELLIが、マレリの紺色)。また、上向きの二つの矢印に意味を持たせています。

 

f:id:yoshikeke:20190514053551p:plain

 

良く考えれていますし、この図形は、重要です。部品事業では、小さい製品に、文字ではなく、簡単な図形商標を刻印することが必要なことが多いので、とりわけ重要です。

商標権の調査をしたわけではないので、ロゴとしての感想だけですが、単なるMでもなく、個性もあり、しかし、ある程度複雑で、非常に良い図形商標だと思います。

 

Wikipediaに、面白い情報が載っていました。

「Magneti Marelli」は、イタリア語では「マニェーティ・マレッリ」だそうです。それが、カルソニックカンセイのリリースでは、「マニエッティ・マレリ」としているそうです。

確かに、イタリア語風に発音するには、日本人やその他の国の人には、難しいのかもしれません。

それと、「g」は発音しないのですね。

マニエッティ・マレリ - Wikipedia

 

ちなみに、カルソニックカンセイは、カルソニックカンセイが一つになった社名のようです。

カルソニックは、もともとは、日本ラヂエーター㈱と云ったそうです。

カルソニックカンセイ - Wikipedia

 

会社はイタリアと日本に事業会社を置くようですが、どの国の法人かは、リリースからは不明です。

誤訳の案内板

翻訳ソフトの問題

2019年5月11日の日経夕刊に、観光関係で、翻訳ソフトを利用した誤訳が発生し、訪日客が困惑しているという話があります。

誤訳の案内板、訪日客が困惑 退出口に「出て行け」 :日本経済新聞

事例として、紹介されいるのは、

  • 大阪スカイビル:「お帰り口」→「你退出」(「あなたが出ていけ」の意味に)
  • 東京地下鉄:「走路分散注意力是非常危険的」→直訳すると、「歩きながら注意力を分散させるのは危険」(歩きながら「スマホを操作する」ことを注意したかった)

大阪地下鉄は、2018年9月に、自動翻訳ソフトを使い、日本語のサイトを、英語、中国語、韓国語、タイ語に翻訳して閲覧できるようにしたそうですが、次のような問題が生じ、外国語対応のホームページを閉鎖したとあります。

  • 大阪地下鉄:「堺筋線」→「Sakai muscle line」       
  • 大阪地下鉄:「天下茶屋」→「World Teahouse」

大阪とは、明示されていませんが、記事には次の交通関係の事例もありました。

  • 3両目:eyes3
  • 遺失物センター:Forgotten center
  • 小人:dwarf(こびと)

とあります。

 

看板会社の社長は、誤訳は訪日客の感情を逆なでするとコメントし、

ある中国語の教授は、自動翻訳は制度が向上しているが、専門家やネイティブのダブルチェックが必要とします。

 

コメント

まず、中国語などの英語以外の言語は、見ても分かりませんので、自動翻訳に頼らず、専門家やネイティブに聞くしかないなとい感じです。

 

日常の商標の業務でも、多言語を目にしますが、たいていの場合は、重要なところは、英語か日本語に翻訳してくれています。

英語の情報が十分でなく、Google翻訳で、チェックしたことがあるのは、ドイツ語、スペイン語トルコ語の中間書類ぐらいです。

 

今は、英語以外の言語でも、安く翻訳してくれる会社も多くあると思いますので、看板を作るようなときは、安易に素人が翻訳ソフトで対応せずに、翻訳会社を頼るべきだと思いました。

 

英語についてですが、例えば、Google Chromeで英語のサイトを見るときに、設定を少し変えると、日本語に翻訳して表示してくれます。

例えば、大阪地下鉄のサイトは、今は、日本語サイトしかありませんが、それを設定を変えて、英語で表示を選ぶと、

と出てきます。記事と同じような状況です。

 

Google翻訳で「3両目」と単語で入れると、「eye3」と出てきました。これは違います。一方、同サービスで、「遺失物」は、「Lost and found center」と出てきます。これはこれで良さそうです。

「小人」の「dwarf」はそもそもあまり見たことのない単語です。 "Snow White and the Seven Dwarfs" (白雪姫と7人のこびと)のdwarfです。

 

少し前から、機械翻訳の方法が変わり、翻訳の精度が大幅に向上していますが、文章の中での翻訳ではなく、単語単位で翻訳すると、文脈がつかめないので、使用例の多いものが出てしまい、意味が分からなくなるということでしょうか。

 

大阪地下鉄は、複数言語にするために、一挙に自動翻訳ベースのシステムに変更したことが問題だったのだと思います。

個人が設定を変えて、自動翻訳した場合は、オフィシャルに供給されている日本語サイトを、自分で翻訳ソフトで翻訳しているので、責任は個人にあります。

大阪地下鉄が、日本語以外は、自動翻訳であり、間違っていることもありますよと、注意書きを入れる方法もありますが、公的な大阪地下鉄が供給していると、どうしても、公式の説明のように見えるので、ミスのもとになるという点が問題なのだと思います。

 

自動翻訳であることを認識して割り切って使う部分と、公共交通機関のように、お金をかけて翻訳すべき部分があるようです。

 

一般に、ドイツ語、スペイン語圏は、少し不親切なところもあるのですが、日本語の代理人は、海外の人にどう映っているのでしょうか?