Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

小野市観光協会の「ONO消しゴム」

業者任せと類似判断

Yahoo!ニュースで見のですが、神戸新聞NEXTのニュースで、小野市観光協会が作成した「ONO消しゴム」が販売中止になったという記事があります。

神戸新聞NEXT|総合|許可なく「ONO消しゴム」販売中止 小野市観光協会

写真は、神戸新聞NEXTで見てください。

(「MONO消しゴム」の色は、上から、青、白、黒なのに対して、問題になっている「ONO消しゴム」は、色が水色、白、黒のものと、オレンジ、白、薄緑でインド国旗のような色のものの2種類です。)

  • 「MONO消しゴム」はトンボ鉛筆が製造
  • 兵庫県小野市観光協会は、パロディー版の「ONO消しゴム」を同社の許可を得ず作成
  • 「MONO消しゴム」は青、白、黒のストライプ柄で、色彩の商標として日本で初めて登録された
  • 製造した大阪府内の業者は「MONO」の字体やケースの色を変えれば問題ない。トンボ鉛筆本社にも確認を取ったと説明
  • 神戸新聞社トンボ鉛筆本社に確認
  • 業者からの許可申請がなかったことが判明
  • イベントでの消しゴム販売を中止し、業者は代金を返金
  • 同協会は、直接同社に確認しなかったのは詰めが甘かったとの談

また、読売新聞にも、関連記事があります。

「ONO」消しゴム…トンボ鉛筆の商品まねて、無断作製 : 国内 : ニュース : 読売新聞オンライン

 

業者は「以前に同様の商品を扱ったことがあり、その際のルールのままで製造可能と思い込み、トンボ鉛筆の大阪店に口頭で伝えた。ルールが変わったのは知らなかった」

 

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トンボ鉛筆の商標権は、登録5930334 号で、指定商品は第16類「消しゴム」、商標は下記で、色彩の組合せからなる色彩のみからなる商標です。

色彩の組合せとしては、青色(Pantone 293C)、白色(プロセスカラーの組合せ:C=0,M=0,Y=0,K=0)、黒色(プロセスカラーの組合せ:C=0,M=0,Y=0,K=100)であり、配色は、上から順に、青色、白色、黒色が商標の縦幅を3等分しているとあります。

Pantone293C、Panasonicの色と同じ色です。

 

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実際の消しゴムは、長方形ですが、ここでは正方形に切り取っています。
また、「MONO」の言葉はありません。
 
水色、白、黒の組合せは、この色彩のみからなる商標権の権利範囲と言えるかもしれませんが、オレンジ、白、薄緑のインド国旗パターンは、難しいと思います。
 
「ONO」と「MONO」、こちらの方が、近い感じです。
 
実際は、色と文字の組合せで、全体として近いものがあります。トンボ鉛筆側としては、「MONO消しゴム」の希釈化を防ぐために、止めて欲しいものであり、許可を求められたら、NGと回答するというのは分かります。
 
ポイントは、許可を求める必要があるのか、許可を求める必要もない、本来自由にできることなのかですが、判決が出ているわけではないので、この事案からは何も言えません。
 
パロディでも、「フランク三浦」などは、登録可否の審決取消訴訟での話ではありますが、別登録になったりしています。
 
なお、小野市観光協会が、消しゴムについて、インド国旗の色のバージョンを、色彩の組合せの商標として出願しても、使用実績・周知性がないとして、簡単には登録されません。
この点は、使用実績があり、登録されている「フランク三浦」と違う点でしょうか。
 
まあ、実務的には、トンボ鉛筆に許可を求めて、NGなら諦めるしかないというところでしょうか。そもそも、この種の企画をあまり、考えないことですね。
 
先行権利者をどこまで保護するか、パロディをどこまで認めるかは、文化的な許容度のような話ですし、そこには批判精神や機智があり、別の面白さがある必要があります。
レベルの高いパロディと、単なる便乗商法の区別が難しいなと思います。

応用美術セミナー

応用美術保護の再検討―近時のCJEU判決を背景として―(仮称)

 

以前の会社のデザイナーの方から紹介を受け、早稲田大学知的財産法制研究所の主催、デザインと法協会が共催の、セミナーに参加することにしました。

応用美術セミナー(2019年11月16日) – 早稲田大学知的財産法制研究所[RCLIP]

とあります。

会費は無料で、懇親会は4000円です。

 

内容としては:

  • 実用品のデザインが著作物として保護され得るかとの論点(いわゆる「応用美術」の保護)
  • ファッションショー事件及びTRIPP TRAPP事件の2つの知財高裁判決が異なる規範を採用
  • 欧州では、本年9月12日にCofemel事件判決において、応用美術保護に関してのCJEUの判断
  • パンテオンソルボンヌ大学のPollaud-Dulian教授から応用美術やデザイン保護に関する近時のCJEU判決や欧州における議論の動向
  • 奥邨教授から、分離可能性説に立つ米国著作権法による保護の現状
  • 平井弁護士から、日本における判例等の分析
  • 岡本弁護士から、応用美術保護に関しての見解

とあります。

 

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セミナーに誘っていただいたので、申し込みました。

実用品は意匠法で保護すべきで、意匠の保護期間経過後は不正競争防止法立体商標の保護の可能性があるので、著作権法で保護する必要性は薄いという感じが直感的にはしますが、著作権の保護があってはいけないのか、重複して保護できるのではないかというと、重複しても別に良いんじゃないかという気もします。

 

今年の北大のセミナーでも、この辺りの話を聞いたのですが、もう一度、聞いてみようと思います。

日常の商標やブランドの仕事から離れて、法律の世界に触れるのも、良い刺激になります。

 

さて、「デザインと法協会」は、非常に興味があるのですが、終業後や土日ではなく、Week dayに開催されることが多いので、結局、行くことが出来ていません。

JADELA デザインと法協会

弁理士会の研修なら単位の関係もあり、まだ行きやすいのですが、仕事とデザインとどう関係があるのか?などとなると、間接的に関係します、というしかありません。

 

神戸の商標協会年次総会の折に、「デザインと法協会」の峯会長に、土日にやってくださいよと言ったことがあるのですが、企業の方が土日は参加しにくいということで、平日になっているとの話でした。

 

これまで、意匠法改正、AIとデザイン、建築物と内装、などのテーマでやっているようです。

JADELA

 

企業にいると、デザイナーと商標や意匠やブランドの担当者は、非常に近いところにいるのですが、特許事務所や法律事務所となると、すこし距離があります。この協会は、その間を埋めるためのものかなという気がします。

 

デザイナーといっても、プロダクトデザインとグラフィックデザインがあります。双方、著作権がベースで、サブで不競法があります。プロダクトは意匠寄りで、グラフィックは商標・景表法寄りであるような気がします。

 

デザインと法協会、初回の会合が中西元男さんなので、グラフィックデザインにも、配慮されている感じです。

今後、どのように発展するか楽しみな会です。

バウハウス開校100年

各地でイベント

2019年10月14日の朝日新聞の「文化の扉」に「バウハウス 造形に革新」という見出しでバウハウスの紹介記事がありました。

今年はバウハウスがドイツのワイマールで開校して100年ということで、各地でイベントがあるようです。

 

  • 「バウ」は建築。「ハウス」は家
  • 校長のグロピウスは、「すべての造形活動の最終目標は建築」と宣言
  • 生徒は、半年の基礎教育の後、家具、金属、陶器、織物などの工房教育(専門課程)を受け、建築に進む
  • 工房ではブロイヤーのスチールパイプ、ブラントのシンプルで機能的な照明器具
  • 産業都市デッサウの校舎
  • ナチスの弾圧で閉校して、教授陣はアメリカに。世界に広がる
  • 日本では、桑沢デザイン研究所バウハウスをモデルにしたもの
  • 照明デザイナー石井幹子さんも高校一年生のときに見た「グロピウスとバウハウス」展に影響を受けた
  • 「きたれ、バウハウス」展は、12月1日まで、西宮大谷記念美術館で。高松、静岡、東京にも巡回
  • 東京・高井戸の「ミサワハウスバウハウスコレクション」は、11月15日から企画展

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バウハウス開校100周年なので、記念行事があるようです。

建築やデザインの専門家ではなく、弁理士、意匠担当者あるいはブランドマネジメントの担当者として、デザイナーとは良く話をしました。プロダクトデザインを担当するインダストリアルデザイナーもそうですし、広告などのグラフィックデザイナーもそうです。

 

バウハウスの流れにあるような、モダンデザインが好きな方が多いように思います。非常に個人的な印象ですが、特に、広告のグラフィックのデザイナーにその傾向があるように思います。

 

建築家だけではなく、デザイナー、広告関係者、将来このような仕事に就きたい人にとっては、非常に魅力的な展示会なのだと思います。

 

東京では、東京ステーションギャラリーで行われるそうですが、2020年7月17日(金) ~ 9月6日(日) とありますので、だいぶ先のことになります。

巡回展「きたれ、バウハウス」開催館:東京ステーションギャラリー – bauhaus100 japan

 

ミサワハウスのバウハウスコレクションは、所蔵品も多いようですし、是非、見に行きたいのですが、予約制ということです。

ミサワバウハウスコレクションとバウハウス100周年|ニュース&トピックス|ミサワホーム総合研究所

 

グロピウスが云うように建築が、すべての造形活動の「最終目標である」かどうかは分かりませんが、建築は総合的な造形活動であることは、その通りだと思います。

 

建築物が意匠の対象となるという記念すべき年ですので、この年にバウハウス開校100年の展示会を見に行くもの悪くないなと思います。

意匠法改正の説明会

弁理士会意匠委員会メンバーからの説明

2019年10月31日に弁理士会館(商工会館)で開催された、「意匠法改正の概要とその実務上の留意点」という研修会の講義を受けました。講師は、弁理士会の意匠委員会のメンバーです。

 

(法律等)

  • 2018年5月23日付のデザイン経営宣言の別紙から

「産業競争力とデザインを考える研究会」の報告書を取りまとめました (METI/経済産業省)

  • 2019年5月17日 改正意匠法公布→施行は、2020年5月17日までに

「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました (METI/経済産業省)

  • 2019年10月23日 審査基準案(完成版ではない)

第17回意匠審査基準ワーキンググループ配布資料 | 経済産業省 特許庁

 

(改正された点)

  • 意匠は新しいものを奨励するという思想から、意匠の有するブランド価値を保護するに変化→関連意匠制度の拡充、存続期間の延長
  • デザイン経営宣言で、画像デザインや空間デザインの保護について提言→保護対象の拡充へ(画像、空間)
  • 意匠とは、物品の形状等、建築物、画像(ただし、操作画像と表示画像)。コンテンツ画像は、意匠ではなく模様と扱う
  • 物品性は問わなくなったが、用途・機能はある。このフレームは変わっていない
  • 物品の区分の廃止(意匠に係る部品の欄は残る)。
  • 像の場合、意匠に係る物品の欄に「銀行取引用画像」などでも良い
  • 画像は物品の同一・類似ではなく、用途・機能の共通性で類似が決まる
  • メール送信機能の画像がある場合、メール送信機能付き冷蔵庫は非類似意匠で、メール送信機能をタブレットで表示する場合は類似する意匠
  • 商品選択用画像と会議室選択用画像は、類似する意匠。用途・機能が共通している。画像の類似の粒度はこのぐらい
  • 建築は、土地の定着物であり、人工構造物であること
  • 木構造物を含む(橋梁、煙突を含む。世間の定義とは異なるので注意。スキーコース、ゴルフコースは議論あり)
  • 建築では、用途を記載(ホテル、病院など。ほとんどの建築物は、人がその内部に入り、一定時間を過ごすものとして用途・機能の共通性あり)
  • 内装は、内装全体として統一的な美観が必要コメダ珈琲の使用実態は色んな要素が入っている)
  • 統一的な美観は、高いものが必要か、低くても良いか、学者も対立
  • 新関連意匠は、旧類似意匠と現関連意匠の中間のような制度
  • 関連意匠を出願できる期間は10年に。自己の意匠で拒絶されないようにした
  • その他、創作非容易性基準の見直し、複数意匠一括出願、間接侵害の拡充、組み物の要件緩和、図面の要件緩和、光の意匠の審査基準など

コメント

まず、今回の法改正で、意匠をブランド的視点で見ていることは良いことだと思います。日本の製品・サービスのブランド価値にプラスの影響があります。

 

このような大改正がデザイン経営宣言から、1年以内に出てきたといのは、どう理解したら良いのかと思います。通常、このぐらいの大改正をするなら、2~3年は、議論をしないといけないイメージです。

 少し性急な感じもしますが、意匠課で、積年の課題だったのかもしれません。

 

以前の会社の上司が、前回の関連意匠を導入したときに、知財協会の意匠委員会の委員長をしていました。関西の会社で意匠委員会の委員長をするのは無理があり、東京に転勤してまで委員長をやっていました。相当、とりまとめは苦労していたように思います。

 

関連意匠の拡充などは、当時の当初の議論に近いのではないかと思います。

 

それはさておき、建築は大変です。

コメダ珈琲は内装です。これは想定の範囲だったのですが、建築はまさか意匠に来るとは思っていませんでした。

内装なら、レイアウト変更で対応できますが、建築で意匠権侵害があると、建築物の取り壊しが必要になります。ロイヤルティも、非常に高額になり、金額も天文学的になりそうです。

今は、建築の意匠権はないのですから問題はないですが、数年後、意匠権侵害事件になったときには、数億円程度の損害賠償はざらに出てきそうです。

 

海外の建築についてのデータベースがあると聞いたこともありません。調査も審査もできない状態で、どうするのかと思います。オリンピックの佐野研二郎氏の大会エンブレムのような事件が起こりそうです。

これからは著作物と意匠の二重チェックの時代になりそうです。

比較法で見ても、建築を意匠登録している国は、どの程度あるのかと思います。

良く似たビルで意匠権といっても、プロにしか差がわからないのではないでしょうか。ユニークなものだけ保護した方が良さそうです。

 

日本の設計事務所は力がありますが、日本では建築基準法などが厳しく、あまりユニークな建築はできず、日本の事務所も、海外でユニークな建築をしていると聞いたことがあります。

海外でも建築物の保護をしてもらう必要がありますが、そのための布石でしょうか?

 

昔の工業上利用性の説明で、古い英国判例の50個未満のものは著作権で、50個以上のものは意匠法でという整理がありました。そこからすると、建築は一品製作物の極みですので、意匠法で保護する理由はなさそうなのですが、著作権法と意匠法は、ややこしくなりそうです。

 

ただ、意匠・商標の弁理士としては、ビジネスチャンスではあります。建築会社、不動産会社に、出願を提案できます。サービスマーク登録制度前夜と似ています。特許庁を含めて、先行意匠調査はどうするのか?と思いますが。

  

また、今回の説明では、アップル対サムソンのケースに言及がなかったのですが、意匠保護の強化の背景にはあります。

こちらは、ほとんど、アイデンティティとプライドの世界ですので、商標に近いものがあります。 

 

昨日のIPランドスケープの本にも、アップルは商標と意匠の同時出願をしているとあります。

読んでみました

「IPランドスケープ経営戦略」

 日本経済新聞社発行の「IPランドスケープ経営戦略」を読みました。日本経済編集委員の渋谷高弘さんと、IPL経営戦略研究会の共著です。IPL経営戦略研究会では、KIT虎ノ門大学院の杉光一成教授がまえがきなどを書かれています。

IPランドスケープ経営戦略

IPランドスケープ経営戦略

 

 

(第1部、渋谷さん担当)

  •  IPランドスケープとは:最広義では、知財を中核に据えた経営そのもの。最狭義では知財情報を中心とする分析手法
  • IPとは:知財権だけではなく、事業・営業上の有用な情報(個人情報・ビッグデータを含む)、契約、法律上の権利によって生じる非貨幣的資産、商業上活用できる無形資産、人材、ブランドなど広範な知的資産を含む意味(事業場必要なすべての無形の資産)
  • 従来のパテントマップやパテント・クリアランスではなく、知財の状況を分析・経営者に分かりやすく説明し、自社の強み・弱みを踏まえて、新たな戦略やビジネスモデルを提言していくもの
  • IPランドスケープの目的は、経営陣や事業責任者に、経営戦略や事業戦略立案のために提示するもの
  • 知財データを加味した、マーケティング・リサーチ
  • 会社の将来ビジョンの策定、M&Aや事業提携、新規ビジネス、事業構造転換、資金調達で活用
  • 経営デザインシート(大和合金の事例)
  • 内閣府知的財産戦略本部の経営デザインシートの作成で活用

知的財産戦略本部 (シートのダウンロードが可能:経営ビジョンの策定に有用)

  • 知財ビジネス評価書による資金調達(ホニック・正林国際特許商標事務所が協力)

(第2部の具体例で気になった点)

  • アップルは、アイコンやデザインを意匠と商標と特許を同時取得
  • アップルの商標登録では、デザイン単独の商標が多い
  • ダイソンは、電動歯ブラシに進出するだろう

(あとがき:渋谷さん担当)

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昨日の続きのようなものです。渋谷さんのあとがきに、IPランドスケープは経営のオプションではなく、マストだとあります。昨日、手段の一つと書いたのですが、私の認識よりも、重要なものという位置づけなのかもしれません。

 

気になった点を、上にまとめました。M&AにIPランドスケープが有用だとは思っていましたが、将来ビジョン策定、事業構造の刷新に有効というのも、そうだと思いました。そうなると、経営企画に複数名、知財パーソンを送り込む必要が出てきます。

 

特許調査に、マーケティングリサーチを組み合わせると、ほぼほぼ、IPランドマークになりそうです。特許調査の人がマーケティングリサーチを活用するのと、マーケティングリサーチ側から、特許調査に入るのと、双方やらないと抜けが出そうです。

 

杉光教授は、東芝出身ということです。大手電機は、事業は上手くいかなかったが、人材は輩出しているということでしょうか。

 

正林さんは色々やっているなと思ったのと、アップルは、アイコンや電卓やメモパッドなど、商標と意匠をセットで出願しているのは、驚きました。

単に、自社の使用を確保するだけなら、意匠だけでも良さそうです。あるいは、これらの基本的なものは、15年程度では足りないので、商標権も出しているのかもしれません。特許も上手く絡めているようです。知財ミックスですね。私は特許の担当です、意匠の担当です、商標の担当ですというような、狭い話は企業視点では、ありえないなとあらためて思いました。(事務所視点では、依頼を受けて出願するのを、効率化するにはあり得るのですが、モダンタイムスの感はあります)

 

ダイソンは、EVなのかと思ったら、実は、電動歯ブラシや、洗髪・乾燥、ジェットポンプ当のその他のポンプ、加湿などに注力しているようです。製造実習をしていたいので、パナソニックの掃除機の出願が減っているのも気になります。

 

この本、読みやすいですし、面白いので、ご一読をお勧めます。

 

 

 

 

 

 

「知財・経営一体で成長を」の記事

IPランドスケープで、何を分析するか

2019年10月14日の日経の渋谷高弘編集委員の標記の記事を見ました。見出しには「日本の特許戦略、40年進まず」とあります。

  • 日本は1970年代に世界最多の出願国に
  • 2002年に小泉首相が「知財立国宣言」
  • しかし、2010年代に電機メーカーは総崩れ
  • 1970年代の「ひたすら特許を出願し保有数を増やす」「クロスライセンス」から40年進化せず
  • 韓国、中国、台湾で、製造ノウハウに関わる特許が、模倣、再現
  • インテル、アップルなど、欧米はアジア企業を利用
  • 経営トップが知財センス
  • 日本の役員に知財出身者はいない。M&Aや提携でも知財は考慮されない
  • 改革の起爆剤として、IPランドスケープ
  • 特定の技術や市場での自社・他社の情勢を見やすくした、ビジネス分析
  • 米中対立の今こそ好機。独自の勝ちパターン再定義を

コメント

このテーマ、奥が深そうです。渋谷編集委員が最も言いたいことは、経営者が知財をわかっていないという点に尽きるのだと思います。

 

IPランドスケープは、流行り言葉ですが、手段の一つでしかありません。WIPOでもIPランドスケープといっていますし、アナクワもIPランドスケープを売り物にしています。一般社会の目を、知財に向けるための、キーワードぐらいに思います。

 

さて、メーカーであれば、技術者が社長になることは多いのですが、発明者としては知財に関与していたとしても、弁護士・弁理士のような知識はありません。

弁護士・弁理士社外取締役になったり、知財部出身者が社長や役員になったり、経営の中枢にいないことには、最適な経営判断はできないということは、その通りだと思います。

 

モノを作って、売る。そのためには、工場が必要で、社員が必要で、自前の営業ルートが必要でとなりますが、インテルやアップルのように、知財中心の経営になると、工場は外部委託で、営業もライトになり、会社の形態がまったく異なってきます。

以前、会社の先輩が、昇格面談でそのようなことを言うと、君な会社の性格を変えるつもりか?と質問されたそうですが、その通りだったようです。

 

知財ラインセンス契約、物品購買契約、製品販売契約が、シームレスになるので、知財部が知財契約で、法務部が購買や販売契約を見ていることは、ナンセンスです。

メーカーのジェネラルカウンセルは、技術にも明るく、知財実務や、独禁、税務など、あらゆる企業系の法務に精通した、更に、ビジネスセンスのあるスーパーマン(ウーマン)でないと務まりません。

一人の人間で無理なら、法務部長、知財部長、経営企画部長が、チームとなって、対処するしかありません。法務と知財の人材交流など、定期的にすべきです。

 

この30年ほど、人事の問題が大きかったような気がします。知財についての専門知識は、後付けでも身につくということで、知財部の幹部に技術者が来るのですが、どうも上手く行きません。

技術者系の知財幹部は、もともと頭は良い方が多いですし、ある面は良く知っているのですが、基礎的なことを知っていないことも多く、そこが蟻の一穴になるように思います。

 

一方、弁護士・弁理士で、ビジネスにも明るい超一流の人材が企業の知財部にいるかというとそうではありません。弁護士・弁理士では、企業の方が、ワークライフバランスで、処遇が良いからという理由で、企業を選んでいる人が多いように思います。

 

そもそも、日本の弁護士・弁理士に、超一流がいるのか?という話もあり、そう思う会社では、海外の弁護士を採用します。

しかし、その人が、日本の風土に合うかは、疑問です。

 

そう考えると、海外の一流企業の、弁護士・弁理士を分析して、それに匹敵する弁護士・弁理士を育成することが、重要なテーマではないかと思い至りました。

少子化で若手の少ない時代、優秀な若手を、定型業務しかできない専門家に育ててはいけないように思います。

Indeed(調べてみました)

Googleの採用版

Indeedの広告をTVでも良く見かけます。少し気になったので、調べてみました。

Wikipediaによると、2004年に出来たアメリカの会社ですが、2012年からはリクルートの子会社になっているそうです。

  • 求人情報専門の検索エンジン
  • 求人サイト、新聞などのメディア、各種団体、企業の採用ウェブページなど、数千のウェブサイトを巡回して求人情報を収集
  • 求人情報の掲載元へリンク
  • Indeed上から直接応募できる求人もある
  • Indeedが採用に直接関与しない
  • 検索結果の表示画面の広告掲載により収益

とあります。採用のインターネット検索に特化した、検索サイトという感じです。

Indeed - Wikipedia

 

求人側がWebページを持っていれば、自動的に情報収集され、検索結果が出てくるようですが、通常それだけでは、あまりクリックされません。

Indeedには有料版があり、それを利用することで、検索結果の上位に表示され、最大5倍クリックされるとあります。

ワンクリックの単価があり、単価が高いと検索結果の上位に来るようです。

 

また、Indeedを使った検索をサポートするために、Indeedの代理店というものがあるようです。

人事系やマーケティング系のコンサル会社が、Indeedのメリット受けやすいように、Webサイトを作成したり、コンサルティングをしているようです。

 

Indeedへの支払の他、代理店への支払いが必要になりますが、本当に人材に困っているようなときは、活用すると良さそうです。

Indeed(インディード)代理店の徹底比較!代理店の種類や特徴まとめ | | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

 

このIndeedの代理店には、認定代理店と、認定を受けていない代理店があるようです(コンサルしているだけということでしょうか)。

Indeed代理店を強みから徹底比較 | 最適な代理店を選ぶ3つのポイント | 採用マーケティングツール「採用係長」

 

代理店には、ゴールドパートナー、シルバーパートナー、パートナーの区別があり、一覧が、Indeedのサイトに載っています。

Ad Partner | Indeed (インディード)

BtoBのマーケティングブランディングのお手本のような仕組みです。

 

これらの代理店が、各々Webサイトであったり、リアルな営業を通して、Indeedを中心とした採用活動を支援しているようです。

 

各代理店のWebサイトでは、Indeedのロゴが掲出されています(認定バッジの提供とあります。)

各代理店のサイトを見ると、確かに、認定バッジらしきもののありますが、Indeedのロゴも沢山使っているようです。

Indeed運用代行・代理店 | 採用Webマーケティングはindeed広告代理店のネットオン

 

Indeedは、グローバルに活動している会社だと思います。リクルートは良い会社を持っているなと思いました。