監視強化
2019年12月30日の日経に、機関投資家が親子上場についての監視を強化するという記事がありました。
- 日本生命は2020年から親子上場の場合に、社外取締役を3分の1以上か、社外取締役過半数の任意の委員会設置を促す
- 少数株主の利益保護
- 海外から利益相反の懸念
- 株主を平等に扱い全企業が企業価値を高める
- 三井住友トラスト・アセットマネジメントは社外取締役が過半数など
- 大和証券投資信託や野村アセットマネジメントも厳しくなっている
コメント
関連で日経に親子上場が減少してきていると言う記事があります。日立製作所は日立化成を昭和電工に譲渡し、親子上場が22社あったのが3社になったとあります。他に三菱ケミカルホールディングスの田辺三菱製薬の完全子会社化の事例やトヨタのトヨタホームによるミサワホームの完全子会社化の事例がのっています。
親子上場 解消が加速 1年で15社 日立など、事業を選択 :日本経済新聞
親子上場解消の方法としては、完全子会社化の他に、株式の譲渡でグループから離脱させるという方法もあります。
ブランドや商標との関係で言うと、グループからの離脱時はブランドや商標を使わないようにするという点が論点になります。
この点、商標ライセンスは、資本関係や経営支配と分離して法律が出来ているので、法的にはライセンス可能です。
フランチャイズなどは、もともと資本関係のないライセンシーに商標をライセンスするという構成になっています。
ただし、フランチャイズの場合は、スーパーバイザーによる指導や本部による監督が行き届いています。
通常の親子会社の関係では、子会社にフランチャイズほどの手間はかけていません。
従来は、商標管理として、資本の入っていない会社にハウスマークはライセンスしないという不文律があり、それで対応してきた点ですが、最近はこの不文律が機能していないことが多いようです。
この点、個別商標(ペットネーム)は、それでも良いのですが、ハウスマーク・ブランドはそうはいきません。
この商標管理の理解のない、法務部のメンバーや社外の弁護士等がM&Aを担当したりすると、話がぐちゃぐちゃになります。
政府としてもハウスマーク・ブランドと個別商標(ペットネーム)の子会社以外にライセンスする場合の法律を分ける必要があるのではないかと思います。
アメリカでは、naked licenseによる商標登録無効と、ライセンスと品質管理の考え方が、歯止めになっています。
英国法系の各国にはregistered userの名残がありますが、全く何の縛りもない日本は、今、危険領域にあります。
ライセンスの結果、企業混同(企業集団の混同)を起こしている事例は散見されます。
本来なら商標法53条の専用・通常使用権者による不正使用取消審判があるのですが、マークの不正使用の事例はありますが、品質誤認の判例がありません。
この53条の活性化は、大きな論点です。消費者庁などが、訴追できないものかと思います。