Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

「マリカー」の議論(5)(提言)

新事業の促進の視点

Airbnbやウーバーのような、海外で大成功している新規事業がありますが、日本で展開しようとすると法規制があったり、反対する人がいたり、なかなか事業ができないということがあります。

今回のマリカーも、見方によっては、Airbnbやウーバーのような新ビジネスと捉えることも可能です。実際、海外からの観光客には大変喜ばれているようであり、Cool Japanの促進など、東京オリンピックパラリンピックに向かっていく東京という街の楽しさを一層増す効果があると思います。できれば、当初から任天堂の許可を得て、その指導(特に事故対策などの安全面についての指導)や対価支払いに応じてさえいれば、大変面白い試みだったのではないかと思います。

ポケモンGOではベンチャー任天堂の事業の共創ができたわけですから、マリカーで共創の関係に立てないことはないと思いますが、一般的に海外のベンチャーは、非常にしっかりした会社が多く、法務的レベルも高く、大企業顔負けの交渉をしたりする能力が高い企業が多いのも事実です。日本の中小企業も、任天堂は大企業だから中小企業などは相手にしないと初めから交渉を諦めるのではなく、まずは交渉すべきです。

マリカーは、弁護士・弁理士に相談したと言っています。ただ、その相談というのは、弁護士や弁理士に、使用可否についての法的な見解を出してもらうというレベルだと思います。

しかし、今回のケースを見て思ったのは、使って良いですとかダメですとかの判断ではなく、問題になるうるか否かの判断が必要で、訴訟になり問題になったらクライアントの努力が無駄になってしまいますので、弁護士・弁理士は、単なる可否を超えて、ライセンスを受けるところまで提案すべきではなかったと思います。ただし、弁護士・弁理士は、クライアントにそこまでのことが求められていない場合、そこまで提案できないと思いますので、クライアントがそこまでの要求を弁護士・弁理士にすべきかもしれません。

新事業の促進のためには、中小企業も、弁護士・弁理士も、一層、ビジネス的なことを含めて、より濃密な関係をもって、密な相談をすることが必要だと思います。

 

 余談になりますが、先日、大阪に行ったおり、大阪の街中、道頓堀や日本橋などは、世界中の人であふれかえっていました。(特に、大阪城は、韓国人だらけで、韓国の人に大変人気があるようであり驚きました。)

銀座も外国人だらけですし、今回の外国人の観光ブームは、日本をより国際標準の国に変えるきっかけになるような気がします。それに従い、日本企業の知財意識のレベルも上がっていくと良いと思っています。