Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

SUBARU

富士重工業株式会社から株式会社SUBARU

2017年4月1日から富士重工業株式会社は株式会社SUBARUになりますというニュースがありました。
www.sankeibiz.jp

今日は、大きな新聞広告も出ていました。

社名変更自体は昨年のニュースでしたが、4月1日からの変更なのですね。

昨年7月の東洋経済の吉永社長が語っている記事によると、

海外では、Heavy Industries(富士重工業の英語名)と言っても分からず、名刺のスバルのロゴを見て始めて理解されるということで、社名とブランド名の不一致が問題だったようです。

規模を追うのではなく「スバルだったら5万円高くても買っていい」というブランド路線を選び、「どれだけ違いを出せるかどうかは、目指すものの深さによる。」とし、「飛行機メーカーという歴史に根ざしていることがひとつの特徴だ。安全であり、スポーティさや走る楽しさというのを、どこまで突き詰められるかで、スバルのブランド力は決まってくる。」という話をされています。

富士重工業=スバルが、中島飛行機だったということは知っていましたが、今でも飛行機やヘリコプターまで作っている会社なのですね。
www.subaru.co.jp
コメント

以前から、スバルには水平対向エンジンなど高い技術のイメージやスポーティなイメージはありましたが、最近の「アイサイト」で安全のイメージも付加されています。
航空宇宙事業には、高い技術なイメージ、安全に対する配慮のイメージ、航空機の持つスピード感などがあります。スバルは飛行機会社の作った自動車であり、それをブランドイメージとして確立できれば、他の自動車メーカーにはない独自のブランドイメージを持つことができます。

また、自動車で有名なブランドであるSUBARUをつけることで、航空宇宙事業の事業にとってもメリットがあるので、素晴らしいブランド戦略ではないでしょうか。

toyokeizai.net

<スバルの社名の由来>

ちなみに、子供の頃、昴(すばる)という言葉は英語だと思っていました。
スバルのエンブレムの六つの星のことを古来から「すばる」と云うようです。別名、六連星(むつらぼし)で、英語ではプレアデスPleiadesと云うとのことです。
戦前の中島飛行機が、分割され、その一部の会社であった、6社が合流して富士重工業になったことで、それが六つの星のスバルになったようです。

<ブランド戦略から見ると>

SUBAERUの事例を、少し一般的に見ると、ブランド戦略面からは次のようなことが言えます。

  • 社名とブランドを合わせることは素直(コモディティ商品業界や自動車メーカーなどはマルチブランド政策もありえますが、通常は社名とブランドを合わせるのがコミュニケーション上は有利で基本だと思います。)
  • 100周年事業(社名変更やブランドロゴ変更は、周年事業などで深く会社のあり方を考えるときに行われやすい。)
  • ローマ字社名は珍しい(株式会社SUBARU / SUBARU CORPORATIONであり、片仮名社名ではありません。)