Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

マンション管理費の滞納

競売で売却

2017年5月17日の朝日新聞に、横須賀の総戸数700戸のマンション(築19年ぐらい)で、約100戸が管理費を滞納しており、2400万円の滞納があり、管理組合が苦労して、管理会社や弁護士も変えて、最終的には訴訟で競売までして回収したという話がでています。

www.asahi.com

一番悪質な人は、300万円の滞納額だったようです。

まず、訴訟をしたのは、悪質性の高い4名で、実際、競売で売却されたようです。それを見て、13年、14年滞納の人は分割払いや親族が肩代わりをしとあります。

現在は、滞納残高が、計300~200万円に減ったということです。

 

コメント

このマンションでは、7分の1が滞納していたというのは、ちょっと数が多いように思いました。人が払っていないから、自分も払わなくて良いかと思ってしまうのでしょうか。

 

私もマンションに住んでいるので、毎月の管理費はその使い方も気になるのですが、徴収自体うまくいってほしいと思っています。

生存権、居住権などもあり、あまり、きつい法律や運用ができていないのだと思います。これからは、セーフティネットで、公的な転居先があるなら、管理費徴収行為はきつくする方向なのではないでしょうか。

 

今後は、根本的に、人が少なくなり、今後、ますます住宅はあまります。買い手もつかないマンションや住宅が増え、管理費が支払われないマンションも増えると思います。法律や対応ノウハウ等を整えておいた方がよさそうです。

 

今回は、少額であるにも関わらず、訴訟までやったというのが、凄いところです。通常、少額の場合は、弁護士費用の方が高いことが多く、本人訴訟でもしないと元が取れず、泣き寝入りが多っかたと推測します

経済合理性だけでは訴訟できない場合ですが、泣き寝入りするのは良くないと思います。少額でも裁判をちゃんとやることも必要だと思いました。

できれば、管理組合の人の対応の労力も、かかった時間も計算して、慰謝料(損害賠償金)を取ってはどうかと思います。

あるいは、マンション管理の世界にも、JASRACのような団体を作り、強烈な取り立てをすれば、回収漏れは少なくなります。海外では弁護士の法務業務の独占が緩く、会社が法務業務をしていることがよくあります。本来、そうすべきなのでしょう。

 

もう一つの根本的な課題は、最近のマンションは、居住者との関係が希薄だということです。私も今のマンションに引っ越して、3年を越しましたが、ご近所の方には、はじめの日にご挨拶に行った程度で、それ以降、出会ったことすらありません。表札もありませんし。回覧板を持っていくことありません。本当に自由で良いのですが、地震など、いざというときに助けあうためにも、また、このような管理費の滞納を生まないためにも、コミュニティの再構築がまず大事なのではないかとも思います。

知財協会やJEITAの特許のメンバーも、いつも会っているので、ライセンスの話は裁判になるまでもなく、合理的なところで、合意が成立します。会ったこともない人には、裁判などの公的な手段になりがちですが、会ったことがあり、知財協会などのコミュニティがありますので、通常は無茶な話にはなりません。

 

日本的な話合いの方法で行くべきなのか、グローバルスタンダードの訴訟社会に突入すべきなのか、答えはありません。ケース・バイ・ケースですね。