Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

Googleの商標権

まだ、普通名称化はしていない

2017年5月18日の日経に、米国でGoogle社の「Google」商標権が普通名称化して、消滅するかどうかというの裁判があり、米連邦高裁はまだ普通名称化はしておらず、商標として保護されると判決を下したというニュースがありました。

www.nikkei.com

Google」の商標が、「ヨーヨー」「エスカレーター」と同じように無効になるのかが争われていたようです。

Google」という言葉が、「グーグルで検索する」という意味だけではなく、「検索する」ことを示す動詞として使われるケースが増えていることが、商標権の消滅の理由になるかが論点だったようです。

Google社は、競合の検索サービスを運営するマイクロソフトやヤフーが動詞として使っていないことを挙げ、反論していたとのことです。

 

コメント

下記のブルームバーグの記事によると、今回の相手方は、googleという文字列を含むドメインネームを763件も取得しようとしたようです。Google社がサイバースクワッターであるとして異議をし、この相手方が対抗策としてアリゾナ連邦地裁にGoogleの商標は普通名称化(Genericide)しており、取り消されるべきという裁判を起こし、今回の第9連邦巡回区控訴裁判所の判決は、その控訴審ということでした。

www.bloomberg.com

もともと筋の悪い相手方なので、判決は妥当です。ブルームバーグの記事には、普通名称化の事例として、アスピリンもあがっていました。 

 

電機機器の分野では、以前、オーストリアでの「Walkman」が普通名称化というオーストラリア最高裁の判決もありました(「iPod」が出てきた今では、判断も大きく変っていしまうかもしれないのですが)。

注意しておくべきことは、普通名称化は、国ごとであり、グローバルで同じ結論になるものではなりません。日本では、「Walkman」は十二分に商標として機能しており、普通名称といったらソニーさんに怒られます。

もう一つ、独占状態も普通名称化の原因の一つですが、一見完全な独占と思えても、国地域を異にすれば、独占ではないこともあります。例えば、検索エンジンで、Googleがほぼ独占していますが、世界に目を転じると、中国ではGoogleが使えず、「百度バイドゥ)」を使います。

 

以前の会社では、あまり見たことが無かったのですが、特許事務所の商標実務をやってみて、普通名称化は社会では案外争点になっているのだなぁと思いました。

通名称化の防止のために、教科書的ですが、社員への商標教育のほか、商標登録表示(R)の励行や、脚注での商標の主張、商標表記にロゴを使うこと、普通名称的な使用には警告を送ることなど、コツコツとやっていくことが必要なことだと再認識しました。

 

ちなみに、この判決は面白そうなので、機会を見つけて読んでみようと思います。

The case is Elliott v. Google Inc., 15-15809, U.S. Circuit Court of Appeals for the Ninth Circuit (San Francisco)