Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

色彩だけの商標

MONOとセブンイレブン

 2017年5月29日(月)に、如水会館で日本商標協会の定時総会があり、色彩のみからなる商標の講演会があったので、行ってきました。

講演会があり、清水・醍醐特許商標事務所の田邊さんからトンボ鉛筆の「MONO」、カゴメの西平さんから「セブンイレブン」の看板という、最近登録になった2件の色彩のみの商標の説明をしていただきました。

 

(MONO)

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セブンイレブン

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MONOが第一号、セブンイレブンが第二号で、今のところ、この2件だけのようです。

 

MONOは、使用証拠を出して、3条2項適用で登録。商品は最終的に「消しゴム」のみ。

セブンイレブンは、3条2項ではなく通常の商標登録であり、役務もセブンイレブン店舗にあるの「多くの商品の小売り」です。 こちらはアンケートで周知性が立証されていたようです。

 

セブンイレブンは、アンケートを2回取っており、第1回目の調査は認知度が48%で、に第2回目の調査では認知度が88.8%です。双方とも、純粋認知(候補を示さずに回答してもらう方法。候補から選択してもらう助成想起ではない。)ですので、48%でも十分高い数字です。第2回目は、コンビニを利用する人に母集団を絞っているようです。

一方、MONOはアンケートを取っていません。これは、アンケートに時間と費用がかかるため、また、MONOでは必要がなかったためでしょうか。

 

アンケート調査は、ブランドマネジメントでは極日常的にやっているものです。多少、お金はかかりますが、最近は、インターネットを使った調査は極一般的になってきているので、弁理士業務でもルーチンでやれるようになれば良いと思います。

 

双方とも、長年、使っているマークですので、経年変化というか、デザインや色に多少のズレはあるようです。特許庁も、ここは、大目に見てくれているようです。

 

色の指定の仕方が、参考になりそうに思いました。

色指定は、CMYKが基本のようです。PANTONE等での指定もできますが、CMYKとPANATONEの2つで指定することは、色彩の特定が十分でないとしてNGのようです。

 

セブンイレブンの色彩は、白が上下にあるのも構成要素だからでしょうか、実線で囲みがあります。色は、上下、左右に広がりがあり、ここが通常の商標と、色彩のみの商標の違いという説明もありました(論点ですね)。

 

そのほか、色彩のみの商標の課題としては、

ティファニーブルーのような単色での登録が、日本でも登録になるのか?

②取得した色彩のみの商標を、どのように活用するのか?

といったところでしょうか。

 

色彩のみの商標の活用は、何も、商標権侵害事件だけではありません。色彩に思いを込めて色をブランド化するとか、色彩をライセンスするとか、そういう用途には使えそうです。

 

如水会館

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