Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

カールの話

それにつけても、おやつはカール

子供のころ、カールを良く食べました。特に「うすあじ」は、よく食べました。そういえば、最近、食べたことがありませんでした。そのカールが売上高の低迷から、9月から西日本限定商品になるというニュースが、2017年5月26日の朝日新聞に載っています。

www.asahi.com

今後は、松山工場でだけ製造し、近畿地方(除く三重県)以西でのみ販売となるようです。ラインナップも「チーズあじ」と「うすあじ」に限定されます。

理由としては、ポテトチップスに押されて、売り上げが1990年代の3分の1しかないということと、効率化の観点のようです。

いろいろと違うあじも出していたようで、累計200種類以上のあじが発売されていたとあります。

2017年5月27日の日経には、首都圏で「カールショック」という見出しで、首都圏の販売が4倍、近畿圏でも2倍という駆け込み需要の記事がありました。すでに、コンビニでカールを扱っているのはファミリーマートの一部店舗だけということでした。

 

コメント

もともと全国的商品だったものが、西日本限定になるというのが、非常に珍しいケースです。

商標権は、全国に権利が及ぶものです。発祥の地は地方でも、徐々に全国に販路を広げ、最終的には海外にも販路を広げるというが通常の在り方なので、今回はその反対だと思いました。

今は、駆け込み需要の時期で大混乱しているようですが、混乱が落ち着いたら、関西出張のお土産で買ってきてもらうこともできますし、ネットでも買えるので、地域限定といっても、やはり全国的なネームバリューのある商品であり続けるのだと思います。

 

経営やマーケティングの視点でいうと、

選択と集中」となると思います。電機では、ここ20年、づっと「選択と集中」が続いています。電機なら不採算事業があったとすると、製造設備、ノウハウ、商標をセットにして、事業自体を売ってしまいます。食品でも海外などではM&Aは頻繁にあると思います。また、商標権や商品を手元に残したいなら、ライセンスも選択肢だと思います。

 

ではなぜ、西日本限定という中途半端な残し方をしたのでしょうか?

まったくの想像ですが、たぶん、社内の人は、こんなことも議論しているのではないかと想像します。

1.社内に、カールを止める、あるいは手放すことを、潔し良しとしない人達がある。

2.経営の選択肢として、時期がくれば、復活したいという思いがある。

3.関西限定にすると利益率が上がるという試算がある。

4.西日本限定は、話題づくりになるという考え方がある。

5.「カールおじさん」は唯一無二のキャラクターであり、止めるわけにはいかない。

www.meiji.co.jp

こんなところでしょうか。

 

経営の効率化を考えると、日本の3分の1の人口集中地域の首都圏だけ残すというがの通常の選択肢なのですが、西日本限定という点も変わっています。カールの「うすあじ」は昆布あじなので、昆布が好きな大阪人の嗜好にあっているためでしょうか?