Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

カゴメと伊藤園

理想のトマト

伊藤園の「理想のトマト」は、今までのトマトジュースと違って、飲みやすくて、とても美味しいトマトジュースです。リコピンが多く、カリウムも多いので、値段は少し高めなのですが、毎日、飲んでいました(最近、医者にカリウムの取りすぎといわれたので、ちょっとやめています)。

2017年6月9日の朝日新聞によると、この「理想のトマト」に関する特許を無効にすべきとのカゴメの主張を認めた知財高裁判決が出たようです。

www.asahi.com

  • 技術は、トマト以外の果汁を加えずに「濃厚な味わい」や甘みを出す技術で、伊藤園が2013年に特許出願したもの。
  • 伊藤園が)カゴメの一部商品にこの技術が使われていると指摘。
  • カゴメは特許無効を特許庁に申立てたが、認められなかった。
  • カゴメ知財高裁に)提訴し、無効となった。
  • 判決は、「特許の記載からは、濃厚な味わいや甘みを得られる裏付けを他の事業者が理解できない」と述べ、特許は無効と結論した。

とあります。

 

コメント 

判決を見つけられなかったのですが、ネットで検索していたら、宮寺さんという方のまとめがありました。 

agora-web.jp

 

「糖度が7.0~13.0であり、糖酸比が19.0~30.0であり、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が、0.25~0.60重量%であることを特徴とする、トマト含有飲料」とうのが、特許のクレームのようです。

パラメーター特許ではあるが、この範囲に入るとなぜ「濃厚な味わいや甘みが得られる」のかの説明が不十分だとして、特許が無効になったようです。

技術の再現可能性の話しではなく、発明未完成ということなのでしょうか。

 

特許にはあまり関心を持たずに、しばらくやってきたのですが、この話は面白いと思いました。

昔、特許法を勉強していたときに、料理のレシピが特許になれば、面白いのにと思っていました。たぶん、多くの方も疑問に思う点です。

産業革命以前の特許(特別許可)の時代なら、どこかの王様がレシピに特許を与えていても不思議はないのですが、発明、発見に結び付けて特許を考える時代には、何かの発明、発見がないと独占権は与えられないので、権利者になる側にも説明説明責任はあるのだが、味覚は、個人的なもので説明できないということで納得していました。

 

ちゃんと理論的な裏付けさえできれば、パラメータ特許で、今は、簡単な料理(といっても工場でできた完成品のジュースですが)なら、特許になるんだという点は興味を持ちました。反対に、こういう特許が増えるなら、食品メーカーは大変ですね。

 

海外では、味覚関係の特許って沢山あるのでしょうか?