OECD閣僚声明
2017年6月9日の朝日新聞に、OECDの閣僚理事会がグローバル化の弊害を認める声明を採択したとありました。
外務省のホームページに、説明がありました。閣僚声明自体は、英文しかありませんでしたが、確かにグローバル化はすべての人に有益であったわけではないと認めており、グローバル化により広がった不均衡を、議論したようです。
(1)本年の閣僚理事会のテーマは,「グローバル化を機能させるために:全ての人々によりよい生活を」。反グローバル化や保護主義的な風潮が拡大する中,非常に時宜を得た会合となった。
タイトルは、”Making Globalisation Work: Better Lives for All” です。
この文章の最後は、閣僚理事会が今後、”Better Policies for Better Lives" を提供するという言葉で締められています。ブランドコンサルが入って作ったのかと思うような、かっこいい文章です。
コメント
OECDが、弊害を認めたというよりは、グローバル化にも課題があることを示して、OECDとしてできる対策案を提示していくというもののようです。しかし、OECDは、一つのグローバル化の推進役だったようですので、話題になるのは理解できます。
個人的に身近な商標の話になりますが、約20年前の1996年の商標法の改正は、商標法条約(TLT)への対応という、まさにグローバル化のためのものでした。その後、各国の商標法もハーモナイズされ、外国商標出願もマドリッドプロトコルで出願するのが当然になっています。
海外で、ある商品について、数十カ国対応のグローバルネーミングを作るときに、20年前は、問題なく事が運んでも、「2000万は必要です」と言っていたのですが、今なら1000万円というところでしょうか。二分の一ぐらいの費用になっています。これは、グローバル化のプラス面だと思います。費用が安くなったこともあり、外国商標出願自体は活発になっているのだと思います。
反対に、各国制度は均質なものになり、運用も効率が重視され、人の手があま入らない制度になってしまったように思います。言葉を変えると、味気のない、機械的な制度になってきているように思います。
実際に使用している商品カタログを出して説明するというのではなく、WIPOの認めた商品リスト記載の商品・役務の表現が大事になり、マークも標準文字が多くなり、あまり面白くありません。商標法の精神の部分よりも、実務処理を優先させているように思います。
ちなみに、20代の人のために、グローバル化のメリット・デメリットをまとめたこのページは、わかりやすいと思いました。ご参考までに。