Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アリババとSCMP

SCMPを買収した理由

2017年7月12日のQUARTZに、アリババがSCMP(South China Morning Post)を買収した理由を説明する記事がありました。

香港のRISE tech conferenceで行われた、アリババの共同創業者の Joseph Tsai氏とSCMPのCEOのGary Liu氏の対談の記事です。

qz.com

記事には、大略、次のようなことが書いてありました。

(前提)

  • アリババが、SCMPを1年半前に買収した。
  • アマゾンが、ワシントンポストを2013年に買収してうまく行っているで、それとの比較で関心を持たれている。
  • アリババは、SCMPをデジタル時代のメディア企業に変えたいが、北京支持の方向性を持っていると批判されている。

 (SCMPを買収した理由)

  • アリババが、SCMPを買収したのは、中国のストーリーを世界に伝え、西洋メディアの否定的な描写に対抗するため。
  • 香港は、中国と近く、出版の自由があるので、 SCMPは、中国を世界に説明するための最適な手段。
  • Tsai氏いわく、ほとんどのメディアでは、編集者がニューヨークやロンドンにいて、中国を理解していない。

 (アリババの経営)

  • アリババは、SCMPのオンライン版のPaywall(一定の記事以上は読めなくすること)を廃止し無料とした。
  • Tsai氏は、10年の期間を与えている。最初の3年間は人々が好む製品を作ることに焦点を当てる。3年から5年は収益モデルを思いつくことに焦点をあてる。5年から7年は収益性への道を歩む。7年以降は収穫する。そして、10年を超えると自分を創り直おす。

(新聞記事とAI)

  • ちなみに、AIについては、Liu氏から発言あり。ワシントンポストブルームバーグで起こっていることだが、ロボット(AI)が人間の記者を置き換えているとし、AIを使った機械記者のための技術に投資する。

 

対談は、次のYouTubeで視聴できます。 


RISE conference: Transforming a news company in 2017

 

コメント

SCMPは、香港に2か月間いたとき、宿泊した部屋に毎日配られていたので、パラパラとめくっていました。

114年の伝統のある新聞のようですが、近年は経営不振だったようです。

 

英国植民地時代は、香港政庁の御用新聞と言われていたとWikipediaありましので、いつの時代も、なんとか生き残る新聞なのでしょうか。

 

面白いと思ったのは、アリババの動きです。確かに中国は大国ですし、世界から批判されることも多いのですが、一企業のアリババが、自国の正当性の主張をするために、大新聞を買収したというのは、やるなぁという感じです。

発信力のあるOwn Mediaを持つことの大切さはいうまでもありませんが、マスメディアは信頼・信用が違います。

 

日本も、バブルのころ、ソニー松下電器が映画会社を買収しましたが、映画ではなく新聞やTV局だったらなぁと思います。世論形成力が違うと思います。

そのときは、ネット以前の時代なので、まだ新聞は元気だったので、買収対象は不可能でしたが。 

 

企業が、マスコミを傘下に持っていることは、強力な武器にもなります。マスコミとは喧嘩したくないですから。