Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ニュースメディア連合とGoogle、FB

独禁法の例外適用


2017年7月17日の日経夕刊に、米国の新聞社などの業界団体である、ニュースメディア連合(NMA)が、グーグル、フェイスブックに、1社で交渉するのではなく、集団として交渉するという話がありました。

www.nikkei.com

記事には、

  • 現行法では、2社以上が協力して交渉すると、独占禁止法に抵触
  • ネット2強がニュースの拡散ルートをほぼ独占している
  • ネット2強は、自ら記者を雇って汚職を暴いたり、戦地に派遣したりはしない
  • ニュースの製作費用は報道機関が負担
  • 広告収入の大半を2強が獲得する歪んだ構造
  • 集団交渉権を得たのちに、ネット2強に、正当な記事の対価を求めたり、著作権管理の厳格化を求めたりできる
  • 米国では独禁法の例外を認める例は珍しく、例外を認めれるかは不透明
  • NWAには、WSJニューヨーク・タイムズなどが加盟

とあります。

 

コメント

ネットを見ればニュースがタダで見れるので新聞を買わなくなっており、一方、有料で配信して見てもらうのは大変ハードルが高いので、新聞社が軒並み経営危機になっています。米国では、新聞の広告収入も大幅ダウンしているようです。

 

また、Paywall(一定数までは見るがそれ以上は見れない機能)をどのように設定するかは、各新聞社、苦心しているすようです。

日本の新聞社では、日経が電子版を進めており、時間をかけて有料購買者を増やす方針だと思います。昨日の記事にあった、SCMP(South Chine Morning Post)は、購読者を増やすため、当面は無償化とする方針を出しているようです。

 

この記事を見て、アメリカの独禁法が、一社毎に交渉するというのを基本にしていることは、初めて知りました。この点、どうなんでしょうか?

 

特許などは、基本は一社毎に交渉しますが、これは各社の売り上げや、保有している特許権(クロスライセンスのネタ)の量と質が違うため、一緒に交渉することが難しく、個別にするしかないからだと思います。

 

特許でも、標準化特許などは、DVDの特許ライセンス会社のようなものができて、そこにライセンス権を集めて、そこが集団でライセンスするようなスキームができます。標準化特許まで来ると、各社個別では、ライセンサー・ライセンシーの双方にとって、作業量が多くなりすぎるので、そこを合理的に整理したら、このような会社になるのだと思います。

 

たぶん、今回のNMAの話は、そもそも、ふわっとした話ではないかいと思います。2000社が加盟するNWAということですが、そのメンバーが、集団交渉したいネタ(権利)が、そもそも、バラバラ、まちまちなのだと思います。

 

一つで良いので、本当に交渉できるネタ(権利)があり、それらを集めることができれば、ネット2強とも十分交渉できるのではないでしょうか。

 

確かに、マスコミが集めた情報を使って儲けているGoogleFacebookに対して、その利益を還元してほしいという気持ちは分かりますが、そもそも著作権侵害と言えるのかとか、ネット企業と協力関係にあるマスコミもあることなど、考慮すべき点が多そうです。