Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

YouTube TV

アメリカで始まっていました

2017年7月9日の日経に、Google傘下の、YouTube CEOとの対談記事がありました。

YouTube CEOは、Susan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)さんという方で、Googleの16番目の社員で、Googleの広告事業を立ち上げた人のようです。YouTube買収では中心的役割を果たしたようです。2014年から現職で、5児の母で、仕事と家庭を両立させる女性のロールモデルということです。

www.nikkei.com

YouYube TVの特徴は、次のようなものです。

  • VOD(ビデオ・オン・デマンド)
  • 好みのジャンルを登録すると、該当番組を容量無制限でクラウドに自動保存。
  • 録りためた番組を簡単に検索・再生可能
  • おすすめ番組をレコメンドしてくれる
  • 料金は、月35ドル(約3900円)で、一般的な米国のCATVの半額以下
  • ウォジスキCEOは、動画の視聴体験を一新し、より豊かなものにするには100年かかると言っています。

コメント

こんな子沢山の女性CEOがおられるとは知りませんでした。当然ですが、マタニティ・リーブもとられているようです。

また、このYouTubeのサービスは、アメリカでもすべての都市で始まっているわけではないようですが、安いのと便利なので、急速に広がることが予想されます。

 

日本では、無料の地デジやBSが普及しているので、有料のYouTube TVは、それほど普及しないという予想もあるようです。ハードディスク・レコーダーのヘビーユーザーはどうするでしょうか?20万円の最高級録画機と比較すれば、4年で20万円になりますので、高いでしょうか。YouTube TVで、現在無料でない番組がどこまで見れるかでしょうか。

 

仕組みについてですが、AppleのiClouldに、利用者がiTunesやCDから入れた楽曲を預けると、クラウド上には、同じものが沢山出てくるので、クラウド上では同じものは、一番良いデータだけにしてしまうと聞いたことがあります。YouTube TVも、同様な仕組みを使っているのでしょうか?

 

また、古い米国の判例ですが、家庭用ビデオ録画機器が出た当初、ユニバーサル・ピクチャーズソニーを相手に、ビデオ機器は、著作権侵害を助長しているとして裁判を起こし、ソニーがTime shiftという概念を編み出して、ビデオで個人の視聴時間をシフトさせているだけで、著作権侵害はしていないという判決を得たと記憶しています。この考え方は変わっていないと思います。

 

YouTube TVも、YouTubeという会社が、勝手にすべての動画を録画して、それを商売にしているのなら、その時点で著作権侵害になるのを、個人の指示のもとやっているので、著作権侵害にならないという法的構成も可能なうに思います。

 

しかし、たぶんここは、個人の指示というややこしい法的構成ではなく、YouTubeと各テレビ局が、契約して、番組をYouTubeのサーバーに貯めているのでしょうね。

各テレビ局としては、番組をCATVに売っていたのが、売り先が一つ増えただけと考えるのが自然です。

 

ただ、ソニー判例は、これらのYouTube TVなりの法的基礎の一つになっているように思います。後々まで、世界の文化に影響を与えているソニーは、やはり凄い会社だと思います。