Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

デジタル時代の小売業(番外編)

ドンキ・ホーテがユニーに40%出資

2017年8月25日の朝日新聞に、ドン・キホーテが、ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のユニーに40%出資するという話が出ていました。

digital.asahi.com

総合スーパーの2階以上の売り場で何を売るかが課題であり、ドンキは雑貨や日用品に強く、相乗効果が期待できるとしています(ユニー・ファミマの高柳社長)。

ユニーの役員の4割が、ドンキ出身者になるようです。

 

朝日と日経のちゃんぽんになりますが、具体的には、次のような施策があるようです。

  • アピタピアゴの売り上げ低迷店舗にドン・キホーテが入る(まず6店舗)
  • ユニーの閉鎖予定店舗をドンキに移管し生鮮食品を扱う「メガ・ドンキ」風に
  • 一部のドンキにコンビニのファミマを誘致
  • 商品の共同開発、物流の合理化
  • ポイントサービスの共通化を検討

小売業界では、業界の垣根を超えた競争が始まっており、ネット通販のアマゾンなどの台頭も拍車をかけているとの認識(ドンキの大原社長)ということです。

 

コメント

ドンキ・ホーテが元気というのは知っていましたが、ユニーに出資するほどだとは知りませんでした。2017年8月25日の日経によると、売上高は、ユニー・ファミマHDが、8949億円、ドンキホーテHDが8287億円で、同じレベルです。

ファミリーマートの店舗数が17969店、ユニーが201店。一方のドンキは370店ということです。

 

 

ドンキの強さの秘密は、次の記事に、分かりやすく解説してありました。

toyokeizai.net

 

  • 現場への権限委譲
  • 廃番品の販売
  • 圧縮陳列
  • 手書きポップ
  • 迷路のような店づくり
  • お客様第一
  • 夜の活用
  • アミューズメント性

などが特徴のようです。

最近の社長の対談記事でも、ほぼ同じことを言っています。

  • 新・原始商取引(電子商取引ではなく)
  • 顧客最優先主義

special.nikkeibp.co.jp

ドンキにはネット通販と違う、「買い物をする楽しさ」があるようです。アジアのナイトマーケットのような感じです。デートコースになっていたり、飲み会の後にちょっと寄るなど、利用方法も多岐にわたります。

 

私の知っているドンキも地域毎に全く違う店舗です。横浜西口店は夜のアミューズメントで、ここまで売るかという商品を売っていました。神奈川県の自動車試験場のある二俣川店は、普通の総合スーパーです。大阪門真の以前勤務していた会社の前にあるのはディスカウント店です。見事に地域で最適化しています。

 

表面的に考えると、同じ看板で中身が違うのは通常はNGです。商標制度やブランド論では、同じ商標(看板・ブランド)の店舗では、同じ質のサービスの提供が受けられるというのが原則です。

お客様第一の徹底、アミューズメント性の追求、安さの追求などで、結果として驚きを提供するなど、少し抽象度の高いレベルで、同じ質のサービスということなのだとおもいます。

 

同じように現場への委譲が進んでいるビレッジ・バンガードに近いものがあると思いました。