Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

インハウス弁護士

10年で10倍(1931名)

2017年8月21日の日経にインハウス弁護士の記事がありました。コーポレートガバナンスだではなく、企業内で新規事業を立ち上げる際に活躍しているとあります。

www.nikkei.com

インハウス弁護士の任意団体の日本組織内弁護士協会によると、今年6月末で、937社、1931人のインハウス弁護士がおり、2007年の104社で188人と比べて、10年で10倍ということです。

銀行、商社が多く、三井住友銀行20名、三菱商事20名とあります。また、ITも多く、ヤフーが28名とあります。

最近、司法試験の合格者減り、2014年からは2000名を割り込んでおり、2016年は1583名に織り込んでおり、法律事務所の需要(1400名~1700名)、裁判官や検察官を入れると不足ぎみとあります。

また、インハウスになる方は、社会人経験者が多いという記載もあります。

 

コメント

毎年、150人程度(合格者の1割程度)が、企業勤務の弁護士になっているということのようです。合格者に比べて、その1割ですね。もう少し、企業内弁護士が増えてもも良いように思います。

 

ロースクールも、そろそろ、底が見えてきたので、ある意味ねらい目です。社会人で行きたい人はいけば良いように思います。

 

法律事務所も、事務所の方針で、ボス弁のいる昔ながらの事務所、企業に近いような事務所、競争の激しい欧米流の事務所まで色々なところがあります。

ボスの個性が強すぎる、あるいは、競争が激しすぎる事務所よりは、企業の方が時間的にも、金銭的にも安定しているとは思います。特に、子育て世代への支援など、進んでいるかもしれません。

 

企業の人事は、有資格者を雇う方が、当たり外れ少ないと見ているようです。

 

企業内の弁護士は、弁護士である前に社員という点があり、弁護士といえども、会社員です。

社員であるから自分の専門に閉じこもらずに仕事ができるという面があり、ビジネス能力は磨かれると思いますが、反対にいうと法律的な専門性は伸ばしにくいと思います。

 

一般論として、アメリカなどでは、企業弁護士はワンランク下の存在に見られていると聞いたことがあります。やはり、弁護士たるもの、訴訟(litiation)をするlitigatorやBarristerが偉いという考え方です。

しかし、アメリカの事務所でも、litigatorは少数で、実際は契約書を作ったり、相談にのったりするSolicitor的な人が沢山います。そのようなSolicitor的な仕事なら、企業の法務部の仕事とあまり変わらないといえます。

日本の弁護士は、全員、法廷で代理人活動をする前提なのですが、その前提を修正する必要があると思います。

 

28年前に以前の会社に新入社員で入ったときに、弁護士さんの中途入社があり、当時、企業内弁護士は非常に珍しかったと記憶しています。

その方は35歳と若かったのですが部長待遇で来られていました。すでに実務経験もあり、仕事のできる方だったと記憶しています。当時、23歳で弁理士の私は新入社員(平社員)からのスタート(まだ知財の仕事はやったことがない状態)で、同じ3%の合格率の有資格者なのに、これはだいぶ差があるなと思ったことがあります。

当時、言われていたのは、弁護士は社会正義のために存在するのであり、そのため国選弁護人なども受任する必要がある。企業では、その自由がないので、弁護士が企業に就職するのはNGというのが、弁護士会などの論理でした。このあたりも重要と思いますが、どうなっているのでしょうか。