Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

フィリップスの社名

日本法人も社名変更

2017年9月28日の日経に、フィリップスの日本法人の社名変更の記事がありました。

www.nikkei.com

  • フィリップスエレクトロニクスジャパン10月1日付で社名をフィリップス・ジャパンに変更
  • かつてAV機器が主力だったフィリップスは医療機器を軸に事業構造を転換
  • 日本でも医療機器を中心に関連サービスや健康家電の販売を広げる
  • 日本法人は1953年設立。本体の事業入れ替えに対応し、2016年に照明事業を分社化
  • 現在はMRIなど医療機器のほか、ノンフライヤーなど健康に的を絞った家電を販売
  • フィリップス本体は収益性が下がった事業を次々と切り離し、2013年に社名から「エレクトロニクス」を外した
  • 主要国の現地法人で「エレクトロニクス」が残っている国は日本だけだった

フィリップスのニュースリリースには、次のようにありました。

www.philips.co.jp

  • フィリップスのミッションは「2025年までに年間30億人の生活を向上させる」こと
  • 高齢社会における日本の医療と健康問題に一層向き合い、社会への貢献を果たしていく
  • ヘルステックカンパニーとして生まれ変わり、デジタル化を加速
  • フィリップスのデジタル・プラットフォームにおいてプロフェッショナル・ヘルスケア(病院の医療)とパーソナル・ヘルスケア(ホームケア)をつなぐ

コメント

フィリップスの事業構造が、昔のAV機器などから、医療機器に大幅にシフトしているという話はよく聞きます。デジタル化の波が来て、誰でもAV機器が作れるようになり、一挙にコモディティ化が進んで事業の収益性が低下したため、各家電メーカーはAV機器以外の分野を模索しました。フィリップスはまったく新しい事業分野である医療機器の会社に生まれ変わるという事業判断をして、そのように事業構造シフトを進めてきました。

 

フィリップスは、医療機器にシフトすると決めたとき、医療機器事業もその技術もない状態で、方向性の決定をしたということですので、良くやるなというのが正直なところです。

 

日本の大手メーカーでも、不採算事業を整理するなどして、時間をかけてゆっくりと方向転換するのが通常であり、ここまで大胆に方向転換することは聞いたことがありません。どうしても社内に反対も出てきます。

 

言い方を変えると、医療機器にシフトすると決めたときのフィリップスは、そこまで危機感があったのかもしれません。

 

日本法人は「エレクトロニクス」の言葉が残った最後の会社ということですが、エレクトロニクスを外して、日本市場で、医療機器とサービスに本気で取り組むということを宣言したのだと思います。「ヘルステック(Health Tech)」という言葉があるのですね。