Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アディーレ法律事務所

業務停止2カ月の処分

2017年10月11日の日経に、アディーレ法律事務所が、東京弁護士会から業務停止2カ月の処分を受けたという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 事実と異なる宣伝を繰り返したとして、アディーレ法律事務所を業務停止2カ月、元代表の石丸幸人弁護士(45)を業務停止3カ月の懲戒処分
  • 期間中は本店と全国80以上の支店で業務が禁じられる
  • アディーレはウェブサイト上で、約1カ月間ごとの期間を限定して過払い金返還請求の着手金を無料または割引にするなどとするキャンペーンを繰り返していたが、実際には5年近くサービスを続けていた
  • 消費者庁は2016年2月、景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして、こうした表示をしないよう求める措置命令
  • その後、所属弁護士などに対する懲戒請求が東京弁護士会などにあり、弁護士会としても同法違反と品位を失う非行があったとする弁護士法違反を認定
  • アディーレは有利誤認の程度は軽微で、景品表示法違反の認識はなかったと弁明
  • 都道府県にある拠点に180人以上の弁護士が所属
  • 東京弁護士会会長は極めて悪質な行為で長期間にわたって反復継続されている。事態を重く受け止め、非行の防止に努めるとの談話

 

同日付の東京弁護士会会長の談話です。

www.toben.or.jp

  • 弁護士法第56条に基づき懲戒処分
  • 広告行為が景表法に違反。日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程等にも抵触し、品位を失うべき非行
  • 実際の取引条件よりも有利であると一般消費者が誤認。一般消費者の選択を阻害するおそれのある極めて悪質な行為。長期間にわたって反復継続されている組織的な非行
  • 依頼者が多数。臨時電話相談窓口を設け、依頼者からの相談に応じる

相談が多数来ているとのという、朝日新聞の記事です。

www.asahi.com

  • 受け付けを始めた12日から13日までの2日間で、約2千件
  • 弁護士10人態勢で対応。電話が鳴り続けている状態。
  • 「アディーレ法律事務所と連絡がとれない」「既に支払った弁護士費用や着手金、預り金はどうなるのか」など、不安を訴える内容
  • 同事務所は「処分を受け、事務所として受任契約を結んだ顧客には契約終了を伝える書面を順次発送していく」

コメント

アディーレ法律事務所のWebサイトは閲覧できない状態になっていました。

 

弁護士には自治が認められているため、監督官庁の処分ではなく、所属弁護士会の処分となるのは理解しましたが、2カ月の営業停止となると、相当厳しい処分だと思います。

 

アディーレ法律事務所に依頼している依頼者も困惑しますし、同事務所で働いている弁護士や事務所員の生活にも影響が出そうです。

 

電機メーカーなら、公正取引委員会の傘下の公益社団法人の全国家庭電気製品公正取引協議会があり、公正取引規約や、その解説としての相当詳しい「DO and DON'T」集であるイエローブックを出していますし、問題があれば委員会で審議されますので、営業停止のような大問題になることは、まずありません。

 

日弁連にも、ある程度の広告のルールはあるようなのですが、ルールの運用に課題がありそうです。

弁護士業界の広告分野の専門家が少ないこと、自分達が法律のプロという過信があること、弁護士がみな一国一城の主であり業界としてのまとまりがないなど、いろいろと原因は考えられます。

 

広告代理店が広告作成業務は請け負っていると思いますが、多少、問題ありと思ったとしても、弁護士事務所からの依頼なら法的問題はなんとかクリアーしていると思ってしまうと思いますのであまり責められません。

 

アディーレ法律事務所の方に目が行きますが、弁護士会の広告規制の運用能力の問題でもあるように思います。