レノボ傘下に
2017年11月3日の朝日新聞に富士通のPC事業が、中国のレノボの子会社になることのまとめ記事がありました。
- 富士通はPC事業を世界最大手の中国レノボ・グループに売却すると発表
- 来年4月に富士通のPC子会社にレノボが過半を出資
- レノボはNECのPC事業も傘下。計4割超のシェア
- 各社のブランドは残す
- PC事業を担当する富士通クライアントコンピューティングへの出資比率はレノボ51%と日本政策投資銀行5%、富士通は44%
- 「FMV」のブランドは残し、同子会社の経営陣は代えない
- レノボの傘下に入ることで、部品の共同購買などで効率を上げられる
- PC事業は、世界ではレノボ、米HP、米デルの3強
- レノボは、米IBMから引き継いだ「ThinkPad」ブランドの製品も販売
- NECの「LAVIE」ブランドも残している
より詳細な説明がPCウォッチにありました。大河原克行さんの記事です。朝日新聞の記事にない情報としては、次のようなものです。
- 富士通クライアントコンピューティングの社名の維持
- 富士通ブランドのPCの開発、生産の維持
- レノボのCFOのワイミン・ウォン氏の言葉として、「この契約内容にういては、今後、一切変更を加えるつもりはない。」
- 出資比率の変更や、富士通ブランドの使用などに制限がないことを示した
とあります。
コメント
富士通のPC子会社としては、レノボの傘下に入ることで、部品調達などのメリットがあります。レノボにとっては、富士通PCの売り上げ分、規模拡大ができますが、世界シェアは、1%ということですので、大きなものではありません。ただ、日本のシェアは先に傘下に入れているNEC分と合わせて、43%程度と大きなものです。
特に、日本市場では、法人向けは必ずしもブランドで選択されることはないと思いますが、個人向けはNECやFujitusのブランドで選択されることも多く、一挙にLenovoブランドにすると売上ダウンのおそれがありますので、継続使用となるとことは理解できます。
ただ、海外向けでは、NECや富士通のシェアよりも、Lenovoの方が高いですので、Lenovoブランドとしても良さそうです。
1.ブランド、ネーミングの継続使用
朝日新聞の記事では、NECのLAVIEや富士通のFMVの継続使用として読めますが、大河原さんの記事からは、NECやFujitusの継続と読めます。将来的には、ThinkPadのようになるのかもしれませんが、NECの現状から考えて、大河原さんの記事の方が正確だと思います。
2.IBMとの違い
IBMがPC事業をレノボの売却したときは、ThinkPadのみを売却し、一定期間後はIBMを外しました。それも、契約期間が残っているのに、レノボから積極的に、Lenovoブランドに移行しました。
この点、
IBMは完全譲渡でしたが、NECや富士通は、ある程度の資本を残していることで、資本のコントロールができるという建て付けだと思います。
実際、資本ではコントロールできない部分も多いので、品質やブランドマネジメントや広告宣伝など、日常的なコントロールが重要になりそうです。
3.ブランド使用料
NECやFujitusがグループ内外に対して、ブランドを使用料の制度を入れているとすると、譲渡後の新会社からも徴収することになると思います。
一方、そもそも徴収していなかったとして、②今後は、グループ外になるので徴収するという方法と、③今まで支払っていなかったのであり、今後とも、徴収しないという2つの選択肢があります。
ブランド使用料の制度を入れておいた方が立論は簡単だと思います。今後も徴収しないとすると、価値あるブランドを、なぜ、グループ外の会社に無償で使用させていることになり、それにより自社にどのような便益があるかを合理的に説明する必要性がありそうです。
テクニカルな点はいろいろあるのですが、電気製品は、徐々に、ブランドライセンスビジネスの様相を呈してきていると思いました。