Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

日立工機の新社名・新ブランド

工機ホールディングスと「HiKOKI(ハイコーキ)」に

2017年11月6日のYahooニュースに、かねてから社名とブランドを検討中だった日立工機の新社名と新ブランドの記事がありました。SankeiBizの記事です。

headlines.yahoo.co.jp

  • 日立工機は2018年6月1日付で社名を「工機ホールディングス」に変更
  • 新たなブランド名として「HiKOKI(ハイコーキ)。2018年10月1日から使用
  • 今年3月に日立グループから離脱
  • 社名変更を検討していた

とあります。

 

同社のWebサイトで、詳細情報がありました。

www.hitachi-koki.co.jp

 

コメント

また、KKR案件です。パナソニックヘルスケア、パイオニアのディスクジョッキー事業、日産のカルソニックカンセイと、KKR案件が沢山あり、どれも関心を引くものばかりです。(特に、以前の会社の後輩が、パイオニアのDJ事業に転職しているのには驚きました)

 

日立工機は、日立製作所にとっては、社会インフラやITといった中核事業ではないし、利益率も低いので売却となったようです。

www.nikkei.com

社名変更が6月で、ブランド変更が10月からとあります。社名変更は、ある日に完全に変更になりますが、ブランドは日立製作所が認めれば、ゆっくり変えることも可能ですが、一挙に進めるのでしょうか?日立の電動工具のルート看板は街中に沢山ありますので、あれはどうするのかなと思ってしまいます。

 

社名とブランドのネーミングですが、

 

もともと、符牒的に「コーキ」「工機」と言っていたので、社名は「工機ホールディング」となったのだと思いますが、「工機」は普通名称ですので、誰でも使える名前ですし、独自性や顕著性がありません。「ホールディングス」をつけたからと言ってその状態は、変わりません。業態名+ホールディングだけの奇妙な社名です。しかし、今後、中小の電動工具(Power tool)の会社を傘下に入れて、電動工具コングロマリットを作るのであれば、意味のある社名かもしれません。

 

一方、ブランド名は、「HiKOKI」とあり「Hi」が付いています。これにより、社名に比べると、ブランドや商標として成立しています。「Hi」は、「Hitachi」の頭から2文字もってきたことは明らかですので、日立のDNAが流れていることを示しています。従業員や取引先も、安心ができる名前だと思います。

 

将来、会社は別の社名になるかもしれませんが、「HiKOKI」のブランドは残るだろうと想像しました。基本やKKRがM&Aを支援して強化するのだと思いますが、場合によっては、会社の売却がありうるのが、KKRだと思います。

 

電動工具ですが、Black&Decker、makita、Boschなどが大手のようです。日本の感覚では電動工具は業務用という感じですが、欧米ではもっと消費者に身近な商品のようです。Bosch電動工具のセットの入ったケースを持っているのは、相当カッコいいのだと思います。

 

日立グループにいて、この事業に投資をしてM&A等でより強くできるのかというと疑問ですが、一般消費者への訴求力から考えるとブランド戦略上は残しておいても良い商品だったのではないと思います。

 

今回、KKRには敗れましたが、京セラが入札に参加したのも、そのあたりのブランド形成力を狙ったものと思います。日立製作所も、このあたりまでは考えた上で、売却したのだと思いますが、マクセルといい日立工機といい、これまでの日立のブランド形成に大いに寄与した会社の売却は、気にはなります。