Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

DENSO TEN

 

 

 

富士通テンの社名とブランド変更

2017年11月1日のCar Watchに、富士通テンデンソーテンへの社名変更と、ブランドを「DENSO TEN」にしたことについての記事がありました。

 

 

car.watch.impress.co.jp

とあります。

同社のWebサイトの沿革を見ると、もともと独立した会社だったようですが、富士通と合併したのが1968年。富士通テンが分離したのが1972年。トヨタデンソーの資本が入ったのが1973年とあります。トヨタデンソーとは、古くからの付き合いのようです。

 

また、「テン」の由来の説明がありました。

https://www.denso-ten.com/jp/company/philosophy/

社名「デンソーテン」の「テン」は、最高・至上を意味する「天」のことです。
中国古典の「中庸」に「誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり。」という一節があり、
「誠」を企業経営の基本理念として、常に「誠」を大切にしています。
前身の「神戸工業」「川西機械製作所」以来「天」「テン」「TEN」が商標として使われました。

 

コメント

経営的には、自動運転などを目指した、技術者の取り込みが目的のようです。

デンソーが51%の会社ですので、社名が「デンソーテン」になるのは、自然な感じです。

一方、ブランドロゴ(同社は、シンボルマークと呼んでいます)が、「DENSO TEN」になる点に目が行きました。

同社は、以前の社名でも「FUJITSU TEN」としており、親会社のブランドロゴに、自らの「TEN」をつけた形としています。結合型のダブルブランドで、ダブルブランドの一つの典型ではあります。

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このタイプの連結型のダブルブランドは、BtoCではほとんど見られず、BtoBの業界で合弁会社を作ったときに、時折見られるものです。

 

純粋なブランド視点では、このタイプの結合ブランドは、ブランドの個性がにじみますし、ブランドの独自性を守るためには、良くないこととされていますが、分かりやすくて便利なので、時折見られるものです。

 

ただ、富士通の子会社時代も、デンソーの子会社になった今も、テンという親会社があるわけではありません。富士通時代は、トヨタデンソーが、富士通の合弁先であり、現在は、富士通デンソートヨタの合弁先です。

 

テンとしては、非常に上手に親を変えながら、自らの独自性も発揮して、生き残ってきた会社という感じがします。たぶん、従業員感情やトヨタグループ以外への営業に有利と説明され、デンソー側が承認したというものだと思います。

 

テンという言葉の由来は、上述のように立派なものですが、この言葉を、上手く使っているなと思います。

 

実際、商品は、トヨタブランド商品であり、OEMのようなもので、DENSO TENブランドは出てこないと思います。必要に応じて、ECLIPSEを使っている程度です。

また、DENSO TENロゴがでるのは、CEATECやモーターショーや、会社の看板、名刺等だけなのだと思います。

 

どちらにしても、珍しいものです。これがあるじゃないかと言われるとつらいタイプの、ブランドマネジメント担当者泣かせのブランドです。