Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

東芝のテレビ撤退

ハイセンスに決定

東芝がテレビ事業から撤退するということになったようです。Yahooニュースに記事がありました。時事通信の配信です。

headlines.yahoo.co.jp

  • 東芝は、テレビ事業の全額出資子会社、東芝映像ソリューションを中国の海信集団(ハイセンス)に売却する契約を締結
  • 来年2月末にも東芝映像の株式の95%を約129億円で売却
  • 債務超過である東芝映像の財務状況を勘案すると、売却益は約250億円
  • 東芝は2015年12月に海外のテレビ事業から撤退。国内に絞ったが、赤字が続き
  • 東芝はブランド使用権をハイセンスに供与
  • 「レグザ」の商品名でテレビの生産・販売を続ける
  • 中間決算の会見で、テレビとパソコン(PC)について、事業撤退を含め検討すると表明していた

とあります。

 

コメント

サザエさんのスポンサー撤退が、最近のニュースでしたが、そのときから、テレビとPCの撤退は言及されていたので、ついに来たかという感じです。残るはPCです。

 

時事通信の記事からですが、ハイセンスは、日本でTOSHIBAブランドを使えるようです。最近、家電量販店では、ハイセンスブランドのテレビも良く見ますので、将来的には、Hisenseに移行するとするのか、HisenseとTOSHIBAの2本だてで行くのか、どちらも可能性があります。

中国に行くと、ホテルにハイセンスのテレビがあることが多く、つけると「ハイセンス」という音声が流れます。ブランドをバッジではなく、音で刷り込む戦略のようです。

ちなみに、2017年11月15日の朝日新聞には、ハイセンスは北米で、シャープのテレビの使用権を持っており、市場シェアを狙っているとありました。

 

すでに、東芝白物家電は、ハイセンスではなく、美的集団(Midea)に事業譲渡しています(東芝ブランドのライセンス付き)。テレビは、4月の段階では、トルコのVestelか中国のハイセンスかどちらになるかという話でした。折角なら、どこかに一元化した方が、ライセンス先が減りますので、管理が行き届きやすいのですが、美的集団(Midea)は、エアコン、冷蔵庫、電子レンジなどの生活家電ということですので、致し方ないというところでしょうか。

 

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先日のサザエさんのニュースのときに、ブランドライセンスが、ブランド露出量の多い家電になり、対象が日本市場になるときは、広告のコントロールが非常に重要で、今後のブランドライセンス契約での重要部分となりそうだという書きました。

その広告コントロールの対象となる、主力の家電製品の対象会社が2社あるとすると、TOSHIBAブランドのブランドイメージが拡散が心配になります。

できれば、日本に、宣伝の機能子会社でも作り、宣伝する場合は、そこを通すことなどしたいところですが、そこまで要求できないとすると、どのようにチェックを効かせるのか、興味深いところです。

 

参考になるのは、Philipsの撤退事業向けのブランドマネジメント子会社だと思いますが、東芝ですので、東芝らしい、良い方法を編み出しているのではないかと思います。

Philipsのブランドマネジメント子会社の研究など、大学の経営学部などでやれば良いと思いますが、大学の先生でこのあたりに感心を持っている方を、あまり聞きません。海外の大学の先生では、研究されている方がおられるのでしょうか?

 

M&Aとブランドライセンスとブランドマネジメントに絡む話は、昔から、現実には沢山あります。

案外、オープンになっており、新聞にも良く出ているような話なのですが、実務で参考になるような、企業が判断するときの指針となるようなまとめが欲しいなと思います。

 

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