Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

横須賀ナンバー

アンケート結果を受け導入見送り

2017年11月16日の朝日新聞に、横須賀市が目指していた横須賀ナンバーの導入が、アンケートの結果を受けて見送りになったという記事がありました。

www.asahi.com

  • ご当地ナンバーは2006年から国が導入
  • 「富士山」や「つくば」「川越」など29地域にある
  • 神奈川県内の自動車のナンバーは横浜、川崎、相模、湘南の4種類で、ご当地ナンバーはない
  • 国が今年5月から導入地域の追加募集
  • 上地克明市長が「横須賀ナンバー」の導入を目指した
  • 導入には「地域住民の合意形成」が条件
  • そのため、今年9~10月、無作為抽出した市民4千人、市内の事業所約2400社にアンケートを実施
  • 市民1544人のうち「賛成」が48・3%、「反対」は33・8%、「どちらでもよい」は17・7%だった
  • 事業所は447社で、「賛成」38・9%、「反対」47・0%、「どちらでもよい」13・9%と反対が多かった
  • 市によると、20代、60代、70代以上では賛成が半数を超え、「知名度が上がる」「横須賀は独特の文化を持つ街」などの賛成意見
  • 事業所では建設業や卸売業・小売業で反対が目立った
  • 上地市長は「7~8割が賛成ならば(導入しよう)と思っていた」、「推し進めることはできない。時期尚早」と述べた
  • 今後は市民が横須賀に誇りを持ってもらえる街づくりを進め、市民から「導入したい」と言ってもらえるような横須賀をつくっていきたい

 

コメント

ご当地ナンバーは、地域おこしにつながるものとして、地方自治体からの導入要望が多いようです。朝日新聞の別のページの解説では、運用は次のようです。

www.asahi.com

 

横須賀は、大きな町なのですが、近年、住宅地としては人気がなく人口減になっているという記事をよく見ます。理由は、東京までの距離とか、地形(山が多い)とか、工場が減ったとか、米軍のイメージとか、色々あるようです。そのために地域おこしは重要なテーマだと思いますので、市長が目指されたのは、理解できます。

 

また、現在、となりの横浜ナンバーが使えるので、それで十分、あえて横須賀にしなくてもという意見も分かります。

 

地元の意向確認の方法として、アンケートをしたようですが、このアンケートについて、少し考えてみました。

アンケートはとり方が難しいので、しっかりした専門家を使って、ある程度、準備してからアンケートをすべきだったのではないかと思います。ちゃんとアンケートするには、半年ぐらいの準備期間は、必要ではないでしょうか。6月の市長選で当選されたようですので、9月に実施しようとすると、夏休みをまたぐので、実施1ヶ月半の検討期間で、急ぎ過ぎた感じはします。

 

まず、横須賀ナンバー導入の、メリット、デメリットを十分に説明し、市民や企業に理解してもらう必要があります。そのため、市のWebサイトや広報誌を活用する、議論を公開でする(公聴会)、マスコミにも入ってもらい世論喚起をする、などが考えられます。

また、プレアンケートを実施して、課題があれば対応しておく必要もあります。

 

今回、事業所の回答率が、市民の比率に比べてだいぶ低い点に注目しました。アンケートの送り方にも、問題があったのかもしれません。業界団体経由で送れば、時間はかかりますが、回収率は市民よりも上になると思います。あるいは、地元の商工会議所などの協力を得るといった根回しがあれば良かったのかもしれません。

 

ここまでやっておいて、NGなら、そもそも、その話は民意に反しているといえると思います。

 

ちなみに、一つ思ったのは、横須賀の南にある三浦市は、横須賀が横須賀ナンバーになっても、横浜ナンバーに留まることになる点です。横浜、横須賀、横浜となりますので、横須賀がサンドイッチになります。三浦市のことは、気にすることはないのかもしれませんが、三浦市にも、三浦ナンバーの機運が盛り上がれば、両市で、共同戦線が張れたように思います。

 

結果論ばかりですが、勉強になる事例と思いました。