2ヶ月はあっという間だが
2017年12月11日の日経夕刊に、アディーレ法律事務所の業務再開の記事がありました。
- 2017年12月11日、2カ月間の業務停止処分期間が終わり業務再開
- アディーレは依頼者や取引先に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことを改めて深くおわびすると謝罪
- 委任契約が解除になった顧客への対応を最優先で進める
- 処分対象はアディーレのインターネット広告
- 同事務所の過払い金返還請求の着手金無料キャンペーンが、景品表示法違反(有利誤認)にあたるとして、2016年に消費者庁が措置命令
- 東京弁護士会は2017年10月、法人を業務停止2カ月、元代表の石丸幸人弁護士を同3カ月の懲戒処分
同事務所のWebサイトは、この2ヶ月間、サイト閉鎖状態にあったり、顧客への案内等の必要最小限の情報だけになっていましたが、今は通常のページに戻っているようです。
業務再開のお知らせが出ています。
- 依頼者、取引先、関係者の方々に心配と迷惑をかけたことへの謝罪
- 全ての依頼者の方々に、最後まで誠実に対応することが、事務所ができる一番の謝罪
- 業務再開後も、委任解除に伴う作業を最優先に行う
- 広告は、再発防止策と、事務所内での広告のチェック体制を徹底、継続して再発防止に取り組む
とありました。
コメント
業務再開後も、委任解除に伴う作業を優先的に行うという点に着目しました。
今回の弁護士法人の業務停止では、業務停止になったあと、そのときに委任を受けていた案件を一旦委任を終了して、再度、所属弁護士などが、弁護士個人として委任を受けるという話だったと思います。
膨大な顧客がいたので、まだ、委任解除が出来ていない委任契約があり、すでに弁護士法人の業務再開後ではありますが、一旦委任解除だけはやらないといけないということでしょうか?
あるいは、弁護士法人の業務停止期間が過ぎたので、今後は、所属弁護士への委任ではなく、弁護士法人への委任ができるようになるということなのでしょうか。
アディーレの場合、広告を頼りに事務所を信頼した顧客が多そうですので、弁護士法人との委任契約を希望する人が多いと推察します。
今回の業務停止処分で、依頼者がどの程度アディーレ法律事務所に残り、どの程度他の事務所に変更したのかは分かりませんが、アディーレ法律事務所の経営には、大きなインパクトがあったと思います。
アディーレ法律事務所の創業の理念には良いものがありますし、弁護士数では四大法律事務所に次ぐ規模の弁護士数のようですので、それらの弁護士が今後どういう弁護士に変っていくのかも関心があります。
仮の話ですが、特許事務所業務法人で、業務停止処分があり、受任している案件をすべて個人受任に変更する必要があるとしたら、どのような影響があるのか考えてみました。
特許や商標の場合は、出願前の仕掛品は、出願時に弁理士個人名にすることで対応できますし、特許や商標は出願してから登録になるまで時間がかかるので、さっと代理人変更を出すことで対応でき、顧客数も限られ、電子で対応可能なので、弁護士法人ほどのインパクトはないのかもしれないと思いました。
しかし、それよりも、特許事務所の場合は、お客さんへの信頼が低下し、今後の依頼がなくなるという方が影響が大きいだろうと思いました。
何か問題があったときに処分を受けることは仕方ないと思いますが、業務停止以外で、処分の実効性もあり、顧客に迷惑がかからない方法はなかったのかとは思います。
また、アディーレ法律事務所の場合、海外関係の業務はないと思いますが、四大法律事務所などなら、海外の仕事も大量にあります。海外の場合、簡単に代理人変更も簡単にできません。そのときは、どうなるのでしょうか?