BMWと契約
2017年12月25日の日経に、通信特許ライセンスの各社の主要特許を取りまとめてライセンスするアバンシが、BMWにライセンスをしたという記事がありました。
- 米国企業連合組織のアバンシが、BMWと包括的ライセンス契約の締結合意
- アバンシは、エリクソンやパナソニックなど、無線通信の主要技術を持つ企業の連合組織で、ライセンス交渉を取りまとめて行う
- メンバー企業で4Gまでの通信規格の主要特許の約半分を占める
- 通信と自動車という異業種間の大規模交渉で合意したのは初めて
- BMWは通信関連の車載部品がある場合、生産する自動車1台あたり3~15ドルの特許料を支払う
- アバンシは同じ価格基準の適用を前提に、日本メーカーを含む他の自動車大手ともライセンス交渉を進めていく方針
詳しくは、日経新聞の記事をご覧ください。
コメント
面白い記事だと思いました。
一つの製品に多くの特許が入る電機や通信機器では、差止請求ではなく、ライセンスを中心にして考えざるを得ず、特許の数が非常に多い場合には、このような企業連合が生まれるのだと思います。DVDやMPEGの手法です。
一社毎にライセンスするのは、大変ですので、このアバンシのように取りまとめてライセンスができれば、自動車メーカーにとっても、電機や通信機器メーカーにとってもメリットがあります。卸売り会社と同じ機能だなと思いました。
今回は、電機・通信機器と自動車という点が注目されています。昔であれば、部品納入先は部品メーカーへの特許補償の要求で対応したいところでしょうが、IoTはそのレベルを超えているのだと思いました。そもそも、過度な特許補償の要求は優越的地位の利用のようにも思います。
特に、注目したのは料率です。部品ではなく、完成品の自動車(100万円~1500万円)は非常に高額ですが、それに対する料率は自動車1台あたり3~15ドル(336円~1680円)とリーズナブルです。
アバンシに特許を任せている会社は、その特許をどう取り扱っているのか、スキームが知りたくなりました。特に標準必須特許の場合、自社でも使っていますし、既に第三者にライセンスしていると思います。どうなっているのかなと疑問に思ったのは、
1)特許の名義は、アバンシに移転しているのか?ライセンスだけを任せているのか?
2)既にメンバー企業と契約している企業との関係とのではなどうなるのか?
3)上記の2)の延長で、ある企業にはラインセンスして、ある企業にはしないという選択的なライセンスは可能か?
このあたりが疑問ではあるのですが、既にアバンシの設立時に何らかの方法で、調整済みの話だと思います。スキームの作り方は一つではないですので。
何れにしても面白い話です。法律事務所は、契約や競争法の観点で相談に乗っているのだと思いますが、特許事務所が関与する余地が少ないのは課題です。特許調査・評価や製品の解析、催告時の鑑定など、もっと関われる部分がないものかと思います。