Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

阿修羅の集客力

興福寺の国宝館で感じたこと

2018年の元旦に、奈良の興福寺の国宝館に行きました。興福寺の国宝館は、阿修羅像など、興福寺の仏像などを展示しています。耐震補強のため、1年間休館していましたが、2018年1月1日にリニューアルオープンしました。

yamatoji.nara-kankou.or.jp

奈良時代の食堂(じきどう、僧侶が食事をする建物)の遺構の上に、食堂の建物を再現したということです。もっと斬新な建物になるのかと思っていましたが、今回は耐震補強ということで、外観は以前と同じです。

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内装はだいぶ綺麗になっています。トイレやおみやげ物の販売コーナーもあります。規模は小さいですが、最近の博物館や美術館と遜色ない綺麗な内装になっています。

 

この国宝館には、有名な阿修羅像があります。それも、ガラスケースに入っておらず、直ぐそこに立っています。昨年、運慶展に行きましたが、大きな仏像はケースに入っていないものもありましたが、有名はものはガラスケースに入っていました。

 

結婚する前、25年ほど前に、夏にふらっと立ち寄ったときには、修学旅行の中高生だけだけで人気も少なく、蝉の声だけが聞こえ、ゆったりとした時間を独占できる場所でした。

今回は、阿修羅などにスポットライトを当てていたのですが、以前は、スポットライトなどはありませんでした。

 

昨年の運慶展で人気だった、龍燈鬼立像、天燈鬼立像もありました。興福寺の国宝館は、お宝の宝庫です。

www.kohfukuji.com

 

2009年に阿修羅展が上野であったときは、2カ月ちょっとの会期中に、94万6172人という人出で、相当な混雑だったようです。1日、1万人以上です。待ち時間もだいぶあったと思います。

先日の運慶展でも、90分待ちでしたので、覚悟していたのですが、なんと。。。待ち時間「0」分です。たまたまかもしれませんが、これは、一体どうしたことなのでしょうか?

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東京で開催すれば、万の人を呼べるコンテンツなのですが、奈良では集客できないということなのでしょうか?

 

しかし、お隣の奈良の国立博物館正倉院展は、毎年秋に開催しますが、多くの人が来ます。2017年は、17日間の会期で、入場者数は21万7053人とありました。奈良でも、一日1万人以上です。

 

東京と奈良の違いはありますが、遜色はありません。また、近くの春日大社には、初詣には95万人の人出があるそうです。

 

二つの理由を思いつきました。

 

一つ目の理由は、日常とイベントという関係です。奈良では興福寺はずっとそこにあり、阿修羅もその他の仏像もいつでもそこにありますので、行きたいときにはいつでもいけます。日常です。一方、東京や関東の人にしてみれば、奈良まで行かないと滅多に観ることができない阿修羅を観れるイベントが近くの上野でやっているので、この機会に行こうという気になります。

大阪人で、通天閣に行ったことが無い人がクラスのほとんど(昔はそうでした)というのと同じです。

 

二つ目は、興福寺にはあまりアピールする気がないということです。興福寺のWebサイトを見ました。一応レスポンシブ・デザインにはなっており、スマホなどにも対応していますが、あまり使いやすいとはいえません。また、英語サイトが非常に貧相です。Facebookもやっていません。

周辺の観光系の公益法人、鉄道会社、出版社などが放っておいても、勝手に宣伝してくれるので、自らアピールすることに力が入っていないのではなかと思いました。

宗教法人があまり宣伝に力を入れるのも、いかがなものかと思いますが、博物館や美術館との差があまりに大きいので、その落差に驚きました。

 

奈良は、以前は、若い外国人バックパッカーが多かったように思いますが、今は、彼らは目にすることが少なくなり、アジアを中心とした全世界からの観光客でごった返しています。英語、中国語、韓国語、タイ語、その他で、積極的に広報発信してはどうかと思います。

 

奈良の大通りである登大路(のぼりおおじ)には、この1年、平成30年1月1日興福寺リニューアルオープンの看板(日本語)はありましたが、それだけでは近所の人しか見てくれません。

 

ただ、25年前の、のんびりした奈良も、奈良の魅力の一つです。そこまで考えて、あえて広報・宣伝に力を入れていないのなら、それも一つの方針ですが、どうなんでしょうか。