Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

裁判の電子化

最高裁が調査開始

2018年1月9日の朝日新聞に、最高裁が裁判の電子化の調査を開始したという記事があります。

www.asahi.com

調査を開始したという話で、今直ぐに電子化されるわけではありません。

記事によると、2方向あるようです。

一つ目は、紙の書類で提出しなければならない裁判書類をペーパーレス化することです。

二つ目は、裁判でのインターネット等の活用です。

まず、ペーパーレスの方ですが、日本は諸外国に比べて20年ほど遅れているそうです。米国は州単位で進めており、シンガポールや韓国もだいぶ進んでいるようです。

次に、裁判でのインターネットの活用ですが、新聞の社会面では、大阪のパナソニックの法務部担当者の話が出てきて、訴訟のたびに大阪の法律事務所の弁護士に地方に行ってもらう必要がありコストがかかるという話が出ていました。

 

コメント

まず、ペーパーレスですが、紙は証拠として残りますし、取り扱いが簡単で、読むにも便利です。ただし、紙は、紛失のおそれがありますし、情報処理には向きません。今の時代ですので、一番初めの訴状が紙というのは、時代遅れな感じはします。

 

判決文などはデータで公開されていますので、訴状は紙でも、裁判官はパソコンを使って判決を書いているのだと思います。

 

ここで言うペーパーレスとは、一連の手続き書類が、すべてどこかの電子キャビネットのようなものに収納されており、いつでも、どこで、閲覧でき、裁判官や弁護士の作業効率は上がるシステムだと思います。

 

特許では、だいぶ前にペーパーレスになりましたが、企業の書類は確かに減ったかもしれませんが、テキストファイルやPDFという電子データとなって、大量に保管されています。

 

電子データの怖いところもあり、入力のチェックなどがいい加減になると、紙以上に情報管理が無茶苦茶になってしまうこともあります。変なところにデータが埋没してしまい、必要なデータが出てこなくなる可能性もあります。

 

特許庁の運用は、事務手続きなどが裁判所に近いものがあると思います。特許庁の場合、一か所で集中管理しているので、データも正確です。一度、特許庁に運用方法を、聞きにいかれると良いと思います。

 

二つ目のインターネットの活用ですが、確かに、テレビ会議や電話会議を使えば、コスト削減にはつながると思います。ただ、裁判官も弁護士も、面と向かって、相対で話をすることで、相手の真意をくみ取ったりするのだと思っていました。

この点、最近は、高精細のテレビ会議もあるので、実際、出張して会議に同席しているのと変わりません。裁判の後の和解に向けての話合いをするときは、相対での話が必要でしょうが、裁判自体はテレビ会議で十分なように思います。

ただし、弁護士としては、出張の楽しみが減ってしまうので、反対運動が起こりそうです。

 

最近は、弁護士も多くなり、結果、生活のために裁判が増え、裁判しなくても良いのに裁判を勧めたり、訴額を高額にすることを勧めたり、裁判も荒れてきたと聞きますが、裁判の電子化やインターネットの活用が、口頭弁論の充実につながり、裁判の良い意味での活性化になれば良いと思います。

 

反対に、電子化やインターネットの活用が、濫訴の助長になるのであれば、考えものということになります。

 

もう一つ、弁護士や裁判官の業務でも、AIの活用を視野に入れておいた方が良いと思います。