真逆の記事がとなりに
2018年1月13日の朝日新聞で、GAPの記事とイオンのトップバリューの記事が隣にあったのですが、内容的には真逆の内容でした。
まずは、GAPです。digital.asahi.com
GAPは、価格戦略を見直して、大幅に値下げするセールの回数を減らして、定価に近い価格で販売を増やすとあります。
全品半額などの大規模セールを頻繁に行って集客することが常態化していたようですが、夏冬の定期セールを除き回数を削減するとあります。
基本的には、商品の魅力を伝える戦略で、デジタルサイネージの導入や期間限定ストアの開設を進めるようです。また、会員サービスを充実させ、会員は常時5%引きから、月初の1週間は1割日にして、顧客のつなぎとめを図るとあります。
一方、隣にあったイオンの記事は、次のものです。
イオンは、プライベートブランド(PB)商品のトップバリューで、食品や日用品100商品を平均で10%程度値下げするとあります。今回の値下げで、2016年11月から4回目の値下げとなるようです。
消費者の節約志向は依然根強く、物流の態勢を効率化したり商品調達を見直したりして、値下げの原資を確保したとあります。
イオン、ダイエー、マックスバリュなど全国約2800店舗が対象とあります。
コメント
非常に対象的な内容の記事が、隣にあったので、目につきました。
通常、ブランドを作る(守る)ためには、安易な値下げは禁物と言われています。思うように売れないので、お買い得感を出すために、値下げをするのですが、はじめは良くても、徐々にブランド価値が低下していき、ブランド棄損を自ら招くことになるためです。
ブランドの話では、安売りセールを止めて成功したという話が良く聞きます。当然、安売りセールを止めても売りを上げるためには、商品や広告の魅力をあげていく必要があり、根本的にリブランドが必要になります。先日、ブライツコンサルティングのセミナーで、女性下着のVictoria's Secretのリブランドをされた池田さんの話を聞きましたが、同じ方向の話です。
一方、イオンのトップバリューの話は、真逆の話で、価格を下げるを強調しているように見えます。商品は同じと思いますので、合理化で得た原資を値下げに使っているので、消費者としてはありがたい話ではあります。
しかし、トップバリューという商品ブランドの価値は上がりません。安物とまではいかなくても、それに近いイメージになりがちであり、結局、GSMのイオンの価値にまで影響します。
一般的には、セブンプレミアム(特に、金の〇〇)や無印良品のように、PBでも商品価値を高めて価格を上げた商品がブランド価値を上げます。
しかし、イオンは、トップバリュー課題を十分理解して、商品を4割削減したりしています。
everyday low priceであり、安売りセールではありませんし、トップバリューの値下げが、上手く行けば、イオンと消費者の双方がWin-Winになるはずです。(その分、製造業者には負担がかかるのだと思いますが。)
トップバリューについては、ビックデータを使っているとか、色々と面白い話があるようです。
以前、インドで、タタ自動車がナノという低価格車を開発して、結局売れなかったという話があります。インドではスズキのアルトが人気でしたが、それでも価格が高すぎるので、より低価格のナノを開発したのですが、貧相な装備もあり、事業として失敗に終わったものです。
ナノの話を聞いたときに、一応満足できる品質であれば、低価格商品を出すことも、一つのブランド戦略ではないかと思ったのですが、先輩からその方向はブランドの否定につながると聞き、その当時はそうかなぁと思ったのですが、現実は、まさに先輩のいうような結果になりました。
インドの消費者にしたら、折角、それなりの金額を出して車を買うのに、あまりに貧相な装備の車では車を買う意味がないということだったのだと思います。
トップバリューが人気とは聞きません。自動車と食品・日用品は違う面もあるとは思いますが、トップバリューの広報発信は、商品の品質がアップしたときとか、品質管理が厳しいことを発信することに限定してはどうかと思います(実態が必要ですが)。
トップバリューの値下げは、積極的に広報発信すべき内容ではないように思います。値下げは、粛々と行い、気がつけば、安くなっていた程度で良いのではないでしょうか。