虫エア用品
2018年1月26日の朝日新聞に、アース製薬が、殺虫剤のことを「虫ケア用品」と呼ぶという話の紹介がありました。
記事によると、
- 市場拡大を狙い、殺虫剤業界は、ソフト路線化を進めている
- アース製薬は、殺虫剤はマイナスイメージがあるとして、虫ケア用品とする
- 虫からケアする(守る)という意味
- すでにホームページは変更。ポップなどが3月ごろから変わる予定
- 小売店や同業他社にも賛同を呼びかけている
- 調査では、殺虫剤という呼び名に「人体に有害なイメージを持つ」人が34%、「使うのが怖い」という人が17%
- 小売店からも「殺」という字を店内に掲げたくないという声
確かに、アース製薬のWebサイトでは、「虫ケア用品(殺虫剤)」となっていました。
コメント
ITメディアによると、アース製薬は、次のように説明しています。
他にも呼称の候補はあったが、『口臭予防』を『ブレスケア』と言い換えるのと同様、ネガティブな事象をポジティブに言い換えるための手法として“ケア”という表現にした」と説明。
「『虫ケア商品』というネーミングには、『虫を殺すことよりも、顧客を守ることを重視する』という当社の姿勢も反映した。顧客の殺虫剤に対する抵抗感を軽減し、ジカ熱やデング熱など、虫を媒介とした感染症にかかる人を減らしたい」と話している。
「化学調味料」という言葉が、自然由来でないイメージがあり、売上にも悪影響があるという理由で、「うま味調味料」と変えたというのは理解できるのですが、殺虫剤がNGワードというのは、行き過ぎのような気がします。
小売店が、店内に「殺」という字を掲げたくないということについては、安全や買い物をする楽しさを売り物にするお店には似合わない漢字であるということは、なんとなく理解はできます。
しかし、殺虫剤のことを虫ケア用品というのは苦しいと思います。
ヘルスケアとか、ヘアケアとか、ケアという言葉は、その言葉の前に記載しているものを大事に取り扱うということですので、虫を大切にする=ペットの昆虫用の栄養剤のようなものか?と思っていしまいます。人間を虫からケアするなら、別の言葉がよさそうです。
(除虫剤あたりが候補と思います)
また、業界をあげての、統一名称でないといけないように思います。業界統一のためには、業界で知恵を出し合って、新しい家庭用殺虫剤の普通名称を考えるべきではないかと思います。
フマキラーや金鳥などの他社が殺虫剤の言葉を使い、アース製薬だけが虫ケア用品となるとすると、強い効き目の商品を望む消費者も多そうですので、フマキラー、金鳥に流れる可能性があります。
ちなみに、下記のサイトによると、フマキラーは、最近、強烈な商標を出願しているようです。「ヤブ蚊キラー」「ハチアブキラー」「ムカデキラー」「ボウフラキラー」「コバエキラー」「ケムシキラー」「ゴキブリキラー」「害虫キラー」を出願しているとのことです。フマキラーという企業ブランド、ハウスマークを守るための防衛出願と思いますが、キラーの前の語が虫を具体的に記載している点で、強烈な商標となっています。
もしフマキラーが、虫ケア用品と名乗っても、商標が強い効き目のありそうなので、殺虫剤というのと、さして変わらないようなものになっているように思います。
虫ケア用品という名称は、それほど、長持ちしないような気がします。