特許庁が制定
2018年1月25日の日経に、特許庁が地域団体商標のマークを制定したという記事がありました。
- 特許庁が「地域団体商標」の新しいマークを制定
- 地域団体商標として登録された商品と分かるマークがほしいとの要望から
- 名産品のパッケージやチラシ、インターネットでの広告などに活用できる
- 地域団体商標は一定地域で周知であれば、農業協同組合や商工会など権利者になれる制度
- 地域の名物のPRと模倣品や類似品の流通防止
- 「草津温泉」「一宮モーニング」などが登録されており、「横手やきそば」といった「B級グルメ」でも登録可能
- 商標を使いたい企業とライセンス契約をだ結ぶことができる
コメント
大正10年法には団体標章登録制度があったものを、昭和34年法で商標使用許諾の制度を導入したことから団体標章の制度を廃止して通常の商標登録制度に一元化しました。
しかし、マドリッドプロトコルに加入するため、平成8年の法改正で、団体商標登録制度を作りました。
そして、平成17年の改正で地域活性化のために導入されたのが、地域団体商標です。
団体商標は、「商標権者が自らが使用する」という商標法の原則の例外という位置づけで、他人に使用させるだけで、自ら使用しないというものです。識別力や抵触性の登録要件などは、通常の商標と同じです。主体以外はあくまで通常の商標権です。ある程度の登録件数があるようです。
一方、地域団体商標は、地域名+商品の普通名称のようなもので登録可能ですいが、そのかわり周知であることが前提というものとなっています。特許庁が、その産品のその名称は、有名ですよと確認してくれているような効果と、商標法本来の独占排他権の効果をハイリッドにしたような制度です。商工会などに、権利主体を広げています。
特許のWebサイトを見ていると、地域団体商標の方のかなり力を入れていることが分かります。(一方、団体商標は、ほとんど何の解説もありません)
平成29年12月31日時点で、地域団体商標の出願は1,192件あり、平成30年1月9日現在、地域団体商標の登録は、632件とありました。思ったより、多い数字です。
最近、GI(地理的表示保護制度)が、話題になることが多いですが、農林水産省のWebサイトによると、登録数は58件程度のようです。
GIの登録と、地域団体商標の登録は、双方取得も可能であり、「神戸ビーフ」などは、双方に登録されています。
GIの方は、GIマークがあり、Good DesignのGマークのように商品に販促に活用も可能です。
このGIマークに対抗するためのマークが、今回、紹介されている地域団体商標のマークとなります。
地域団体商標の目的が地域おこしであり、一方、GIのは生産地の価値の保護が目的ですし、保護対象や効果も違うのなので、制度が二つあっても良いのですが、消費者がその違いを認識して、区別できるかは課題と思います。
全く個人的な意見ですが、マークはGIの方がカッコいいので、勝負ありという感じです。
よく似た制度を2つ運用するのは、税金の無駄遣いという気もしますが、切磋琢磨して、地域活性化ができるなら、それはそれで良いかと思ったりもします。