モラルと督促と延滞料
2018年2月5日の日経夕刊に、図書館の本が返らないという記事がありました。公立図書館では、督促はがきを送る費用や手間もコストがかかり、また、延滞料を取ることもできず、現状はモラル頼みという記事がありました。
- 公立図書館は延滞料を科すこともできず、モラル頼み
- 足立区は2017年度までの2年間に、10年以上返却されなかった約2万冊分の長期未返却の本について返還請求権を放棄
- 督促はがきは費用や手間がかかる割に効果が薄い
- 代わって未返却期間が比較的短い利用者への督促を強化。業者に委託、一軒一軒戸別訪問。4割ほどが返却に
- 新宿区は、未返却本が、2015年度までの4年間で4502冊
- 貴重な書籍や他の自治体から借りた本などは職員が直接訪問して返却請求
- 返し忘れや返したつもりになっていたケースが大半。入院や急な転居で連絡がとれないケースもある
- はがき代は、足立区は2016、2017年度の2年間で計210万円
- 未返却本の存在は図書館共通の悩み
- 海外では延滞料を科すことで未返却を防ぐ
- 米国では多くの図書館が1日当たり一冊1ドル未満の延滞料を徴収。未返却が問題になることはない
- 日本の図書館法は「入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価も徴収してはならない」と規定しており、延滞料制度の導入は難しい
コメント
自宅の本棚が小さいため、新しい本を買うと、古い本を捨てる必要があります。しかし、なかなか捨てるのも難しいので、図書館にある本なら図書館で借りようと考えるようになりました。
ライフネット生命の出口治明元会長(別府の立命館APUの学長になられたようです)の『本の「使い方」』という本で、図書館を複数利用するという記載があります。
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戸塚の図書館など、開架閲覧室にはあまり本がありませんが、どうやら地下に書庫があるようです。
しかし、保管スペースには限界がありますし、図書館には新刊本も沢山来ますので、汚くなった本や不要な本は、ある程度、整理して捨てないと無理だと思います。この点が、全部保存することになっている国立国会図書館とは違うところです。未返却本ですが、ある意味、保管スペース問題の解決策になっている面はあるのでしょうが、希少本、見たい本、借りたい本が、返却されていないと困ったことになります。
今のところ、一番強い威力があるのは、図書館は未返却者には貸し出し禁止処分だと思います。借りたい人は、返却しないと次の本が借りれません。しかし、もう借りなくても良いと思っている人にとっては、意味がありません。
図書館法を見ましたが、確かにこの文言がありました。この法律は自治体の図書館に適用があり、国会図書館、大学図書館、私立の図書館には適用がないようです。
ミスで返却が遅れた場合に、あまり厳しい対応はどうかと思いますが、ある程度はきっちり管理しないとモラルハザードにつながります。
この条項は、入館することや借りることなどの費用は取らないということだと思います。どうも記事からは、所有権に基づく物件としての返還請求権だけで構成しているようです。刑事の窃盗罪にすると処理が大変ですし、犯罪のレベルとして程度は高くないので、後回しになるのは分かります。
ただ、図書館法の下でも、本を破損したときの損害賠償は十分構成できますし、返却されてこなかったりしたときの返却のための手数料見合いを請求する債権的な方法はありそうです。
アメリカの1日1ドル未満というのも結構高い金額です。1年なら36,500円未満となってしまいますので。この金額は、案外、懲罰的な意味あいも入っているように思います。