Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

平昌五輪の公式グッズの偽物

韓国特許庁は捜査権を持っている

2018年2月12日のYahooニュースで、韓国の聯合ニュースの記事で、平昌五輪の公式グッズの偽物が横行しているという記事がありました。

headlines.yahoo.co.jp

  • 平昌冬季五輪の公式グッズが人気
  • ロゴマークを不正に使用した商品などが多数出回っている
  • 特許当局による取り締まり件数が少ないとの指摘あり
  • 平昌五輪グッズの偽物についての特許庁の取締まりは押収物90点
  • 98万ウォン(約10万円)相当
  • 一方、関税庁は先ごろ、スポーツ用品、衣類・靴など平昌五輪関連の偽物の集中取り締まりで27億ウォン相当の違法輸入品摘発(合計16万点)
  • 特許庁は取り締まりは限定的
  • 偽物が横行する海外インターネットサイトについては、中国の一部サイトを監視しているのみ
  • 現場での取り締まりは五輪の主要競技場周辺の商店街など限られた地域のみ

コメント

五輪グッズで、偽物が横行するのは、特に驚くような話ではありません。マスコットのぬいぐるみやキーホルダーなど、沢山出ているのだろうと推測します。

これに対して、刑事事件になるようなケースには警察が動き、輸出入の水際取締として税関が動くことは、日本でもおなじみです。

 

また、中国では模倣品対策は行政がメインで、一般的な税関以外にも、商標では工商行政管理局(AIC)が、意匠では質量技術監督局などが模倣品対策を担当しています。

 

この韓国の記事では、特許当局による取り締まりとあり、これはどういうものだろうかと興味を持ちました。

 

特許庁の韓国模倣対策マニュアルには、次のような説明がありました。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/mohouhin/mohouhin2/manual/pdf/korea2012_1.pdf

  • 韓国知識財産保護院(KOIPA):オンライン上の模倣品対策としてロボット検索を主体に24時間モニタリング
  • 商標権特別司法警察隊:韓国特許庁内に、警察官とは別に特別司法警察官吏として、商標権の取締り権限がある(他に文化体育観光部の著作権取締要員に特別司法警察権がある)。押収、捜索、拘束などが検察・警察の協力下でなくても可能で、適時効果的な執行が可能。
  • サイバー捜査隊:韓国の警察庁サイバー安全局が、ハッキング、ウイルス製作・流布と同様にネット上での商標権侵害やデザイン侵害、著作権侵害に対応。
  • 偽造品商品申告報奨金制度:特許庁に事務局があり、商標、不正競争防止法に違反する偽造品業者を発見したものは、誰でも申告可能で、規模に応じて報奨金が支給される。

報奨金制度も大変参考になる制度ですが、何と言っても特別司法警察権を、特許庁が持っているのは、驚きです。

 

日本では、厚生労働省麻薬取締官海上保安官などが、特別司法警察職員とされていますが、これを特許庁が模倣品対策のために持っているというのは、進んでいると思います。

 

日本でも、ネットを中心に模倣品が大量に発生する時代になりましたので、韓国のように、特許庁文化庁に捜査権限が付与される時期が来るのかもしれません。