2018年2月22日に関東支部の研修で、コロンビアの商標などに関する研修会がありました。講師は、OLARTEMOURE事務所のCarlos A. Parraさんです。この事務所は、日本にオフィスがあり、Parraさんが所長だということです。
https://www.olartemoure.com/en/
具体的に、コロンビアで困ったことはないのですが、アンデス共同体の話があるだろうと思い参加しました。
昔、アンデス共同体の加盟国の商標の更新にインボイスが必要で、会社の海外営業にお願いして、インボイスを集める仕事をしていたのを思い出しました。
最近は、マドプロでコロンビアを指定した出願をしたときに、なぜ、コロンビアなのか?と思っていました。
資料と、講義で理解したことなどをまとめると、次のようなものです。
ラテンアメリカの構成国は、19ヵ国。
大きく、いくつかのグループに分かれている。NAFTA(メキシコ)、ANDEAN COMMUNITY(コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア)、MERCOSUR(ベネズエラ、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイ)、DR-CAFTA(グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ホンジュラス、ドミニカ)。
ANDEAN COMMUNITYというのが、アンデス共同体加盟国です。このANDEAN COMMUMITYで、コロンビアはマドプロとPCTに入っているということでした。
昔はチリも、2006年まではべネズエラも加盟国だったようですが、今は、4カ国です。
2.コロンビアの出願件数
資料に、各月の数字がありました。2016年の合計は目分量で、次の数字となります。
商標が多い。4万件ぐらい。内外比率は半分ぐらい。
意匠は、4000件ぐらい。外国からが多い。
特許は、2万件ぐらい。外国からの出願が多い。化学系の出願が多い。
コロンビアは、マドプロにもPCTにも入っているようです。アンデス条約加盟国で、マドプロに入っているのはコロンビアだけです。
3.アンデス条約
条約に基づき、同じ商標法を4カ国で共通に持っているというものです。効果としては、例えば、不使用取消時に、一カ国での使用証明があれば良いようです。
また、異議申立てをするのを、一カ国で、出願をしていると、異議申立人適格が与えられるようです。
詳しくは、アンデス共同体 決議 486号をご覧ください。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm#ireland
どうも、マドプロで商標出願ができることと、その出願がこの4ヵ国への異議申立の根拠になることが、コロンビアのセールスポイントのようです。
4.紹介された判例
(コロンビア)
- NACHOSの普通名称化の事件(NACHOSというものが、Snacksの普通名称になったとして、取消がみとめられたケース
- ウィスキーのOld Parrの、ボトルの肌触り(Texture)が登録になったケース
(エクアドル)
- Barcelona Futobl ClubとBarcelona Sorting Clubの商標併存登録(昔、スペインのバルセロナ地方から、エクアドルに移民があり、1925年から、後者のサッカーチームがあるそうです)
(ペルー)
- AYRTON商標(一般人が出願した、F1自動車の絵とAYRTONの文字のセットの商標に対する異議申立。アイルトン・セナの遺族の協力もあり、異議が認められたようです。)
5.裁判、エンフォースメント
商標が圧倒的に多いようです。商標が176件で、特許が8件とありました。
ラベルの著作権の事例の紹介がありました。
地理的には遠い国なのですが、ペルーなどは日本とのつながりも深いですし、アンデス共同体の国は、時々、問題になるという感じです。
マドプロ出願が可能で、それをベースとした異議申立のメリットがあるので、アンデス共同体の代表選手として出願しても良い国だと思いますが、中間書類がスペイン語で来るので、簡易な翻訳が必要になる国です。