多死社会のインフラ
2018年3月6日の日経電子版に、京王電鉄が納骨堂運営の支援事業を開始したという記事がありました。www.nikkei.com
- 京王電鉄が納骨堂運営の支援事業を開始
- 第1弾として、宗教法人が運営する「上野さくら浄苑」の利用者募集や施設管理などを請負う
- 墓地不足を背景に、比較的低廉な納骨堂に需要
- 霊園運営や葬祭事業などのノウハウを生かし、需要を取り込む
- 上野さくら浄院はJR上野駅から徒歩15分
- 初期費用80万~90万円のほか、年間維持費
- 京王は遺骨を納める厨子(ずし)4500基分を10年間で完売する
コメント
多死社会という言葉を知りました。
コトバンクによると次のように解説されています。
- 高齢者増により死亡者数が多くなり、人口が少なくなっていく社会形態のこと
- 超高齢化社会の次に訪れる社会
- 2005年には死亡数が出生数を上回り、12年頃から30年間ほどは、死亡数が急増し多死社会の状態が続く
- 「団塊の世代」が死亡するピークと考えられる38年には、年間死亡数が170万人
- 年間出生数は70~80万人にまで落ち込む
- 年間100万人程度の人口が起こると推計されている
高齢化社会→超高齢化社会というのは、聞いていましたが、その次の概念があるようです。
年間、100万人の人口減ということは、人口でいうと毎年1%弱程度の減少であり、毎年大きな都市が消えるという感じです。
東京都23区が930万人、横浜市が370万人、大阪市が270万人で、第12位の仙台市が100万人程度ですので、その規模感がわかります。
多死社会には、多死社会に適したインフラが必要なようです。
日本総研の研究者のレポートには、「看取りの場所」、「家族や介護者へのケア(グリーフケア)」、「遺産等の円滑な取り扱い」さらに「火葬場」などが課題とありました。
京王電鉄の納骨堂の運営サーポートも、この延長線上にあると思います。京王電鉄は、納骨堂のサポート業務をするとしていますが、納骨堂自体を運営しても良いように思いました。
今までお世話になったこともない、宗教法人よりも、京王電鉄の方が余程、身近ですし、信頼感があります。
個人の死後も、永続する会社であるように思いますし、京王電鉄の方が安心感があるような気もします。築地本願寺や、建長寺などは別ですが、通常のお寺よりは、電鉄会社の方が、ブランド的には信頼感・安心感があります。
宗教法人は税金面で特別扱いがあったり、良い場所に広い敷地を持っていたりするのかもしれませんが、電鉄会社がメインになって、そこに宗教家が供養してくれる形態でも良いような気がします。
葬儀や墓地のビジネスは、ひと昔前は、一般企業の側もあまり乗り気ではなかった分野です。サービスマークの登録制度が始まったときも、指定しない会社が多かったと覚えています。
どちらかというと本業のイメージ低下に結びつくと考えていたのではないかと思います。電鉄会社ぐらいが、沿線住民へのサービスで葬儀事業を運営していた程度です。
しかし、これからは葬儀や墓地の事業に進出しても、企業イメージが低下するどころか、反対に社会問題に対して前向きな企業であるというイメージになって来ているように思います。
横浜市に住んでいますが、お墓参りに年に一二度は、大阪市の霊園に行きます。帰省を兼ねてのことなので、それほど大変ではないのですが、現在の実家が奈良で、大阪と場所が離れており、移動に一時間半程度、時間がかかるのが難点だなと思います。
将来的に、このまま、横浜に住み続けるのかどうかも分かりませんが、横浜に住むなら家の近くの鎌倉ぐらいに納骨堂があれば便利かなと思ったりします。
江ノ電が納骨堂をしたらどうなるのかなと想像しました。