転出の理由は「仕事」
2018年4月13日の朝日新聞に、横浜市の働き盛りが転出超であり、その理由は「仕事」だという記事がありました。
朝日新聞のWebサイトでは、関連記事が見つけられなかったので、元ネタの横浜市で調べました。
横浜市 横浜市外転出者意識調査結果がまとまりました。〜一番の転出のきっかけは、全体では「仕事」、子育て世帯では「住宅購入」〜 (平成30年03月27日記者発表資料概要)
横浜市では、将来予測される人口減少や東京一極集中の加速などの状況を踏まえ、市外に転出された方の転出事由や意識を把握し、今後の市政運営や政策立案の基礎資料として活用するため、横浜市外転出者意識調査を実施しました。
このたび、調査結果がまとまりましたので、お知らせします。
とあります。下記の報告書が出ています。
http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201803/images/phpzfc4Sm.pdf
ちなみに、朝日新聞によると、
- 横浜市の人口は、2019年をピークに減少に転じる見込み
- 進学、就職時期の10代後半と20代前半は、転入超過
- 一方、30~40代は、8年連続転出超過で1,357人
全体についての数字のようですが、
- 理由は、「仕事」(33.9%)、結婚(24.0%)、住宅購入(16.3%)
- 転出先は、東京23区(31.9%)、川崎市(16.5%)、湘南地区(8.3%)
- 事情が許すなら、また横浜に住みたいと答えた人は、79.6%
そして、市の担当者は、
- 職住接近(企業誘致)、郊外部の交通機能の充実、臨海部の魅力向上が課題
とあります。
コメント
一昨年、企業から特許事務所に、転職しようと思っていたときに、横浜の特許事務所を訪ねたことがあります。
その所長さんは、横浜は、非常に優秀な人材が集まると言っていました。確かに、優秀な大学出身者の多い事務所でした。
横浜やその近郊には、企業の研究所などが多く、その近くに住んだでいた人が、たまたま、特許の世界に入ったけれども、東京まで出るとすると1時間以上通勤にかかる。横浜なら半分の時間で、また、電車は空いていて通勤が楽。そのため、優秀な人が集まる、
というようなお話しでした。ワークライフバランスを考える、今時の子育て世代には、横浜オフィスに人気があるようです。
横浜やその近郊には、大手製造会社の工場や研究所などの事業所は沢山ありますが、本社がありません。本社は、ほとんど、東京です。
特許部門は必ずしも東京本社にはないのですが、特許庁が東京にあるとか、弁理士会が東京だとか、研修も東京中心だとかの理由で、特許事務所は、東京に集中する傾向はあります。
横浜は、東京よりも、家賃が安いですし、いい人が簡単に集まるようですが、主たる事務所を横浜に移転するのは難しい場合、サテライトオフィスを作る方法があります。東京の浮いた家賃と定期代で、サテライトオフィスや通信費は簡単に出ます。
サテライトオフィスは、東京の事務所が、事務所のメンバーが介護などの理由で地方に戻る場合に、その地方に作ることが多いようですが、大阪の事務所は東京にサテライトオフィスを作って業務拡大に励んでいます(特許庁の審判廷の他、知財高裁もありますし、情報収集機能もあります)。
一方、東京の事務所が大阪に進出したという話は、あまり聞きません。営業努力が足りないのかもしれません。
最近、イギリスやドイツの事務所の方が、Brexitの関係なのか、よく日本に来られるのですが、皆さん、サテライトオフィスを持っています。特に、EPOがあるミュンヘンは、イギリスの代理人にとっては必須のようです(ここの事務所に、EUTMの代理をしてもらうためです)。
色々考えると、日本でも、東京の特許庁の近くにメインのオフィスを持ちながら、横浜や京都など、優秀な人が集まりそうな場所にサテライトオフィスを持つのは、時代の流れかではないかと思います。
スカイプやビジネスチャットなども充実してきたようですので、東京に来ないと業務ができないということはありません。また、シャアオフィスのなどもあります。サーバーは、クラウドにすれば場所は関係ありません。
特許の仕事でも、明細書を書く仕事なら、自宅でできると思いますが、自宅にスカイプで映しても問題ない程度の、仕事用の部屋が必要になります。また、自宅では誘惑が多くて仕事ができないと聞いたこともあります。
オフィスを分散しておくことは、災害時の事業継続性確保のためにも有益です。
通勤時間が半分になり、ゆったりと通勤できれば、何をしようかと思います。nishiny.hatenablog.com nishiny.hatenablog.com