Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

カシオのデジカメ撤退

ピーク時の1割だった

2018年5月10日の朝日新聞で、カシオがデジカメ事業から撤退するという記事を見ました。

年間の出荷台数が、ピーク時の1割以下の55万台、売上も1割以下となっていたようです。既に生産も終了しており、CASIOブランドのカメラは、店頭からなくなるとあります。

  • カシオが液晶画面付きのQV-10 でデジカメ事業に参入したのが、1995年
  • ピークは、2008年3月期
  • 医療用やスポーツ記録向けなどは継続

とあります。

 

次のビジネスインサイダーの記事には、より生々しい説明がありました。 

www.businessinsider.jp

コメント

カシオというと、電卓やデジタル時計で、コスト競争力のある会社であり、G-SHOCKなど個性的な差別化のできる商品を出す会社だと思っていたのですが、今回、なぜ、民生用のデジカメ事業からは、完全撤退しなければなかなかったのでしょうか。

 

だいぶ前から、コンパクトデジカメの市場は消失したと言われています。理由は、スマホですが、コンパクトデジカメが普及しはじめたのが、カシオが参入した1995年として、そのピークが、12年後の2007年ということです。

その間、フィルムのカメラは、今回と同様に無くってしまい、コダックは破綻し、富士フィルムも業態変更しています。

2007年はiPhoneが登場した年ぐらいだと思います。iPhoneをはじめとするスマホの普及で、コンパクトデジカメの需要が無くったということですね。

非常にわかりやすい動きです。

 

その中で、カシオは、中国でヒットした自撮りカメラや、最近はG'z EYEなど面白い商品もあるのに、残念だなと思います。

casio.jp

 

光学ズームのついたスマホがなかったので、ここがコンパクトデジカメとスマホの違いかと思っていたのですが、ASUSのZenphone Zoomや、iPhoneXは、光学ズームが搭載されているようです。

また、スマホにアダプターをつけて、光学ズームにする商品もあるようです(アダプターを持ち歩く必要がありますが)。

これが出てくると、確かにコンパクトデジカメは役割を終えたと言え、市場から撤退すべき時期だったのかもしれません。

 

ビジネスインサイダーに出ていた、カシオ社長のコメントで、コンパクトデジカメで、利益を出している会社は一社もないそうですので、続けるのは限界だったのだと思いました。

いつまでも市場に残って、残存者利益がでるまで頑張るという方法もありますが、見切りをつけて別のことをすることも、一つの判断だと思いました。

今回のカシオの撤退は、いいタイミングだったのではないかと思います。 CASIOのブランド価値への影響もないと思います。