社名をテクニカルに分析してみる
2018年5月17日の日経に、「新日鐵住金」が2019年4月から社名を「日本製鉄」に変更するという記事がありました。
コメント
http://www.nssmc.com/common/secure/news/20180516_200.pdf
変更の理由を引用すると、
平成 24 年 10 月に新日本製鐵㈱と住友金属工業㈱が経営統合し、その商号を「新日鐵住金株式会社」とした当社は、平成 29 年 3 月に日新製鋼㈱を子会社化し、現在は山陽特殊製鋼㈱の子会社化を検討しております。
また、当社は、経済のグローバル化が一層進展する 中、米州、欧州、中国、東南アジア、インド等、世界各地での事業展開を強く推し進めております。 このような中、当社は、日本発祥の製鉄会社として、未来に向かい世界で成長を続ける企業にふさわしい、より包摂的で新たな商号に変更することと致しました。
日新製鋼や山陽特殊鋼の子会社化という動きでグループ本社にふさわしい名称にする必要性があったのと、グローバル化に対応するためという、2つの理由があるようです。
- 現社名:新日鐵住金株式会社 (しんにってつすみきん)
- 英文名:NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL CORPORATION
- 新社名:日本製鉄株式会社 (にっぽんせいてつ)
- 英文名:NIPPON STEEL CORPORATION
新社名は、非常に立派な名称です。現社名に比べると、短くて、分かり易くて、見るからに日本を代表する製鉄会社です。NTTやJRとならぶ、日本を代表する会社というイメージです。
現社名は長いですので、短くしたいのは分かります。また、「鐵」の文字が旧字体だったのを新字体にしています。
しかし、ライバルは、インド発祥のミタルなどのようです。INDIA STEELではありません。新社名で、日本発の会社ということは良く分かりますが、グローバルという意味では、ミタルの社名の方が、グローバルな感じがします。
JTが、M&Aを使ったグローバル化で成功しているようなので、心配はいらないのかもしれません。そもそも、鉄は、「たばこ」のようにブランドで売る商品ではないのかしれませんが。
なお、「日本」の部分は、英語では「NIPPON」であり、「JAPAN」ではありません。海外の人には、NIPPONという単語が海外で、どこまで認知されているのか正確には知りませんが、アイルランドが自国のことをエールと呼ぶレベルでは知られているのと思います。
ちなみに、戦前の昭和9年から戦後の昭和25年まであった、旧日本製鐵の社名は、次です。
- 日本製鐵株式會社(にほんせいてつ)
- 英文名:Japan Iron & Steel CO., Ltd.
昔は、「にっぽん」ではなく、「にほん」だったようです。昔の英文社名は、「日本」の部分が「Japan」であり、海外の人にはわかりやすい表記になっています。
少し気づきですが、「日本」を「にっぽん」と読むときのローマ字表記は「NIPPON」で良く見かけますが、「にほん」と読むときのローマ字表記の「NIHON」はあまり見たことがありません。以前の日本製鐵は、「にほん」と読むので、英文社名は「Japan」になったのかもしれません。
また、以前の英文社名にあった、「Iron=鉄」が抜け、「Steel=鋼」だけになっています。英文社名も、Ironを取る方が、短くなります。
ちなみに、Ironは、一般的な鉄を意味し、SteelはIronに炭素を加えて強化した製品としての鋼ということのようです。Metalは、銅や鉄といった金属一般のことです。
新日鐵という名前が、男子バレーボールなどを通じて、一番親しみがあります。次に、教科書で良く出ていた八幡製鉄と富士製鉄(の合併)でしょうか。日本製鐵という時期があったのは、知りませんでした。
Wikipediaの情報ですが、戦争時の国策会社で、大蔵省が資本の過半を持つ会社だったようです。