Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

最近、公証人が話題に

1円起業に5万円、民間採用4人だけ

最近、公証人のことが新聞に続けて出ていました。一つ目は、2018年5月15日の日経で、一円起業ができるのに、その公証に5万円必要という記事です。

www.nikkei.com

  • 世界のビジネスのしやすさで、日本は2020年までに3位以内を目標
  • OECDの35ヵ国で、2013年は、15位。2018年は、24位
  • 政府が対策立案。法務局への登記や税務署への設立届を改善
  • 定款に公証人認証が必要。面前公証と手数料5万円が議論
  • 内閣官房は、オンライン申請で、公証人の認証手続きを撤廃する案
  • 法務省が反対。反社会的勢力が隠れる法人が増える
  • 結局、電子機器を通じた画像や音声のやりとりは認めることに
  • 残る論点は、5万円
  • 公証人の平均年収1000万円

という記事です。

一方、2018年5月20日付の朝日新聞の記事は、公証人の登用についての記事です。

  • 公証人は、全国300か所の公証役場で、497人
  • 定款認証などの手数料収入は全国平均で公証人一人あたり3000万円
  • この3~7割の金額が、経費として支出
  • 定年70歳
  • 裁判官や検察官の経験者の再就職先との批判
  • 2002年から弁護士や司法書士、企業の法務担当にも門戸を開く公募選考
  • 合格者は、司法書士の4名だけ。直近5年は、22名の司法書士は全員落ちた
  • 弁護士からの応募はほぼなし
  • 検察事務官、裁判所の書記官、法務省の職員は108人受けて、94名が合格
  • 検察官、裁判官は、205名で、204名が合格
  • 司法試験合格者は、面接だけ

コメント

情報としてですが、このような数字になっているのかという感想です。

日頃、特許事務所の仕事では、委任状や宣誓書などの書類に公証人認証が必要になり、お世話になっています。法曹関係者の再就職先という認識はありましたが、公募制度もあるということを知りました。

日本公証人連合会のWebサイトに、公証人とは何かについて、まとめてあるので、時間があるときに読んでみようと思います。

日本公証人連合会

 

公証人は、業務量の多寡で収入は変動するのに、公務員であるというところが、面白いところでしょうか。ここが特殊な感じです。

 

普段、特許事務所がお世話になっているのは、私署署名の認証、外国文認証というもので、議論になっている定款ではありません。

 

法務省のWebサイトに公証制度についての解説があり、認証については、次のように解説していました。

署名又は記名押印に認証を受けると,その私署証書が作成名義人本人の意思に基づいて作成されたものであるとの事実の証明になり,証書の信用性が高まります。特に,我が国の個人又は法人が,印鑑登録証明書の制度を持たない外国で生活し,又は企業活動をする場合に,身元保証書や契約書などに公的な信用を付与する制度として,極めて重要な役割を果たしています。

法務省:公証制度について

 

通常、認証というと「署名又は記名押印の認証」であり、当事者が公証人の面前で署名又は記名押印した場合などに、公証人が私署証書に付与する認証を指しますが、平成10年からは、「宣誓認証」という制度がスタートしているとありました。

 

これは、署名又は記名押印の真実性から一歩進んで、内容の真実性の担保を求める社会の需要にこたえるためのもので、私署証書の成立・内容に公的信用性を付与する制度とあります。

宣誓認証は本人が公証人の面前でその証書の記載内容が真実であることを宣誓した上で署名若しくは記名押印するもので、虚偽の内容の場合には過料が課せられることで、一歩、内容の真実性に近づいているとのことです。

 

また、パテントの2003年のVol.9に、「知的財産分野における公証制度の利用について」という特許委員会のまとめがあるようです。 公証制度の活用を幅広く解説したもののようです。こちらも、時間のあるときに読もうと思います。