プレプリントサーバー
2018年5月21日の日経に、研究者が研究論文を、学術誌ではなく、プレプリントサーバーという投稿サイトに投稿する動きがあるという記事がありました。
- アルファベット傘下のディープマインドが、アルファ碁の研究をプレプリントサーバーに掲載。学術的にインパクト
- NECもサーバーで積極公開。外部企業との連携が重要
- ヤフーは、研究者や企業からの反応を次の研究に生かす。約1割は学術誌より先にサーバーで公開
- 京都大学、理化学研究所の研究者も利用
- コーネル大学のarXiv(アーカイブ)は、2017年の1年間で12万件。2007年の2.2倍
- 他に、コールド・スプリング・ハーバー研究所、米国化学会のサーバー
- 論文は、学術誌に申請して、出版されるまでの期間が長期化
- 査読(ピアレビュー)に数カ月から1年。陳腐化や別の研究者に先を越される
- 学術誌の査読は、300年続くシステム。コストとスピードからネットの活用の流れ
- 査読を受けていないため、信ぴょう性の判断は必要
コメント
知財関係の論文も、大学の法律系の雑誌や、ジュリストや商事法務などの法務関係者向けの雑誌、知財管理のような企業向けの雑誌、パテントのような弁理士向けの雑誌と色々なところに掲載されます。
ネットで、仕事で調べたい内容(海外の商標制度。例えば、タイの商標制度、海外の著作権登録制度など)を検索していると、特許庁やJETROが情報提供してくれているものの他、パテントがヒットすることも多いなと思います。
特許庁やJETROのものは、海外の知財情報を体系的にネットで提供しようとするものですので、検索結果の上位に出てきて当然なのですが、パテントも便利だなと思います。パテントは、ほとんどの論文がPDF化されています。
パテントの雑誌自体は、弁理士会の会報のようなものですが、論文はIDやパスワードが不要な状態であり、オープンにネットで閲覧できるので、活用しやすい状態です。
一方、知財管理はガードが固いように思います。論文の内容を見るには、IDやパスワードが必要です。
多くの読者に見てもらい社会に役立とうとするのか、会員のためのサービスであり見たければ会員になってくださいとするかの違いがあるのかなと思います。
それはさておき、これらの知財雑誌では、編集部からの依頼が基本だと思います。専門委員会の成果物を掲載するとか、その時の話題を良く知ってそうな人に依頼するとかです。
投稿論文も受け付けており、掲載の可否は判断するようですし、修正等はあるようですが、査読やフィードバックまでやっていないようです。
以前、パテントや特技懇に論文を掲載してもらったこともありますが、そのときは、編集部から依頼がありました。
知財関係にも、冒頭のプレプリントサーバーのようなものがあれば、気軽に論文投稿数ができるので、もっと裾野が広がるかもしれないと思いました。