Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

中国人男性 英語検定

日本で替え玉受験

2018年5月26日の朝日新聞夕刊で、中国では大学受験の替え玉受験が社会問題になっているところ、TOEFLやIELSといった英語検定でも、替え玉受験があり、日本で受験して刑事事件になっている件があるという記事がありました。

  • 京都地裁が、香港在住の中国人男性に対し、有印私文書偽造などの罪で、懲役2年執行猶予3年の判決
  • 昨年12月から今年1月にかけ、大阪、京都、東京で替え玉受験
  • IELTSを偽造パスポートで受験
  • 試験官が写真の不自然さに気づいた
  • 中国のSNSで依頼あり。報酬は2万元(約34万円)
  • 英語検定の替え玉受験は、留学や就職のため
  • 対策として、TOEFLは、試験の発音を録音。留学後に疑いがあれば結果の見直し
  • IELTSは、試験当日、指紋を採り、トイレなどで入れ替わることがないよう照合。しかし、偽造パスポートへの対応は難しい

また、朝日新聞は、拘置所で被告にインタビューをしています。

  • 被告のTOEFLスコアは、ほぼ満点
  • 検索サイトで替え玉受験の斡旋業者を知った
  • 最近、TOEFLでICチップ入り顔写真付き身分証が必要で、会場に入りにくい
  • 3年ほど前からTOEFLを数えきれないほど受験
  • 中国パスポートでビザの取得しやすい、東南アジア(タイ、マレーシア、ベトナム)で受験
  • 今回の日本は観光目的来日。軽い気持ちで替え玉受験

コメント

朝日新聞は、被告に拘置所でインタビューまでしています。

 

中国では、替え玉受験(代理受験)が、社会問題化していると聞いたことはありましたが、英語検定までそうなのかと思いました。

 

中国は工業製品の模倣品生産国として有名ですが、試験の点数まで偽物が多いということのようです。

インタビュー記事によると、この男性は、軽い気持ちで替え玉受験をしている感じですので、模倣品業者と似ているなと思いました。

また、中国の会場での替え玉受験ではなく、東南アジアなどで受験していたようです。東南アジアの方が、中国よりもチェックが緩いのかもしれません。

 

冷静に考えて、仮に替え玉受験で、TOEFLやIELTSの点で高得点とれ、海外に留学できたとしても、現地の授業についていけず、結局卒業できないのではないかと思います。現地の大学の試験まで、替え玉受験はできないはずですので。

また、今回の被告は、TOEFLがほぼ満点ということですが、あまり良い点すぎると不自然なこともあるのではないかと思いました。

 

TOEICの受験のときですが、写真付きの身分証明書のチェックが2回あります。一度目は会場に入るとき、二度目は受験会場で受験票の写真のついたものを回収するときです。

会場に入るときに、一緒にやれば良いと思っていたのですが、時間差を設けることで替え玉受験を防ぐ意味があるのかもしれません。

 

TOEFL、IELTSはもとより、TOEICの点数でも、人の人生を左右することがあるので、このあたりの替え玉受験をさせない仕組みや技術は、厳しくしていかないといけないようにおもいました。

 

ちなみに、外国パスポートの使用は、日本では私文書偽造罪(刑法159条)ということです。

(私文書偽造等)

第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。