Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

バンダイのフィギュアの模倣品

行政摘発の成果を自社サイトでPR

2018年5月31日のバンダイニュースリリースで、中国において「ワンピース」「ドラゴンボール」関連模倣品業者を行政摘発したという件が出ています。

http://bandai-a.akamaihd.net/corp/press/100000686240066.pdf

というような内容です。

 

コメント

今回のニュースリリースは、リリース用紙に三社のロゴが入っていますので、三社が協力して出していることが分かります。

また、バンダイはグッズのライセンシーですので、権利者から権利管理を委託されている集英社東映アニメーションの協力も必要だったようです。

 

先日、秋葉原に行ったのですが、フィギュアを売っているお店が沢山ありました。ワンピースのフィギュアもあり、中には、高額商品もあったように思います。

日本のフィギュアは、海洋堂などの緻密な手作業で有名でしたが、今は、3Dプリンターを使えば、形だけの模倣品なら簡単に製作できるのだと思います。

 

高額商品であり、作るのも簡単になってきているとすると、模倣品が出てきそうな分野であり、それが世界中に販売されるとすると大変です。悪貨は良貨を駆逐するになっては、たまったものではありません。

 

(ちなみに、2016年にNHKクローズアップ現代で、スーパーコピーフィギュアという高度なコピー商品のフィギュアが紹介されているようです。世の中は、想像以上に進んでいるようです。)

 

さて、ポイントは、リリースの最後のところです。今後も知的財産権の保護に注力し、消費者及び流通各社に模倣品の存在について注意喚起を行い、侵害行為に対して厳正に対処するとしている箇所です。リリースも、この一環で行われたのだと思います。

 

ニュースリリースを使って、事実を広報し、それを自社のWebサイトにも掲載しています。マスコミが掲載してくれるかどうかは、ニュースバリューがあるかどうかによります。

 

バンダイが、過去、いつも知財の話をWebサイトに掲載しているかというと、そうではないようです。サイト内検索で「模倣品」と入れても、出てきたのは2004年頃の「たまごっち」の模倣品とこのケースだけでしたので、このケースは重要という位置づけなのだと思いました。

 

残念ながら、このニュースリリースに対しては、マスコミはあまり関心を示していません。当事者が多くて記事にするのが面倒ということと(マスコミにとっては必要な、当事者の説明が大変)、2,000点以上摘発といいますが、それほどの数でもないことが理由でしょうか。

フィギュアの精巧さを強調すれば、NHKクローズアップ現代的になり、ニュースバリューが出てきますが、メーカーとしては模倣品業者の製品の質の高さなどは、言いにくい点かもしれません。

 

とにかく、社会に訴求していこうとすると、丁寧に説明していくしかありません。

 

一点、日本のWebサイトで思うことは、中国語版サイトがないことです。昔は、中国語サイトの話が必要という話になると、英語で十分。もし、中国語を作るなら、フランス語やスペイン語、ロシア語など、どんどん作る必要が出てくるという意見がありました。

しかし、今の中国を考えると、中国語サイトは、必要ではないかと思うようになりました。これは時代の流れだと思います。