行政摘発の成果を自社サイトでPR
2018年5月31日のバンダイのニュースリリースで、中国において「ワンピース」「ドラゴンボール」関連模倣品業者を行政摘発したという件が出ています。
http://bandai-a.akamaihd.net/corp/press/100000686240066.pdf
- バンダイ、メガハウス、バンプレストの三社は、中国広東省東莞市において「ワンピース」「ドラゴンボール」の模倣品を製造・販売する業者に対して行政摘発を請求
- バンダイはライセンスを受けて、「ワンピース」「ドラゴンボール」のキャラクターフィギュアを製造販売
- パッケージデザイン及び本体フィギュアを違法に複製した悪質な模倣品が中国をはじめとする各国にて近年流通
- 「ワンピース」「ドラゴンボール」の知的財産権を管理する集英社、東映アニメーション等の関係者の協力あり
- 今回、2018年3月8日に摘発を行い、「ワンピース」「ドラゴンボール」の模倣品(2,000点以上)を押収
- 今後も知的財産権の保護に注力。消費者及び流通各社に模倣品の存在について注意喚起を行い、侵害行為に対して厳正に対処する
というような内容です。
コメント
今回のニュースリリースは、リリース用紙に三社のロゴが入っていますので、三社が協力して出していることが分かります。
また、バンダイはグッズのライセンシーですので、権利者から権利管理を委託されている集英社や東映アニメーションの協力も必要だったようです。
先日、秋葉原に行ったのですが、フィギュアを売っているお店が沢山ありました。ワンピースのフィギュアもあり、中には、高額商品もあったように思います。
日本のフィギュアは、海洋堂などの緻密な手作業で有名でしたが、今は、3Dプリンターを使えば、形だけの模倣品なら簡単に製作できるのだと思います。
高額商品であり、作るのも簡単になってきているとすると、模倣品が出てきそうな分野であり、それが世界中に販売されるとすると大変です。悪貨は良貨を駆逐するになっては、たまったものではありません。
(ちなみに、2016年にNHKのクローズアップ現代で、スーパーコピーフィギュアという高度なコピー商品のフィギュアが紹介されているようです。世の中は、想像以上に進んでいるようです。)
さて、ポイントは、リリースの最後のところです。今後も知的財産権の保護に注力し、消費者及び流通各社に模倣品の存在について注意喚起を行い、侵害行為に対して厳正に対処するとしている箇所です。リリースも、この一環で行われたのだと思います。
ニュースリリースを使って、事実を広報し、それを自社のWebサイトにも掲載しています。マスコミが掲載してくれるかどうかは、ニュースバリューがあるかどうかによります。
バンダイが、過去、いつも知財の話をWebサイトに掲載しているかというと、そうではないようです。サイト内検索で「模倣品」と入れても、出てきたのは2004年頃の「たまごっち」の模倣品とこのケースだけでしたので、このケースは重要という位置づけなのだと思いました。
残念ながら、このニュースリリースに対しては、マスコミはあまり関心を示していません。当事者が多くて記事にするのが面倒ということと(マスコミにとっては必要な、当事者の説明が大変)、2,000点以上摘発といいますが、それほどの数でもないことが理由でしょうか。
フィギュアの精巧さを強調すれば、NHKのクローズアップ現代的になり、ニュースバリューが出てきますが、メーカーとしては模倣品業者の製品の質の高さなどは、言いにくい点かもしれません。
とにかく、社会に訴求していこうとすると、丁寧に説明していくしかありません。
一点、日本のWebサイトで思うことは、中国語版サイトがないことです。昔は、中国語サイトの話が必要という話になると、英語で十分。もし、中国語を作るなら、フランス語やスペイン語、ロシア語など、どんどん作る必要が出てくるという意見がありました。
しかし、今の中国を考えると、中国語サイトは、必要ではないかと思うようになりました。これは時代の流れだと思います。