自身の名前のブランドは、10年以上前に売却
2018年6月6日の日経で、アメリカのファッションデザインナーのケイト・スペードさんが自殺したという記事を見ました。
- ファッションデザイナーのケイト・スペードさん(55)が、2018年6月5日に自殺
- 女性用バッグや服飾品を「ケイト・スペード・ニューヨーク」のブランド名で展開
- 警察は「明らかな自殺」と結論。現場には手書きのメモ
- 2017年に米高級皮革品のコーチ(現タペストリー)に24億ドル(約2600億円)で買収され、同社の傘下
と、速報されていました。
別の日時の日経の記事に詳しい情報がありました。
- 夫となるアンディ・スペード氏と、ブランドを立ち上げたのは1993年
- ポップで明るい色、欧州高級ブランドにない軽さ、手ごろな価格で若い米国人女性の心をつかんだ
- アパレル大手リズ・クレイボーンに事業を売却。ブランド商標権も手放した
- 手塩にかけたブランドを喪失し、自分の名前であるブランド名が独り歩きし始めたことで悩んでいた
- 2016年、自分の名前も変えて新たなブランド「フランシス・バレンタイン」を立ち上げたが、2度目の成功は難しかった
- 夫アンディは自殺が発覚した翌日、数年前から鬱病で治療を続けていたと声明
2018年6月5日のCNNのニュースに、事業売却の経緯の説明がありました。
- 1999年、彼女と夫のアンディ・スペードは、ブランドの56%をNeiman Marcusに3360万ドルで売却
- Liz Claiborneは2007年に同社を買収、Kate Spadeは彼女にちなんで名づけられたブランド(namesake brand)から離れた
- コーチは、2017年5月にケイト・スペードを24億ドルで買収
コメント
昨年、米国の有名ブランドとして、コーチに入ったのは知っていましたが、その前に、1999年に既にニーマン・マーカスという百貨店チェーンにマジョリティを売却していたようです。2260万ドル(約37億円)での売却です。
そして、ブランドが、ニーマン・マーカスから、リズ・クレイボーンに移る2007年の段階で、ブランドを去ったようです。そして、2017年にコーチに売却されています。
単純計算ですが、この間、会社の価値は、18年間で、6000万ドルから24億ドルと40倍になっている計算です。
ご自身が会社の運営をしていたと仮定して、これだけ大きな価値の会社になったのどうかは不明ですが、会社の動きは常に気になっていただろうと思います。
ファッション関係では、デザイナーの名前がそのままブランド名になることが多く、KENZOと高田賢三のようなことが良く起こります。
CNN以外にも、複数、海外のニュースを見たのですが、
- ケイト・スペードの「スペード」は、夫のアンディ・スペードの苗字からとか、
- ケイト・スペードと夫アンディは、ここ10カ月ほど別居(しかし、ビジネスパートナーとして前日まで打ち合わせをしていた)とか、
- 数年来うつ病で薬を処方されていたとか、
- 新しいブランドは、13歳の娘の名前(フランシス)と自分のお祖父さんのミドルネーム(バレンタイン)とか、
- 娘宛てに遺書が残されていると(あなたが自殺の原因ではない)とか、
- ケイト・スペードのお葬式の日の前夜に、高齢のお父さんが心臓発作でなくなったとか、
いろいろな情報がありました。色んなことがあったんだろうと想像しました。
今回のKate Spadeさんの自殺が、今後のブランドの事業にどう影響するのか分かりませんが、Kate Spadeさんが良い人生を送っていてこそ、買収したKate Spadeブランドが生きてくるように思います。namesake brandの難しさを感じました。
ご冥福をお祈りします。