Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

富士ゼロックスと米ゼロックス

アメリカ流の交渉術?

2018年6月25日深夜配信のYahoo!ニュース(毎日新聞)で、富士フィルムと米ゼロックスとの交渉で、過激なやり取りがされているということを知りました。headlines.yahoo.co.jp

コメント

富士ゼロックスの資本が、ゼロックス側がマジョリティであったときは、問題なかったのでしょうが、ゼロックスの救済の意味もあり、富士フィルムHDが過半を持つようになってしまいました。

関係性を整理するために、富士フィルムHD側が米ゼロックスのマジョリティを取るというのが、一つの解決策だったのですが、米ゼロックスからは、逆の解決策である別々の会社として経営するということが提示されています。

 

トランプ大統領北朝鮮や中国との交渉を見ていると、アメリカ流の交渉だなと思いますが、米ゼロックス富士フィルムHDとのやり取りも、相当にアメリカ流だなと思います。

今まで、子会社になろうかと言っていたのが、手のひらを返したように関係を切るとは、日本人ならそこまでは云わないなと思いました。

 

もし、記事通りに、2021年にゼロックスのブランド(商標)を使えなくなると、富士ゼロックスは大変なことになります。

富士ゼロックスは、社名変更やブランド変更をしないといけなくなるだけでなく、ゼロックスの名称は、複写機の代名詞でもあった訳ですので、これが使えなくなることは、富士ゼロックスにとっては相当な痛手です。例えば、「富士フィルムコピア」となって、お客さんが付いてきてくれるのかというと、相当疑問です。

 

山崎ナビスコが、ナビスコと決別して、ナビスコブランドや、オレオやリッツという商品がなくなっても、YBCヤマザキビスケットとして、自分の営業ルートを活用して、事業をや継続していますですが、同じことが富士フィルム富士ゼロックスにもできるかどうかです。

 

一方、富士フィルムHDが反論しているように、富士ゼロックが築き上げてきた、アジア太平洋地域での営業ルートを使わずに、今までと同じ規模の販売は無理だと思います。代理店商売だと思いますので、代理店と富士ゼロックスの結びつきは強固であり、米ゼロックスとしても、アジア太平洋地域を捨てるぐらいの覚悟は必要です。

 

また、米ゼロックス富士ゼロックスと本当に縁を切るには、別の事務機器メーカーを買収するぐらいのことをしないといけないと思います。これは数年かかる大作業になりそうですので、あまり現実的ではありません。

 

いままで、パロアルト研究所などの伝説もあり、「ゼロックス」は人気のブランドでしたが、今回のごたごたで、負の露出が続くと、ブランドの人気も低下しそうです。

 

交渉事ですので、いつかは良い落ち着きどころが見つかり、解決するのだと思います。

しかし、それまでは、富士ゼロックスの従業員としても、会社がどうなるのかと、非常に不安だと思います。

また、今まで、富士ゼロックスの製品を、「ゼロックス」と呼んで応援してきたアジア太平洋地域の代理店やユーザーは無視されている感じがします。

 

両者は優秀な経営コンサルや弁護士を多数雇っているのでしょうから、彼らから上手い解決策を提示できないものかと思います。 

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