Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

「五輪」の商標出願

IOCが商標出願

Yahoo! ニュースで見たのですが、2018年7月5日の北海道新聞に、IOCが「五輪」という言葉を、商標出願しているという話が載っています。

www.hokkaido-np.co.jp

  • 国際オリンピック委員会(IOC)が、オリンピックを表す日本語である「五輪」を商標登録出願
  • IOCは日本語や英語表記の「オリンピック」の商標を既に登録
  • 「五輪」も登録することで、便乗商法を抑止する狙い
  • 「五輪」の商標登録は昨年12月19日に出願
  • 8月ごろに登録される見通し

というような内容です。

コメント

そもそも、国際機関を示す標章ですので、商標法4条1項3号で、オリンピック、OLYMPIC、五輪図形は、第三者は登録が取れない状態だと思います。

今回の「五輪」は、確かに、死角なので、IOCが出願したのは、理解できます。

 

J-Plat Patで、検索すると商願2017-166105で、2017年12月19日に出願されていました。出願人は、コミテ アンテルナショナル オリンピックとあります。IOCのフランス語表記をカタカナで記載したものです。

 

出願している分類は、以下です。

1 3 9 11 12 14 16 18 21 24 25 28 30 32 35 36 38 39 41 42 43 45

35類以下のサービスを、積極的に指定しています。オリンピックのロゴや、五輪という言葉では、衣服・メダル・放送・コンテンツDVDなどが思いつきます。ちょっと多い気もしますが、まあ、妥当というところでしょうか。

 

ちなみに、「オリンピック」を検索すると、昔の第三者による登録が一件あり(第752581号)、IOCの名義のものは、41類、35類だけです。

41類:オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会アジア競技大会・アジア冬  季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,スポーツに関する講演会の企画・運営又は開催

35類:広告

 

赤字で書いた、積極表示は、なかなかいいですね。IOCにしか書けない内容です。アジア競技大会ユニバーシアードも、IOCと関係あるのでしょうか?

 

もう一方の、「OLYMPIC」は、国際登録第1128501号で、見事に、第1類~第45類まで指定して登録になっています。こんな指定は見たことないなと思ったのですが、よく見ると、第23類の「織物用糸 」がありません。

前述の個人がもっている「オリンピック」の指定商品が糸ですので、それに抵触するということで、引用拒絶されているようです。

これぐらい重複登録しても良いように思いますが、日本の特許庁は厳格ですね。