経営戦略としての同窓会
2018年6月24日の日経に、企業の同窓会(アルムナイalumni)が多くの会社で始まっているという記事がありました。
- 退職した社員との「同窓会」づくりが日本企業で広まっている
- セプティーニでは、OB社員に企業の近況をサイトで報告。協業や募集の掲示板などを計画
- ヤフーは、1,000人超の規模
- モバイルファクトリーはOBと現役社員の交流も重視
- 三井物産のOBの集まりは、340名。当初は会社とのつながりなし。最近は急接近
- スープストックトーキョーは、OBにバーチャル社員証を希望者に配布。社員割引があり、交流サイトで会社の最新情報を受けられる
コメント
先日、あるブランド関係の研究会があったので、出身の関西大学の東京センターにはじめて行きました。もう20年ほど、関西大学の施設には行っていなかったので、新鮮でしたし、広報誌をもらっただけでもうれしくなりました。
さて、会社がアルムナイ組織を開設・運営する場合と、三井物産のように元社員が自発的に作るものがあるようです。
上記の日経の記事には、退職者とのネットワークを維持して、再雇用や将来の協業につなげる狙いがあるとあります。
ビズリーチのBizHintというサイトにアルムナイの解説がありました。
- 英語ではalumni。「alumnus」の複数形で、「卒業生」「同窓生」を意味
- 人事業界では、定年退職者以外の離職者を意味
- 終身雇用の崩壊、人材の流動化、労働人口の減少に伴い、雇用契約が切れた後でも、アルムナイとの継続的な関係性を持つメリット
- アルムナイ制度とは、自社からの退職者を再雇用する制度で、「出戻り制度」や「カムバック制度」。人材難で、アルムナイの活用が採用では注目
- 一方、アルムナイネットワークとは、大学や企業の卒業者、同窓生のコミュニティのこと。アルムナイネットワークの価値は「人脈」
- アクセンチュア、マッキンゼー、リクルート、ヤフーなどが有名
ということですので、日経に出ていたアルムナイとは、「アルムナイネットワーク」のことのようです。
アクセンチュアのアルムナイは、復職制度とネットワークの双方の意味があるようです。
確かにコンサルなどは、得意分野があるでしょうし、アクセンチュアを止めたあとも、どこかでコンサルをやっている訳ですので、必要に応じて、連携するのは、双方にとってメリットがあります。
退職者にもそれなりの価値がある人が多い、アクセンチュア、マッキンゼー、リクルートでは特に有効な仕組みなのかもしれません。
三井物産の「元物産会」も、三井物産と協業を目指すレベルの人が集まっているようです。
一方、人事業界では、採用難ですので、再就職の候補者として捉えることが多いようです。
このアルムナイと似ているものとして、定年退職者の親睦団体があります。これは定年後の親睦や共済を目的とするものですが、現役で仕事をしている人にとっては、特に有益なものではありません。
メーカーを辞めた技術者が海外のライバル企業に就職し、海外企業が強くなって、10年後に太刀打ちでき成るという現象が、ここしばらくの間、多くの日本企業で多く起こったように思います。
定年退職者の集まりはあっても、このようなアルムナイ制度の存在がなかったことも、この傾向に拍車をかけたのではないでしょうか。
自己都合で会社を辞めた人も、株主であったり、エンドユーザーであったりしますので、ゆるやかな組織化は、あっても良いのではないかと思いました。