Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

公務員倫理教本

10,000円と5,000円

2018年7月28日の朝日新聞に140万円接待の事件に関連して、国家公務員倫理規程の紹介がありました。

  • 利害関係者からの、供応接待や無償のサービス提供を受けることを禁止
  • 人事院の教本では、酒食などのもてなし、飲食代などの一部負担をも含むと明記
  • 倫理規程は、1998年の大蔵省の接待汚職などを機に作られた
  • 2005年に現在の内容に

国家公務員の方のコメントの紹介があり、

  • 懇親会は割り勘。それが無理そうなら断る
  • 会費制でないときは、総額・参加人数を確認して、「贈与」に関して課長補佐級以上に報告がある5,000円を超えていないか確認する

とあります。

 

コメント

外国公務員への贈賄というテーマに関心があるのですが、日本の公務員のルールは、どうなっているのかなと思っていました。

アメリカでは、20ドル ルールのようなものがあり、許されるのは、昼食代の20ドルまでとかいう噂は聞いたことがあります。

また、こちらも噂ですが、日本では、大蔵省の事件のあと、企業の業界団体の会議に来ても、お弁当は食べないとか、コーヒー程度はOKとかという話は聞いたことがあります。

 

しかし、本当のルールは、よく知りませんでした。

国家公務員倫理審査委員会というところが発行している、国家公務員倫理教本という冊子がありました。

http://www.jinji.go.jp/rinri/siryou/kyohon00.pdf

 

まず、利害関係者の定義がされています。許認可等、補助金等の交付、立入検査、監査、観察、不利益処分、行政指導、契約、予算、定員の査定などが具体列挙されています。

予算や定員については、相手先は事業者ではなく、国の機関なのが面白いところです。官官接待の禁止です。

 

この利害関係者から、

  • 金銭、物品、不動産の贈与を受けてはならない
  • お金を借りてはならない
  • 車の送迎などのサービスを受けてはならない
  • 酒食等のもてなしを受けてはならない
  • ゴルフや旅行に行ってはならない

とあります。

教本には、許される場合も記載があり、

例えば、酒食等では、

  • 会議等における茶菓や弁当などの簡素な飲食
  • 多数のもの(20名程度以上)が出席する立食パーティーにおける飲食

はOKとあります。

 

他に、公務員倫理規程では、届出も必要なようです。

  • 10,000円を超える飲食は、届出が必要
  • 贈与等の報告は、(本省課長補佐級以上の職員は)1件5,000円を超えると贈与等の報告書が必要

とあります。

 

この10,000円の届出は、費用負担が自分であっても届出が必要とあります。利害関係者との間で費用が発生するものを掴んでおくためのルールのようです。

また、5,000円の贈与については、飲食物の提供も「贈与」に含まれるとあります。

贈与を受けることは、基本的に禁止していますが、5,000円までの飲食は報告が不要となりますので、これが一つの、社会的儀礼として許されるものとの区別、目安となっているようです。会議費と交際費の境目と同じ金額です。

 

コーヒー、弁当、会議費程度は、社会的儀礼としてOKで、交際費になると贈与になるということで、理解しました。

 

この公務員の倫理規程を管理する仕事は、骨の折れる仕事だなと思いました。