Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ほめる達人

西村貴好さんの講演会

2018年8月22日の夕方、出身の関西大学の東京経済人クラブが開催した、日本ほめる達人協会 理事長の西村貴好さんの講演を聞きました。

知人から、前回の関西大学のカイザーセミナーがブランドの関係のもので、出てよかったと聞いたので、Webサイトに、メールでセミナーの連絡が来るように設定していました。連絡が来たので、ためしに聞きにいきました。

西村さんは、多くのマスコミで紹介されているとのことでした。

www.kandai-tokyo-keizaijin.com

今回のタイトルは、「結果を引き出すビジネスパーソンのほめ方」というものです。年間、216回も講演をしておられるようで、1時間半、映像を使った心理学の実験があったり、かなりの早いスピードで話されたり、とにかく情報量の多いセミナーでした。

  • バスケットボールの映像の実験:人間の注意力の限界が分かります

これは有名な実験のようです。人は自分の見たいものだけを見るという話です。また、自分と他人とは絶望的に違うということを、少女が回転する映像の実験(人によって回転方向の見え方が違う)や、男性脳(解決脳)と女性脳(共感脳)の違い、三角形の実験(忖度の実験)など、他の複数の実験の紹介で、くりかえり説明されていました。

 

ほめることは、人の価値を発見して、伝えるということで、今まで見えなかったものが、見えてくるといいます。

 

ほめることは、給与以外の「心の報酬」であり、「成長の実感」「貢献の実感」に繋がるということです。

「成長の実感」については、若い人はよくゲームをしますが、ゲーミフィケーションの考え方では、ゲームには、成長を実感させる仕組みが組み込まれており、若い人には、親近感のある手法のようです。

「貢献の実感」については、若い人の社会貢献への欲求は高いようです。

 

 

ほめるということは、相手の良い点を発見するということで、これが、なかなか難しいことです。

ほめるためには、訓練が必要で、ヒントしては、まずは、自分をほめてみるということを云っておられました。自分をほめる言葉が、今自分が使えるボキャブラリーであり、これをベースに、ほめる言葉=視点、観点を増やしていく必要があるようです。

 

西村さんは、覆面調査会社をされていたのですが、焼き鳥チェーン店の調査で、これでもかとダメだしをしても成果が上がらず、反対に良い点を見つけることを注力し、すぐに改善ができて、効果の高い、1、2点の指摘にとどめたところ、逆に効果が上がったところから、ほめる効用を発見したようです。

 

ほめることの効用は、大きいようで、三重県の南部自動車学校は運転で失敗しても、ここで止まれてよかったねと「ほめる」(「浮き輪言葉」で平常心に戻す。シューイチで見ました)ということで成果をあげていますし、スカイマークエアラインは、LCCでありながら、定時運行率がJALANAを抜くなど成果をあげているようです。

他に、ほめる研修を受けた上司のグループと、受けない上司のグループを使った、住友生命の実験も紹介されていました。

 

平均、120%の生産性の向上があるそうです。

 

 

特に、若い人は、ほめないとモチベーションが下がります。ストレス耐性が低い、心構えができていないなどの特徴があるとのことです。

失敗等があったときに、いきなり直球で叱ったりするのではなく、まず、心の構えを作ってあげてからアドバイスすることが必要ということで、まず、ほめることが、そのあたりになります。

 

 

一般に、仕事のできる人ほど、欠点を沢山見つけることができます。

しかし、ほめる点を見つけることは、相当意識してやらないとできません。

ダメだしは「本能」、ほめるは「覚悟」と言うことです。

 

ほめる、叱るということに関して、尊敬している人に叱られると、それだけでうれしいという感情もあるとのことで、最後は人間力という話もありました。

 

簡単にできることとして、「ふたこと挨拶」の紹介がありました。単に「おはよう」というだけではなく、「今日も暑いね」「元気そうだね」を追加するだけで良いようです。

折角、挨拶しても、中には、挨拶をしても反応しない人がいますが、そのような人は「お地蔵さん」と思ってはと言われていました。あまり、気にしても仕方ないということでしょうか。

 

ほめるという切り口で、小さなことを積みかさねることで、家庭や企業や社会が改善されていき、最終的には、社会のいじめ・パワハラ・自殺防止にまでつなげたいというのが、目標だそうです。

 

コメント

ほめるというのは、職場風土の改善、従業員の定着率、引いては会社の業績に、大きな効果があるというのが、セミナーのタイトルなのですが、日々を上手く生きていくための話が点在していた講演会だったように思います。

 

仕事で専門家になればなるほど、欠点を指摘する力はつきますが、良い点を発見して伝える力は、相当意識しないとつきません。

 

西村さんの話の中で、仕事の遅い人は最善の人材という話がありました。プロは、仕事が早く、正確でないといけないという話は聞いたことがあり、二律背反する正確で速い仕事を目指しています。なぜ、仕事が遅いことが良いのか?という疑問は湧きます。

 

仕事が遅い人は、一般に慎重、丁寧、自分のペースを保つということは言えるということですが、かったるい感じがします。

企業が求めている水準が80だとして、その人は、60とします。その人が63出来たらほめる。あるいは、スピードを意識して行動しただけでほめると言っておられました。他人と比べるのではなく、その人の以前の姿と比べることが必要なようです。

そして、その仕事に遅い人に改善がみられると、(職場全体が)加速度的に良くなるようです。

 

できたからほめるのではなく、ほめるからできるようになるという話でした。

 

人の良い点を見つけることは、訓練してできるようになると思いますし、ほめることの効用も分かりましたが、それを実際、言葉に出すのは、勇気が必要だと思いました。

 

人事系のブランド戦略として、サービス業では、これは良いなと思いました。